「シグマ君、何とも綺麗な月だと思わないかい?」
中秋の名月の日。偶には恋人らしくゴーゴリと恋人繋ぎをし、月見を嗜んでいた
「そうだな。ただ、私はこっちの方が好きだ」
私はゴーゴリの腕を掴み強引に引き寄せる
そのまま唇に口付けするとゴーゴリは頬を紅くし、照れたようで愛おしそうに眉を下げ、微笑う
「へへ、シグマ君、好きだよ!」
そんな幻想を思い出す様な悪夢を見た
「はぁ、はぁ、」
とんでもない量の寝汗に自分でも笑えて来る
ゴーゴリが失踪してから、もう三週間が経とうとしていた
3週間前、突然ゴーゴリが消えた。
まるで最初から居なかった様に
誘拐?監禁?もしかして、厭其れは無い彼奴が簡単に死ぬ理由無い
じゃあ一体誰が?
疑われずに接近出来て、ゴーゴリの異能を知っていて
尚且つスケジュールを理解している人物、、、
そう言えばゴーゴリが失踪する前日、フョードルに逢いに行くと行ってた様な気が、、、
だが、本人に直接尋ねたとてはぐらかされるだけだ
そう考えた私は、こっそりフョードルの家に行ってみることにした
今日はフョードルが任務の為大分遠い場所へ出張するらしい
行くなら今しかない。とフョードルの自宅の玄関前迄来たが、正直怖い
此れで何も無かったら、私はただの不法侵入だ
でも、此処まで来たら入るしか無いと覚悟を決めて、ドアノブを握り締める
予想通り、中は家具等は余り無く質素だった。
ただ、ヒョードルの部屋らしき部屋に足を踏み入れると一箇所だけ若干音が違う気がした
其処のカーペットを剥がしてみると地下への扉らしき物が有った為、こじ開けて入ってみる
まさに地獄だった牢屋の様な地下室へ続く階段があり、其れを下って行くと、ゴーゴリは、居た
「ゴーゴリ!!私だ!シグマだ!!!」
ゴーゴリは私を死んだ魚の様な眼で見つめた
「だれ?」
私を忘れている、、、?
表情豊かで元気だった彼は笑わなくなった
「ゴーゴリ、」
唖然として居ると後ろから肩に手を置かれる。途轍もない悪寒を感じ、振り向けなかった
「もう理解したでしょう?」
「フェージャ!!」
真っ先にフョードルに駆け寄る彼を見て、私は何かが壊れてしまったのかも知れない
「愛していますよ。僕のフィアンセ」
フョードルは私に見せ付ける様にゴーゴリとキスをした
「僕も愛してるよ!フェージャ!」
そうか。
「さっさと帰ったらどうです?シグマさん」
そうだよな。
好きって言うのは簡単だもんな。
私は自宅に帰った
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