コメント
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二次創作とは思えないほど(あんま言っちゃいけないかもしれませんすみません)の感動もの……最高でした。
※注意書きをよくお読みの上、それでもおkな方のみお進みください。
※ちょっとでもアカンと思ったら、即座にブラウザバックしてください。
ワンクッション
エーミールは左手薬指に甘い幸せを感じると同時に、ゾムのワイヤーとは比べ物になたないほどの鉄鎖にエーミールとゾムが縛られた事を、改めて痛感した。
せめてゾムだけでもと思ったささやかな抵抗は、潰えた。
だが、きっと今のゾムならば、地獄の果てまでエーミールに寄り添ってくれるだろう。
こうなった以上、すべてを『彼』に委ねるしかない。
ゾムの息吹と温もりを享受しながら、エーミールは思考を止めてその身をゾムに委ねた。
「ふははっ。ついに…ついに最強の盾と最強の矛がそろったぞ、トントン!」
「文字通りの『矛盾』にならんといいな、グルさん」
「なぁに。あの矛と盾は、惹かれ合っとるからな。互いを壊すことはないやろ。それよりも!」
「いよいよ……始めるんやな?」
「佐山はすでに日本の中枢となっている。表のトップはあのハゲ(知事)だが、すでにエミさんがいい感じの機能を構築してくれてある」
「エミさんに命じたのは、アンタやしな。さぞ、お好みの国になっとることやろ」
「正直、今まではいつアイツに寝首掻かれるかとか、逃亡するかと、ヒヤヒヤだったがな」
「ゾムがおることでエミさんは逃げへん。エミさんがおることでゾムはこっちに付く。二人はお互いのために、更に我々に尽力してくれる。えげつない構築やな」
「えげつない言うなや、トン氏。人はそれを『愛』言うんやで?」
「『愛』に一番縁遠いヤツが、何寝言抜かしとんねん」
「えらい言われようやなw だが、ゾムとエーミールを完全掌握したことで、内患の憂はなくなった」
「……この世のすべてを破壊し尽くす気なんか?」
「“破壊”? 違うね、トン氏。“創造”だよ。新たなる《世界線》の創造や」
「凡庸なる偽りの平和を謳歌する世界線。科学がすべてを解決する世界線。様々な政治思想がぶつかりあう世界線。異能達が戦う世界線。古代の三国鼎立戦争の世界線。戦争狂どもが馬鹿みたいな戦争を繰り返す世界線。火星人の襲来と戦う世界線。などなど……」
「そしてこの《世界線》が選んだのは…『戦争』だ」
「……うまく行くと思っとんのか?」
「さぁね。それはわからん」
「はぁ?!」
「だが、すでに数多の世界線は構築された。この《世界線》でクーデターがうまく行かんでも、別のどこかで成し遂げられ、その先へと行き着く」
「世界線は《拡散》するのか《収束》するのか。実に楽しみだと思わないかね?トントン君」
「ホンマ……。恐ろしいやっちゃな、アンタは……」
「この《世界線》がどこに向かうかは、私にもわからん。だが、他の《世界線》の奴らに、オイシイとこ取りさせるつもりもない」
「ゾムとエミさん抱き込んだんは、少しでも邪魔となるノイズ消したかったんか」
「同時に優秀な人材の確保やな。大丈夫、彼等と共に覇道を突き進んで行こう」
「行くぞ、トントン。この世界線の主役は」
【終】
Vielen Danke fürs Lesen!!