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「…」
血塗れの手
荒れる息
そして
「最後に言うことは?」
後頭部に向けられる銃口。
「…何も言うことはないさ、僕はこの
人生に結構満足してたからね。」
「…そうか、どこまでも能天気な奴だ。」
ドンッ…!
破裂音が、小さな倉庫に鳴り響いた。
あぁ、ここで終わりか、僕の無双劇。
バタッ…
冷たい地面に打ち付けられる感覚が
鮮明に感じる。
「…ん?」
何かおかしい
僕は
死んだはずなんだが。
…
あぁ
…
なるほどね。
理解したさ
僕はゆっくりと、音を立てずに
立ち上がる。
「おじさん、忘れ物」
「あ?」
ドンッドンッドンッ!!
3発の銃声が鳴り響くと共に、おじさんは
倒れた。
「愛してる、僕の愛銃…」
「せんぱーい、もう終わりました…か…」
1人の若い敵対組織の構成員が、小さな
倉庫の扉から飛び出した。
「終わったのはそっちの人生だった
ようだね…残念、僕は人に興味無いから
遺言なんか聞かないよ。」
ドッ!!
「ぐぉぇ」
若い男はこめかみから血を吹き出して
大の字に倒れた。
「これはまずいなぁ」
気づいた時には、おびただしい
数の敵対組織の構成員に囲まれていた。
裏社会の最重要指名手配犯 影也神羅
は今日も銃弾のシャワーを浴びるのだ。
そして、この日、影也神羅が自身の
能力に目覚めた日であった。
…
その日はとても暇な日であった。
ガンバル屋は今日もスカスカ
やることがないのだ。
だが、そこに非日常がいきなり
ぶち込まされた。
「須崎さん!やべぇっす!」
いきなりアパートの玄関が勢いよく
開かれた。
「んだよ…うるさいな、どーせいつもの
しょーもない事故だろ?」
「いーや!今回ばかりはかなりまずい!
可能道力組織にも関わる案件です。」
須崎の顔が曇る。
「んだと…?現場に案内しろ。」
「はいっす!」
「…ここか?なんの音もしねぇけど」
案内されたのは小さな倉庫だった。
しかも見た目も普通だし
音もなってない。
「あれ…おかしいな、ここには1人の
最重要手配犯が暴れてたはず…」
「そういえばお前、厄羅雨だったよな」
厄羅雨というのは、裏社会の組織の
一部の小さなチームである。
「あぁ、はい、2年前に手配犯を捕まえる
任務に充てられて、今も必死に探して
ます。」
「そうか…。」
「もう全員殺されたかもな」
「え?」
その瞬間だ。
ドカァッ!!
「んなっ!?」
倉庫の扉が吹き飛んだのだ。
「ん…」
須崎が日本刀を構える
「気重慶…」
須崎がそう呟くと、日本刀は
太陽のような元気な色に包まれた。
「ぶはっ…!」
そう言いながら神羅は倉庫から
顔を出した。
「…やるか」
須崎がそういった瞬間、飛び出した。
「お前のことよく分からないけど、
この街を脅かすようなら死ね。」
「んぁ?」
ズバァッ!!
「…」
神羅の体は斜めに別れた。
ドシャ…
「…終わったぞ」
須崎は厄羅雨の構成員に話しかけた。
「おい、終わった…ぞ」
後ろには、壮絶な風景が広がっていた。
「これで全滅かな?厄羅雨ってやつ。」
首を抉られた若い構成員と、死体を
踏みつける神羅の姿が目に入った。
「お前…」
「そ、まぁ、察しがいいとも言えないか。」
神羅の体は完全に回復していた。
「死なないのか。」
「あぁ、そうさ、一方的に命を奪う
だけだ。」
「この街を荒らす気か?」
「荒らすっていうか…浄化す」
ザッッ!!
「…ごふっ」
気づいた時には、須崎の剣先が
神羅の心臓を貫いていた。
ズッ!
須崎は刀を引き抜き
シュッ!!
「嘘」
首を刎ねた。
「…再生が遅いだろ、しかもそれ、
能力だから痛覚あるよな。」
「…君、強いね。」
「うるせぇ。」
須崎は神羅の頭を持ち上げ
「これで再生もっと遅れるだろ。」
「君みたいに強い人、初めて見た」
ブォンッ!
遥か遠くへと放り投げた。
「…」
須崎は頭のない神羅の体を凝視していた。
ジュワ…
すると、首から頭が生成し始めた。
「なるほどね。」
(…このままじゃ、こっちの体力が
先に尽きてぶち殺される…か。)
須崎が少し、死体から目を離した瞬間
だった。
「油断しちゃぁだーめ、だぞ。」
「っ!?」
ドッ!!
神羅の拳が、須崎の顔面にめり込む。
バキィッ!!
「くっ!」
(こいつ強い…!腕力どうなってんだ!)
「もうめんどくせぇ!本気出す!」
「気重慶、拳に泊まれ。」
そう須崎が言うと、刀に宿っていた気が
拳へと移り変わる。
「刀はいらねぇ、ひたすらぶん殴って
降伏させてやる。」
「そうか!やってみればいいさ!」
シュッッ!!
「んなっ!?」
神羅が殴りかかった瞬間
須崎が消えるように避けた。
「戦闘経験はあるようだけど、それだけ
だな、お前。」
体制が崩れた神羅を
「これでリセットだ。」
ドゴァッッッッ!!
「——!!!」
バキバキバキ…
神羅の頭が硬いコンクリートに叩き
付けられる。
ガシャッッッ!!
そのコンクリートさえ粉砕する。
「これはまだまだ序盤だぞ。」
拳に宿る気で、更に威力は増す。
「ふんっ!!」
コンクリートに埋もれる神羅を
空中に僅かに飛ばし
ドッッッッッッッ…
体の中心、鳩尾に気を叩き込んだ。