黄×ピンク
思いついたの殴り書き。
死ネタ。
考えたら負けです。
「…はっ、はっ……ゲホ!」
夜の闇が揺蕩う森を、一人の青年が走っていた。
一息吸うたびに、肺が激痛を訴える。
それでも、走り続けた。
愛しい愛しい、彼の恋人の鬼の巫女のために。
大丈夫、まだ間に合う。計画は成功したんだ。まだ彼女は___ぐさおさんは、死んでいないはずだ。
そう言い聞かせ、メテヲは走り続けた。
走り続ける事数十分。不自然に開けた森の奥に、天高く聳え立つ祭壇と轟々と燃える篝火が見えた。
そして___祭壇の中心で、血の海に溺れるぐさおも、見えてしまった。
「…っ!ぐさおさん!」
悲鳴を上げる体に鞭を打って最愛の彼女に駆け寄って力の限り、しかし優しく抱きしめる。
いつも明るく輝いていた瞳は虚に染まり、華奢な身体には短剣が深く刺さっていた。
「…メテヲ、さん?…私は…私は…」
弱々しい声でうわ言のように話す彼女を見てられなくて、メテヲは大粒の涙をこぼした。
「…っ、ぐさおさん、もう大丈夫だから!もう…もう祭りは終わったんだよ!!だから……だから、死なないで…」
「…あぁ、そっか…。もう、怖い思いはしなくても、いいんだね……」
段々と冷たくなって行くぐさおは、メテヲの腕の中で、弱々しくそう呟いた。
「…そうだよ!!もう怖くも痛くもないんだよ!!村も祭りも、もう無いんだ!だから…だから、メテヲと一緒に生きてよ……。約束、したじゃん…」
「……ごめ、んね」
「…メテヲこそ…ごめんね…。ぐさおさんを…助けられなかった……」
「いいん、ですよ……。嬉し、かった…から…」
「…ぐさおさん…っ!」
目から涙が溢れて止まらない。涙で視界がぼやけて、ぐさおさんの顔がよく見えない。
「…ね。メテヲ、さん…。お願いが、あるの……」
「ぐさおさんのお願いなら、なんでも叶えてあげる!だから…死なないでよ…」
「メテヲさん、あのね…。もし、私が生まれ変わってもう一度メテヲさんと出会えたら…その時は、私と………」
そこまで言って、彼女は旅立ってしまった。
「…まって!まだ行かないでよ!!最後まで聞いてないよ!!お願い、目を開けて!お願い…お願いだよ…。…ねぇ、ぐさおさん…」
必死に彼女の体を揺さぶるが、手から伝わるのは無機質な重さと、氷のような体温だけだった。
「…あ、あぁあぁぁぁあああっ!!」
恋人を失った青年の獣のような咆哮が、夜の森に響いた。
コメント
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何があったと言うんだ…