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※甚だしい捏造
※非日常な日常話
※実在の人物、団体とは一切関係ありません
※頭からっぽ状態で書いてます
※以上をふまえて大丈夫な方のみおすすめください。
ゆっくりしていってね
「ペン」
ペンギンが、おる。
ゾムには状況が飲み込めなかった。
エーミールに呼ばれてエーミールの家に来て、出迎えたのはエーミール本人でなくペンギン。
「ぐえっ」
こっちを見ろとばかりにペンギンが鳴く。
「何や、お前……。てかエミさん、どこおんねん」
一般のご家庭でペンギンを飼育するとか聞いたことがない。
たちの悪い悪戯か編集疲れの幻覚か。
ゾムは目の前の怪異から目を背け、部屋の奥へと声をかける。
「エミさーーん! どこやーー!!」
ゾムは靴を脱いで部屋に入ると、ペンギンを避けて部屋の奥へと足を進めようとした。
途端、
「ギャッ!?」
ペンギンが、ゾムの足の甲を啄く。
「何すんねん、この鳥類!!」
ゾムは攻撃されたことで、やっと意識をペンギンに向けた。
ようやくゾムが自分を意識してくれたことに安堵したペンギンは、足元にあるスマホをくちばしで指し示した。
「何や? 人の言葉わかるんか?」
訝しげに思いつつも、ペンギンが指し示したスマホを覗き込むと、ペンギンは素早くくちばしでタップし始めた。
ペンギンのくちばしが送信ボタンをタップすると、少しのラグを置いてゾムのスマホが鳴る。
「おい……。まさか……」
嫌な予感がしつつも、引きつり顔でゾムは自分のスマホを確認した。
『ゾムさんの目の前におるペンギンが、私エーミールなんです』
「がっ」
ペンギンが一鳴きする。
くちばしで文章を打ち込む姿を、ゾムはその目でしっかり見た。
メッセージを送ったのは、間違いなく目の前のペンギンだ。
そしてペンギンは、自分がエーミールだと言い張る。
「は? え?」
全てゾムの目の前で起きている事実であり、ゾムの手にはエーミールに頼まれた鮮魚の重みがのしかかっている。
間違いない。
このペンギンは、エーミールだ。
ペンギンのクセに、シャツに茶色のベスト、黄緑色のネクタイとキッチリ決め込んで。
絶対的な防音設備に定評のあるエーミールの住むマンションに、ゾムの叫び声が響き渡った。
【まだ続くらしい】