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連載ブクマ失礼します!
わがままです( ᐢ. ̫ .ᐢ )
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桃side
気付けば春も、もう中盤だった。
青のことを知って、未だに
青はうつ病とたたかい、
そして悪化しだした。
毎日見えるのは桃くんと死神だけだと
クマが目立つ目で俺を見ながら言う。
毎日毎日同じ言葉。
毎日毎日、苦しむ言葉。
死神が毎日来るくらいなら
連れてってもらえればいいじゃんか。
でも何で悪化したのかは、
俺にはよくわかる。彼女だし
昔のことを話してしまった
フラッシュバックのようなもの。
つまり聞き出した俺のせいだ。
あの時の酷い痛覚があるのだろう、
毎日燃えるような痛みが青を襲う。
よく、「あつい」「しにたい」と、
肝臓がある所を抑えている。
俺までうつになりそうだった。
青はわざわざ俺が青の好きな食べ物に
してやっているのにすぐに吐いてしまう。
青は「ごめんね」と言って、
ずっと背中を丸くして悶える。
温かさを感じれるようにするために
俺は「大丈夫」と言うしかない。
ぶっちゃけ大丈夫ではない。
俺が引き起こした悪化だ。
刺激してしまった。
繊細な心を砕いてしまったのだ。
「….、ん….んん…、、。」
酷い目覚めで始まる最近は
食べ物に味がしない。
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「…おはよう、桃くん」
「..青、はやいね」
「気分悪くなって
飛び起きちゃった、」
「今はもうなおったよ」
へらりと笑う青。
服から覗く腕は傷だらけだった。
「….ご飯、つくろうか」
「ううん、大丈夫、昨日桃くんが
作り置きしてくれたやつ食べたから」
「そ、っか、吐かなかった?」
「うん。久しぶりにまともに食べたよ」
俺はどうせ味のしない食べ物を
わざわざつくることが退屈で、
余分になったものを作り置きしている。
元々フィーリングで作って
量とか最悪だったから多く作って
作り置き〜とかしたのだが…
最近は俺も青もあまり食べないから
冷蔵庫にはラップに包まれた料理しかない。
「……」
「青、なにしてるの」
「…………なにも、して、ない」
「…そっか」
いつの間にか会話をする回数も、
少なくなってきているみたいだ。
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前も言ったが、青の性欲は半端ない。
なんならまえより酷い。やばい。
腰が痛い状況でもしたいと言うし、
拒否したらえげつないほど泣く。
泣かれたら2時間4時間は当たり前。
流石に愛する人でも面倒である。
そのため否定することなく、
ただされるがままに体を預けている。
そうすれば俺が苦しむだけで、
青は「楽だ」と言ってくれるのだ。
俺は青が楽になるのが嬉しい。
青の、救いになるのならそれでいい。
その思いを胸に、俺は、
毎回青にされるがままにされる。
俺は、何も思わないのだ
もう、感じるのを辞めた気がするのだ
ずっと喉がからからになっている気がする
水だって沢山飲んだけど、なにも、
効果がないみたいに感じれる
ただ喉だけが、からからだ。
「..桃くん昨日、どこ、いってた?」
「、、本屋、いってた」
「最近本読み出したね、なんで?」
「前まで、紙なんて好き好んで
見てなかったのに、どうしたの、」
「紙でしか読めない本だったから
結構昔の本なんだけど、….」
「…人間失格って本」
その瞬間びくっと青が震えた。
「….人間失格、、ね、」
「…青?」
「ごめんちょっと行ってくる」
「え、あ、青、、!!」
逃げるように去っていく青の
細くなった体をしっかり掴む。
危ない。あやうく転がるところだった。
「…、はなして」
「今行ったら青死のうとする」
「しなない、僕が死ぬのは夏だって」
「…嘘だ、今でも明日も昨日も..!
