・irisのnmmn作品です
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・本人様にはなにも関係ありません
・以上のことが大丈夫な方だけお読みください
白「あとはここにチェーン付けて……」
白「出来た!」
我ながらいい出来栄えだ。交差する線と線。トルソーにあるのは、今完成したばっかりの服。
白「ちょっと着てみようかな」
今度お洋服買いに行く時、着て行こうと思ってたけど、このかわいさに耐えきれず着てみることにした。
ふわふわとした生地。あしらわれたリボン。欠かせないフリル。全部大好きなアレコレソレ
いつだって、譲れないアイデンティティ。
僕は男だ。それに関して違和感も無い。でも女の子のようなかわいい物が好き。パステルカラーとか、ふわふわした動物とか。服もそうだ。量産型の男子版なんて、見つからないから自分で作るしか無い。結構、自分の思い通りに出来るのも楽しいとも思ってる。
白「あ…そういや、来週は悠くんとお出かけや」
カレンダーに書き込んだ。
改めてみると僕の字、丸っこくて小さくて女子みたい。
悠くんっていうのは、クラスメイトで明るい元気な子。密かに想いを寄せてる子でもある。
白「でも…服装どうしよう」
クローゼットを開けた。どれもかわいい服ばっかだ。
これを見て、昨日の学校での会話を思い出した。
ちなみに僕は中学生の頃、見た目やこの性格もあって女子のグループに居ることが多く、男子からは浮いた存在だった。でも高校からはそういう趣味は抑えて、男子グループに居ることにした。だって男子グループの中心は悠くんだったから。少しでも近づきたくて。
それで昨日は、悠くんと僕含め複数人と話していた。
モブ『そーいや悠佑ってどんなやつがタイプなの?』
その言葉に僕は心臓バクバクだった。なんていうんだろう。かわいい子、とかだったらまだ勝機は見えるぞ……みたいなこと思ったりして。
黒「はっ!?なんなん?急に」
黒「んー……
カッコいいやつ?」
崩れ落ちそうになった。カッコいい。真反対過ぎる。日本からブラジルの距離と同じくらい。
そんな悠くんとのお出かけ。どんな服を着ればいいんだろう。
かわいい服はしまっておくしかない。
あの後、僕かわいい服好きだから着てっていい?って向き合えたら良かった。逃げてしまった。
もっと仲を深めるためには、隠すしかないのかな。タイプの子になりたいよ。
嗚呼、いつからだっけ。飛び越えられないマイノリティ。
もう行き止まりだ。かわいい服を着たいのと、着たくないのがぶつかり合っている。
仕方ない、悠くんとの繋がりは濃くしたいから、ちょっとでも素敵な僕に見えるように外せない秘め事。
お出かけの日、お兄ちゃんから男の子らしい服を借りた。このぴったり感がいつもと違って、なんだか嫌だ。
白「悠くんっ!待ってくれてありがとう」
黒「気にすんな、ほら行こ」
惹かれる存在、綴る未来。
もしこの人と共鳴らせたなら。
白「ここのクレープめっちゃ美味しい…!凄い、物知りやね」
黒「やろ?お気に入りなんよ」
いや、共鳴らせなくても。偽りの僕のままならいつまでも居られるかな。
黒「あ、初兎ほっぺたにクリーム」
白「えっ…?まじ?」
黒「俺取ったるよ」
すくったクリームも舐めた。
黒「かわいかったよ」
僕の中で最上級の褒め言葉だ。本当の僕でもかわいいって言ってくれるかな。淡い期待に通せんぼ。
白「あは…そうかな?」
黒「男子にかわいいはよくなかったかなw」
そんなことないよ、言えない言葉。全て塞いで曖昧、知らん顔。
我慢してでも、繋いでいられるんなら、ちょっとの痛みも耐えなきゃな
悠くんは男の中の漢って感じだ。言動も、服装も、性格も。全部手探っていくと、僕と違うところしか出てなくて絡まるの気持ちの糸。
いつかバレるのが怖くて、諦めるしかなかった。距離をもっと縮めること。いつだって、無くなることないディスタンス。
全部キリのない、振り出しでも。
白「お兄ちゃん…また服貸してもらってもええ?」
兄「ええけど…どしたん?急に。前までふりふりのやつ好きだったのに」
白「ちょっと慣れてみようかなって」
僕も悠くんみたいになって、繋いでいたい。縮めたい。なら外せない秘め事。
桃「お!初兎じゃん」
白「ないちゃん!」
学校から帰ると、従兄弟のないちゃんが居た。
ないちゃんはオシャレできっとみんなからモテるだろうな。巡り合う人とかでも、イチコロだろうな。
白「ねぇ、ちょっと相談したいことがあるんやけど…」
桃「なんか青春って感じ!いいなぁ〜」
白「茶化さないで聞いてよ!」
白「僕はこのままでもその子と居られるかな」
桃「うーん…初兎はその子に打ち明けたらなんて言われると考えてるの?」
ずっと考えたくなくて隠れんぼしてたこと。どうなるんだろう、僕たちは。
白「そこまでは…」
桃「質問変えようか。その子のことは信じてる?」
白「そりゃあ…ね」
迷って、僕の気持ちはメランコリーになった。混在した想いを抱いて眠る。二人を繋ぐ糸は、案外簡単に切れてしまうんじゃないか…?
