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――ウィンドウに並んだ、数々の意味不明な表記。
少し緊張してきたし、ここら辺で一旦素数でも数えて落ち着こう。
「1!」
……知ってるかな? 実は1は素数では無いのだ。
これは、素数を数えると言いつつ即失敗するという私の鉄板のネタなのだ。
「さて、アホっぽいことをやってないで、続きを見ていこう……」
独り虚しくツッコミを入れながら、居並ぶ意味不明な単語に対して鑑定スキルを使っていく。
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【一般スキル】
修練を通じて多くの人が修得可能なスキル
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【レアスキル】
一定の条件下で修得可能なスキル。
稀に持つ者がいる
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【ユニークスキル】
世界の中で一人だけが修得可能なスキル。
鑑定スキルによって看破されない
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……なんですと?
一般スキルとレアスキルは分かる。
でもユニークスキルって……世界にひとつ? つまり、使えるの私だけ!?
しかも、それが4つ。
全部を数えて見れば、合計8つのスキルたち。
神様、『スキルもワシが吟味した8つを付けておいた』っていうのはウソじゃなかったのね。
ボケ老人みたいに扱っちゃってごめんなさい。
でも、8つ中の4つがユニークスキルってどういうことなの……。
さて、それじゃ気になるユニークスキルの効果を拝見しましょう。
えーい、かんてーっ!!
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【情報秘匿】
鑑定スキルに対する耐性を得る。
修得レベル以下の情報を任意で公開することも可能
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【英知接続】
不明瞭な情報を明瞭にする
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【創造才覚<錬金術>】
現物やイメージから作成に必要となる素材を予見する。
必要となる素材を所持している場合、作成可能なアイテムを予見する。
錬金術に関する情報を知覚しやすくする
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【理想補正<錬金術>】
イメージを理想的に再現する
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最初の『情報秘匿』。
……もしかして私以外の鑑定スキルだと、『情報秘匿』の効果で相手からはレベルが少なく見えちゃう……ってことかな?
例えば『錬金術:Lv99(Lv12)』っていうのは、『本当はレベル99だけど、他の人にはレベル12に見える』ってこと?
というと一般スキルとレアスキルの4つは、全部レベル99で修得しているってことになる……?
あ、でも最大レベルが99とは限らないし!?
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【レベル】
スキルの熟練度を示す数値。
最低は1、最大は99
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……うわー、鑑定スキルって便利ダネー。
こんなことも分かっちゃうんだ、まるでwik○pediaみたい。
でもこんなにレベル99が並ぶなら、確かに隠したくなるかもね。神様、気が利くなぁ……。
ユニークスキルの残り3つ、『英知接続』『創造才覚<錬金術>』『理想補正<錬金術>』は――
……それぞれ何だかよく分からないけど、錬金術に凄い効果がありそうな感じ……だよね?
さて、それじゃ次は一般スキルとレアスキル。
ユニークスキルが気になって後回しになったけど、しっかり鑑定しておこう。
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【錬金術】
錬金術を使用することができる
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【鑑定】
対象の情報を得る
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【収納】
異空間のアイテムボックスに対象を収納する。
レベル50以上で時間の流れが停止する
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【工程省略<錬金術>】
作業の工程を省略する。
レベル99時、収納スキルと連携することで
全工程を省略する
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……いや、『全工程を省略する』って何ですか……。
何なの? 鑑定みたいに、念じるだけでアイテム出来ちゃうの?
それに、『収納』もすごい……。
時間の流れが停止ってことは、何でもずっと劣化もしないで持っていられるんだよね?
あ、そういえば神様の手紙に『落ち着いたらアイテムボックスにちょっとしたプレゼントを入れておる』ってあった気がする。
アイテムボックスって何のことか分からなかったけど、収納スキルのことかな?
そう思いながら収納スキルに意識を移すと、アイテムボックスの中身を把握することが出来た。
何とも説明できない感覚で、少し気持ち悪い部分もある。
「今あるアイテムは……2つ?」
そう言いながら自然に出した異空間――アイテムボックスに手を突っ込んで、中からアイテムを取り出してみる。
小さい透明な結晶と、空き瓶が出てきた。
「これがプレゼント? どれどれ、かんてーっ!」
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【神の雫】
神の力が込められた結晶
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【空き瓶】
空き瓶。ガラス製
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……うーん?
神の雫は想像がつかないけど、空き瓶は……ただの空き瓶?
「あ、この2つを使うと錬金術で何かアイテムを作ることが出来るってことかな?」
どうやるのかなと思いつつ、ユニークスキルの『英知接続』に意識を傾けてみる。
どこかで『使用方法が違います』みたいなことを言われた気がした。
それならばと、ユニークスキルの『創造才覚<錬金術>』に意識を傾けてみる。
すると、目の前にウィンドウが現れた。
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【『神の雫』による作成可能なアイテム】
・エリクサー
・世界の記憶(特殊条件が足りません)
・終焉の鍵(特殊条件が足りません)
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……ふむ、さすがは神の名前を持つアイテム……。
よくは分からないけど、名前からして何だか全部ハンパ無さそうだけど……。
でも、あれ?
『世界の記憶』と『終焉の鍵』には『特殊条件が足りません』って出てるけど、『エリクサー』には付いていない?
もしかして作れちゃうのかな……?
ドキドキしながら『神の雫』と『空き瓶』をアイテムボックスに戻す。
レアスキルの『工程省略<錬金術>』の効果に【レベル99時、『収納』スキルと連携することで全工程を省略する】ってあったから、もしかして一瞬で作れてしまうのでは……?
「それじゃ、エリクサーをれんきーんっ!!」
ノリよくそう叫ぶと、右手の方でバチッという音がした。
まさかねー……と思いながら右手を見てみると、液体の入った先ほどの瓶が乗っている。
……あれぇ?
これ、私の知ってる錬金術と違う……。
正直な感想を頭に描きながら、恐る恐るその瓶を鑑定してみる。
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【エリクサー】(-)
すべての傷・疲労・欠損が回復する。
不老不死を得る
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……。
最初のは分かる。
ゲームとかでも、HPとMPが全部回復するやつがあるもんね。
でも、次の効果って――
……今の所持スキルだけでもおかしいくらいにおかしいのに、さらに不老不死とかワケが分からないわ……。
そう思いながら、とりあえずエリクサーはアイテムボックスの中へ。
ちなみに神の雫と空き瓶は消費されていて、アイテムボックスの中からは無くなっていた。
何か釈然としないものはあるけど、錬金術の使い方はよく分かった。
今のはきっと、いわゆるチュートリアルみたいなものなんだよね。
出来たアイテムは、もはやゲームクリアレベルのものだけど……。
「……うん、なるほど。
これが私がもらった力なのか……」
落ち着くように声を出してから、そして呼吸を整えていく。
自分のスキルが把握出来たところで、これからの目標を立てることにしよう。
私のイメージする錬金術のゲームだと、とりあえず序盤のミッションはポーションを作ることだ。
まずはこれに倣って、ポーションを作ってお店に売ることから始めてみようかな。
ポーション系の頂点っぽいアイテムは作ってしまったけど、素材はもらいものだったわけだしね。
自分で素材を集めて、ポーションを作る。そして売る。
うん、とっても序盤っぽい目標だし、これが基本だよね。
「――さて、今日はいろいろ考えるのはおしまい!
とりあえずご飯と、誰かいたら話でもしてみようかな」
そう言いながら部屋を出て、私は宿屋の食堂に向かうことにした。
夕食は宿泊代と別料金らしいから、お財布もしっかりと忘れずに……。