絶対夏前にはくたばってる…」
「どうせ、死にたいって、思って」
「…当たり前でしょ」
「違う、!!当たり前とかじゃない」
「じゃあなぁに、?」
「僕は、ずっと自分の首をしめて
夏まで生きなきゃいけないの?」
「正直しにたい。今すぐに」
「今すぐ、消えたいよ。
ずっとずっと苦しいんだもん」
「楽しいことなんて考えらんない、
桃くんですら幸せに出来ない」
「っ僕は!!僕なんか、、!」
「…っ!!」
俺は青の僕なんかって言葉が
一番嫌いんだよ、青
今も大好きなんだよ青
俺は、幸せだよ
青の気持ちを和らげているなら
「..青、今日はずっと一緒にいよう」
「……………う、ん」
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とうとうやってきた夏。
蒸し暑い気候は感じれなくて、
まだ涼しめな気候が肌を障る。
青は気にせず死ぬことだけを考える。
もう慣れてきたまであるのだ。
「桃くんは僕の元彼知りたい?」
「……興味はなかったけど、」
「そう、、」
「死ぬから何も失うものないなって
秘密事はさらけ出そうと思って」
「…じゃあ、元彼誰なの」
「紫くんっていう人」
「…ん?」
「なに?桃くん知ってるの?」
「…………..小説家の…」
「あ、知ってるんだ」
「…….」
「え、」
「紫」。
名前を伏せて空白という名前にしていたが
通り魔に殺害されたことで名前を公開。
世界的に大ヒットした彼の書いた小説は
ドラマ化し、映画で外伝を放映した。
その映画は超大ヒット。
俺も見て衝撃を受けたのを覚えてる。
不気味な雰囲気を隠すように
包み込むのは優しげな言葉選び。
荒れた文字でさえも表現出来て、
「空白」という人の書き方はない。
なぜならその人に憑依してるからだった。
つまり小説は憑依型。
その憑依型だからか言葉が重い。
正体不明な事でよく知られる人気作家。
「嘘、あの人と?」
「うん」
「どんな人なの、?」
「…、……….優しくて」
「可愛くて、小説書いてる時は
すっごく綺麗な目をするんだ」
「真剣で、凛とした眼差し。
感動系の作品書いてる時、
自分ももらい泣きしたのか泣いてた」
「、綺麗な涙が、好きだった」
「僕はもうダメだと思ったね、
はまったら抜け出せないと思った」
「すぐ居なくなるなんて、
思わなかったのに。」
「僕、紫くんみたいな人毎日探してるのかな」
「……..俺はその紫くんになれてる?」
「…本人じゃないから、同じ、とは
お世辞でも言えないけど」
「仕草が似てる」
「髪の毛を耳にかける時、
すぐに手を離さない所、とか」
「あと、1度没頭してしまえば、
何時間でもやっちゃうような所」
俺は全然、その人に似てないと思った。
知ったことも顔すら分からない。
仕草も性格もよく分からない。
けどどれだけその人に程遠い存在だって、
その事だけはよくわかってしまう。
自信が無い、というより近づけない。
青の理想はきっとその人だった。
ずっと依存してしまっているのだ。
自分の中で生きてる彼を
ずっと求め続けている。
雲に隠れてどこか分からないのに、
必死に月を探すような永遠のようだ。
居ない彼を、ただずっと、
探して、自分を殺してきたんだ
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がたん、ごとんと、電車の音が鳴る
微かな蝉の声は室内までに響き、
室内に充満する涼しい風。
空気が綺麗だ。
青は俺の肩に頭を預け、
健康的な寝息を響かせている。
今から死にに行く。
薬も全部切らしてきたし、
家だって売った。
お金は全部寄付した。
もう何も必要なかった。
なので食べるものも飲む物も、何も無い。
ただ俺たちふたりだけ、
青は俺を、俺は青を、持ち物としている。
「…」
静けさなんて無いのに、
蝉も電車の音も青の寝息も聞こえるのに
なぜか窮屈な日々から抜け出した、
そんな感じがしていた。
今この瞬間。
俺は生きている気がした。
「ん….、、」
「..あ、青、おはよう」
「おはよ…、えっと、あと、何駅..?」
「まだまだ、あと4駅」
「4駅…ありがと」
青は誰も居ないことをいい事に、
俺の太腿に頭を乗っけた。
いつぶりだろう、こんな、恋人らしい事
今までそんなにしてこなかったなぁ。
今まで、いや、春に関しては、
ただただ介護をしていた。
死にたいと言い続ける青に、、
少しでも輝かしい日々を送らせる、
それが春の目標だったな、
「ねぇ青」
「ん」
「..俺のことしずかちゃんって言って
いじってたの不意に思い出したんだけど」
「あー、、そんなんあったねなつい」
「俺あの時本当に楽しかった」
目じりが熱くなっていく
液体が目の縁ギリギリまでおいつめてく