黒「昨日ソシャゲやり過ぎてくそ眠い…寝てもバレへんかな?」
白「ね、寝ないほうがええんとちゃう?」
ソシャゲとかやったことないや。何が流行ってるんだろう。追わないと。
黒「初兎、裁縫うまいなーやってんの?」
白「ちっ、違うよ!えっと…たまたま」
下手に作ろうとしても、本能が働くし。
縫い合わせて、編み合わせて。繕ってさ、なにになるんだよ。
黒「ねぇ、初兎の家行ってもいい?」
来て!と言ってしまいそうだった。僕の部屋は人形で一杯だった。
白「ごめん……部屋汚いから」
切り取って、笑って。
わざと距離取って。
笑えるけど、笑えてるけど
僕は悠くんのこと信じてるつもりだ。でも、悠くんにこのことが言えない時点でなにも信用できてないじゃないか。
頭では受け止めてくれるって思ってても、もしかしての可能性が怖くて。今まで縮めた距離が離れるのが、壊れるのが。
白「やっぱり雑貨店はいいなぁ」
気分が落ち込んできたから、久しぶりに自分の好きな服を着ていつも行く雑貨店に行った。
新作のリボンとパールのデコパーツがあって、気分も上がってる。
この調子でカフェにでも入ろうかな。とカフェのある駅近くの広場に向かうと、噴水の所で悠くんが腰掛けていた。
どうしよう、今の僕はこんな格好だ。しかも今日は1番お気に入りのかわいいやつ……
仕方ない。カフェは諦めて後日にしよう。後退って足を反対方向にしたその時だった
黒「は?…俺、男です。結構です」
黒「辞めてください!」
何事かと振り返ると、悠くんがよくわからない大人の人に絡まれていた。手を掴まれていて強引そうだ。
白「っ…その子僕の友達なんですけど」
白「悠くんっ!行くよ」
力一杯大人の人から引っ張った。バックの中で揺れるパーツ。走って、走って、走って、学校近くの公園まで来た。
そして我に返った。
この服装で、ここまで来たんだ。彼と一緒に。滲み出した境界。揺らぐ未来
黒「…初兎、」
白「えっと、あは…あははっ…おかしいと思うでしょ?僕がこんな服着てて……僕もそう思うよ!……ほんと、可笑しいよね」
泣かずにはいられなくて、地面にぽたぽたと涙が落ちる。
全部伝えたら
白「じゃ、じゃあね!こんなとこまで来てごめん!」
背を向けてまた走ろうとした。彼は宙ぶらりんだった手を掴んだ。
黒「ちょっと待って」
黒「俺まだなんも言ってないし」
なにを言われるんだろう。そう怯えながら佇む。
黒「そういう所、カッコよくて好きだよ」
白「で、でもね!ホントの僕はカッコいいものより、かわいいものが好きで!服もこういうのが良くて!辛いものは苦手で甘いものが好きで……昔は女子グループに居て男子からは浮いてて……それで…」
白「それで…それで……」
白「好みの子のタイプになろうと、いつもホントウを出せなかった弱い奴なんだよ!」
何故こう、すらすらと自虐が出てくるんだろう。なんだか、悲しいな。
黒「初兎は、初兎」
黒「俺を助けてくれたあの瞬間が、カッコよかったなって」
黒「普段はかわいいな〜って感じだけど、ギャップあんなって思ったの」
やっぱりかわいいという雰囲気は隠しきれないまま。
黒「で、俺は初兎のこと好きだけど初兎は?」
白「え?それは友達として?それは勿論……」
黒「違う」
白「……だって、悠くんカッコいい子がタイプなんでしょ」
想い逢って存在。映す未来。共鳴らせるかな。
黒「あれは性格がって意味」
白「僕性格もカッコよくないけど」
黒「あの時がカッコよかったからいいの」
白「ええんかなぁ…僕が、」
黒「初兎がいいって言ってるやん」
本当の僕のままで、隣で居られるかな。淡い期待は現実だったみたいだ。じゃあ過去のことは全部塞いで曖昧知らん顔。
白「……僕も悠くんのこと大好き、やからこれからお願いします」
黒「次出かけるときは初兎が好きな服で来いよ?」
白「うんっ!」
こうやって繋いで居られるんだ。距離なんか取らなくても笑えるんなら。
白「悠くん遅いよ〜!僕1時間も待っちゃった」
黒「ハァ…ハァ…お前が早すぎんねん!」
黒「今日めっちゃかわいいな」
白「でしょ?」
ひらひらのリボンも、何重のフリルも、ハートも、全部全部アイデンティティだ。
痛かったね、昔の僕
とあ【アイディスマイル】
今日ももう少し後に雑談出します
勉強してくるのでコメ返はその時に!
コメント
4件
やっぱ白黒しか勝たん((( (もう寝るからこれだけ💦)
うわぁ...いいな自分のアイデンティティを認めてくれる人って、尊いし可愛いし、なんやねん、博物館にでも飾ったらどうなんですかね、もう尊い!、好きな子が自分とは真反対の子が好きって言うと落ち込むよな、そういうのに近づこうとして苦しくなるの切ない、裁縫得意なの凄、絶対無理だわ、絡まれてる人を助けるって相当な勇気居るから凄いなぁ、外見じゃなくて中身を見てかっこいいって言って好きだと言ってくれる黒が素敵