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テラーノベル(Teller Novel)
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白い、美しく輝く羽を持った、小さな人間の子供に似たソレは、まっさらでシンプルな私の病室に突如として姿を現した。

その日、私は初めて「 」という存在を目の当たりにしたーー



20XX年、10月中旬の秋。あんなに緑緑しく色を染めていた紅葉が、淡いオレンジや紅へと色を変えてゆく、ちょうどの時期。私はまるで、その空間だけ色がないような、まっさらな白い病室で独り過ごしていた。

元々普通の女子中学生として時を経ていたが、2年前、中学1年生だった私はちょうど学校行事での宿泊旅行で土砂に巻き込まれて大怪我を負った。傷はほとんど治っているが、巻き込まれた当時足の神経が切断され、そこだけ当時のまま治らず歩けない。半分くらい下半身付随みたいなことになっている。


「 はぁ‥ 」


ため息を吐く。窓から紅葉の景色は見ることができる。が、見る以外にすることがない。正直暇なのだ。

テレビは点かない、スマホもない、ましてや絵を描いて暇を潰す、その道具すらない。こんな劣悪な環境で唯一できる事がやはり紅葉を眺めることだけ。つまらなすぎる。親や友達だと呼んでいたクラスメイトも定期的に顔を覗かせるだけ。


「 もっとできる事があればいい。話す人がいるだけでもいいんだけどなぁ‥、 」


窓の外の紅葉を眺めながら、そう声を漏らす。すると途端にチク、と目に痛みが走った。


「 い“っ‥、、ったぁ 」


突然の痛みに困惑しながら、反射的に目を抑える。目にゴミが入ってしまったか、と思いながらも、チクチクとした痛みに耐えながら目を擦る。擦りに擦って、やっと痛みが取れたか、と目を開けるとそこには、


窓に腰掛ける、「ナニカ」の白い羽を見た。

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