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だけど、その中であのとき、森沢が言っていた内容のページがあった。
「人というのは言わば、獣である。時に群れ、時に戯れ合う。だが、それは逆も然りのように、我々は、互いの腹を探り合い、今か今かと、喰らいつくのを待っている。大人しい生物など、この世には存在しない。何故か、それはきっと、己の牙が語っていることだろう。」
…もしかしたら先生も、牙を隠しているのだろうか。
そこまで考えたが、やめた。考えたくなかった。自身の先生の裏の顔を見たいやつなんて、中々居ないだろう。そっと本を閉じて机の上に置く、 それは確実に、見る気が失せたことを示していた。
目を閉じて、深呼吸をする。
チカチカと、壊れかけのテレビのように一瞬、また一瞬、何かが現れる。なんだとそれに近づく。
気づけば、首から上がなくなっている森沢に肩を強く掴まれていた。夢だ、これは。きっとそうだ。でも、夢なのに、掴まれたところが痛く感じるのは何故なのだろうか。次に映ったのは、あのとき見たのと同じ、首を吊って動かなくなった森沢。だけど、1つ違うことがあるとするならば、それはきっと、俺の後ろにいるこの首無し森沢先生。
顔がないため、どこを見ているのかは分からない、だが、俺の肩を離すつもりはないようで、未だずっと強い力で掴み続けている。しばらくすると、肩から手を離された。首無し先生は首を吊った自身に近づいた。そして、こっちを見て指さした。
その瞬間、あのときと全く一緒のクラスメイトが、グルンと音がつきそうなほど、勢いよくこちらを振り向いた。首は180度曲がっていて、自分が後ろにいるはずなのに、まるで前に来たようだった。