⚠この番外編は一章を見終えてから読むことをおすすめします。
ノア達が寂蛇龍穴最下層に行った後の後日談
「凄いね?どうやってこんな傷跡出来るの?」
白煙はそう言いながら飛雷の脚の傷に触る。
「いだだだだ!触らないでください痛いんですけど!?」
「…飛雷治療してもらう時ぐらい静かにしたらどうだ?」
炎麗は呆れたように喋る
「見た目は複数出来た裂傷に似てるけど、この傷呪痕だね」
呪痕とは、邪を使って皮膚に傷をつけた時にできる傷だ。あの男が傷をつけた時寂蛇龍穴にある邪気を傷が吸い取ってしまったのだろう。
「でもこの傷こんな複数の裂傷を皮膚につけるとしたら相当な腕前じゃないとこんな傷できないよ」
「まぁ取り敢えず生活に支障が出ないように治療はしておいたよ」
「ありがとうございます白煙さん」
「飛雷帰るぞ」
玉碧宿から出て灯月館まで帰る道のりで飛雷は考えていた。白煙が言っていた相当な腕前じゃないとこんな傷はできないと、飛雷はその言葉にあまり納得していないのだ。相手の持っていた武器は槍だ。双剣とかならまだ分かるが、槍だ。どんなに槍を扱う腕前が相当なものだとしても槍が皮膚につけれる傷ではない。そしてあいつは神の祝福を持っているだろう。神の祝福を持っている者は、持っていたいものより身体能力が上がるのだ。だがあいつの身体能力は妖魔以上だろう、だとしたらあいつは魔族だろう。だが
「飛雷どうかしたか傷が痛むか?」
「いや違うんだ、少し気になることがあって」
「前、話していたやつのことか?」
「うん、そうなんだけどやっぱ納得いかなくて」
「飛雷俺の考えだが、あいつは魔族ではない可能性が高い。人間に危害を加えてくる魔族は何年も前に殆ど滅ぼされたはずだ、だとしたら…可能性は低いが魔神の呪いを持っている事が考えられるだろう」
詳しく聞いたところ昔読んだ本に書いてあったことらしいが大昔に人工的な神を作った国があったそうだ。その神は魔族で魔神と呼ばれていて、その国の戦士達は魔神の呪いを持ち戦ったそうだ。どの様な効果が出るかは分からないが、見た者達の残した手記等に、身体能力が上がっていて普通の人間ではないように見えたと語っている。
ただその可能性が低い理由は魔神も魔神の呪いを受けた者も、もう既にその国ごと神々が滅ぼしたからだ。だが、もしかしたらその魔神の呪いを受けた者の生き残りがいたのかもしれない。
「まぁ俺の考えは参考程度にしてくれ」
「分かった、ありがとう炎麗」
逢魔ヶ時、二人は太陽を背に向け月ヘ向かう
『眠りからの目覚め』
ノア達が寂蛇龍穴最下層に行った後日談
…ア…ノア!目を覚ます時間よ、皆が心配してる。
どこからか声がする、聞き覚えのある声だ。
大丈夫きっとまたどこかで会えるわ。
「待って!貴方は……」
目を覚ますとそこは白煙さんの部屋で、ノアは白煙のベッドで寝ていた。一番最初に目に映ったものは天井で、二番目に映ったものは飛雷だった。
「あっ、白煙さん!ノア起きたよ!」
ドタバタと部屋から出て行った飛雷の足音を聞き起き上がるとそこには炎麗も瑠姫も居た。
「ノアさん大丈夫ですか?頭とか痛くありませんか?」
「…すまない騒がしくて」
ため息をついたあと炎麗は話始めた。
「ノア、眠っている間何か覚えている事はあるか?」
「いや…特にありません…」
「眠る前の事は?」
「…ちょっとだけなら覚えてます」
灯月館の皆と寂蛇龍穴最下層に行き、誰が話しかけてきて…までは覚えている。ただその後が覚えていない、思い出せない。
「炎麗さん僕が眠っている間の何があったんですか?」
「それは…」
瑠姫が黙っていると炎麗が話始めた
「すまないがそれは話せない」
バタン!と勢い良くドアが開き飛雷と飛雷が連れてきた白煙が話しかけてきた。
「ノアくん大丈夫?!体の具合悪かったりしない?」
「えっ あ 大丈夫です」
「良かった〜何週間も眠ってたから、死んじゃったのかと思って」
「えっ」
ノアは絶句した。自分がまさか何週間も眠っていたなんて、思ってもいなかったからだ。
「ぼ、僕そんな眠ってたんですか…?」
「あ~うんそうだよ?」
「別にいいでしょ?休めたんだからさ」
「ノア」
「はいッ!」
「今度灯月館に来てくれ。話したいことがある」
「分かりました」
「飛雷、瑠姫、帰るぞ」
「じゃあな!ノア」
「それではまた今度」
炎麗達には物凄くお世話になった、自分達が命をかけてまで僕を助けようとしてくれた。あそこに炎麗達がいなければきっと今僕はここに居ないだろう。でも何故か寂蛇龍穴で気を失ったあとの話は聞く気がしなかった。聞いてしまったら何かまずい気がした。炎麗も話さなかったと言うことは僕の為に話さなかったのだろう。明日灯月館に行こう。そしたら何か分かるかもしれない。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!