俺は必死にその液体を拭った
「なつかしい、ほんと、
お互い楽しかった時期だよね」
「うん」
「俺が青のこと聞き出したから、
あんなふうになったんだよね」
「うん」
「ごめん」
「いいっていったよ、僕」
「それでも彼女なのに苦しめたからさ、
俺は絶対このことを許さないつもり」
「それでさ」
「死ぬ前にこんなこと言っていいか、
よくわかんないけど」
「俺ね、別れようとずっと思ってた」
青の髪に液体が落ちる
青はびくともせずただ相槌を打った
「うん」
「青が死にたいって言う度に、
俺も死にたいなっておもって」
「食べ物に味しなくて、辛かった」
「俺今気づいた」
「俺、無理してたかもしれない」
「青のことで精一杯で、
俺も自分のこと殺してた」
「俺自分の事考えるの苦手かも」
とうとう最終駅を迎える。
俺はまだまだずっと声を殺して、
ただ話す声だけにした。
短くなる呼吸も、全て全て、
何もかも止まらない。
心が痛い
胸が苦しい
息が詰まる
言葉が出ない
体が重たい
もう何も、したくない
青だけを、死ぬことだけを
考えて生きていたい
死にたい
「….桃くんが今まで折れずに
生きててくれて嬉しいよ」
「今までありがとう。よく頑張ったね、」
止まらない呼吸は青によって
追い打ちをかけられてしまった。
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海は案外綺麗で、人はいなかった。
完全に穴場。ていうか平日だしな。
俺は泣き止んでまだ熱い目を
どうにか冷たくしようと手を仰いでいた。
蒸し暑い空気が肺に入る。
肺まで汗をかきそうだった。
「….いこっか」
青は仰ぐ俺の手を引っ張って、
海辺へ行く。
ばしゃばしゃと靴でも容赦なく、
早く早くと急かす青。
まるで海を楽しみにしていた
子供みたいなはしゃぎ方だった。
「まっ..青!」
「靴は百歩譲って、いいけど
せめて靴下は脱ご..重たくなる..」
「えー、…」
「はやくいきたいくせに。いいの?
そんなモタモタしちゃって、」
「いーんだよ…別に」
海のどこか分からない所に
投げて捨てる。もう何も要らない。
「うわっ、ポイ捨てだ。わる」
「死ぬんだからもうなんでもいいやろ..
今なら青と犯罪おかせるよ?」
「それは寿命伸びちゃう、だめw」
「お前絶対警察から逃げれないやろw」
「そうなんよ、捕まって
いけないんだよww」
「それはごめんだな、」
最後に他愛もない話。
これが俺らに似合うんだと思う。
どんどん足を進めて、
とうとう腰あたりにまでくる。
服は重たくて、歩きにくいけど
青が手を繋いでくれるのでまだいい。
「桃くん」
「ん?」
「好きだよ」
その瞬間、青が視界から消えた。
「…青、?」
さっきまで繋いでいた手には
ぬくもりなんか無くなっていて
ただ熱気に包まれている。
汗が滲む
噴き出すように汗が流れてく
「…青、、?どこ、..?」
ごぽっ、海の下から泡が浮かぶ。
空気…?もしかして、
「….っ」
青の瞳によく似た水色が
俺の視界を占める。
綺麗な海に包まれて、
地上のような熱気は無く
ただ冷たい水がおれを圧迫する
身動きがしずらい。
息が持たなくなって、
青は深くまで行ってしまって、
最後に彼氏の顔も、見えない。
俺は微かな視線と、小さな
生命力で何とか青を見ようとする。
左右を見渡して下に潜る。
くるしい。けど、青と過ごした
そんな日々の方がくるしい。
「(青…青…!!!)」
見当たらない。
どうしよう。
どんどん視界が埋もれて
その時、はにかむような青の顔が、
上の方で見えた。
驚いた。
幻覚かと思った。
青は俺の手を引っ張る。
そして恋人繋ぎして、
「あいしてる」と口パクで伝えてきた
俺は青のその言葉に返事をする間もなく、
目を閉じて、重たい愛を抱えた。
「また会えるよ、桃くん」
「次はどっちかが女の子ね」
俺の記憶は、そこで途切れた。
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終?
「ん?…..はー….もー!またですか?」
「こんどは溺死…..ですか」
「自殺、とみなしていいでしょう。
たくさんの痣と怪我がありますので」
「ま、よくある重い愛ですよね〜
これは1週間前、これは1か月前…
全部放置してたんでしょうね」
「いたそー、僕じゃ考えられない」
「よし、長話はこれくらいで、」
「じゃあはじめよっか、」
「青ちゃんっ、」
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普通に重愛というタイトルが
気に入って簡単におわれませんでした。
ごめんなさい、2章です。てへ。
2人の重たい愛は、
誰に継がれるんでしょうね。