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テラーノベル(Teller Novel)
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飲み物を飲みながら他愛のない話をして時間が過ぎていく。

「瀬南くんとは会ったばかりなのに、たくさん自分のこと話しちゃったな」

「まぁ最初に遠慮するなって言ったのは僕の方だからね」

「ほんとありがたい存在だよ。瀬南くんは他の友達とはちょっと違う。特別な存在…特別な友達?」

「いつから僕たち友達になったの?」

「う、やっぱり友達だって思ってるの私だけ?」

今日1日でかなり仲良くなれたと思ったんだけどな… こうもはっきり言われると少し項垂れてしまう。少し考え込むような素振りを見せた後に瀬南くんが呟く。

「友達っていうか……保護者みたいな感じかな」

「私が?」

「僕が に決まってるでしょ」

「保護者かぁ」

…んー、でも他人って言われるよりかはいいかも。瀬南くんの中でも私との距離が縮まったって認識なら嬉しいし

「見守るくらいならしてあげてもいいよ」

そうやって言う瀬南くんはコンクールのチラシを持ってきた時よりも、ずっと優しい表情で私のことを見てくれた

「ありがと」

17:00を回った頃には学校の最寄り駅まで戻ってきた。瀬南くんは改札を通らずに私が乗る電車が来るのを一緒に待ってくれている。

「今日はありがとう」

「何回も言ってるけど、僕の予定に付き合わせただけだから」

「それでも、瀬南くんのおかげでほんと久しぶりに休日外に出れたし、今日1日楽しかったの!だから、ありがとう」

深々とお辞儀をしてから顔を上げる

「まぁ最初以外は顔も作ってなかったみたいだし、素でいられたなら良かったんじゃない」

「学校でも自然と笑えそうだよ」

「そう、良かったね」

電車が来ることを知らせる音が鳴る

「もう電車来ちゃうのか…あっという間だったなぁ」

「たしかに今日は時間が過ぎるの早かった」

「瀬南くんは話しやすいから、もう少し話してたかったのに残念」

遠かった電車があっという間に目の前までやってくる

「………」

「あ!学校で会ったら話しかけていい?」

「…好きにすれば」

早く乗りなよ、と手で示されたので電車に乗って瀬南くんと対面する。

「じゃあ、話しかけるね!」

「ん」

「またね、瀬南くん」

電車の扉が閉まってガラス越しに瀬南くんを見る。眼鏡をかけているからか、表情が見えづらくて彼がどんなことを考えているか分からない。

電車が動き始めたので小さく手を振る。瀬南くんは振り返してはくれなかったけど、私が見てる間はずっとそこから動かずにこっちを見てくれていた。




帰宅してリビングのソファに鞄を下ろしながら独り言が漏れる。

「楽しかったなぁ」

「何して遊んだの?」

ソファに座ってスマホを触っている妹に声をかけられた。

「ランチ食べて、絵を見に行って、画材屋さん行って、公園でりんごジュース飲んで帰ってきた」

「絵?ますみん、じゃないよね?」

「瀬南くんっていう同級生」

羽織らせてもらったコートを脱ごうとすると、ふわりと瀬南くんの匂いがする

「友ちゃんの彼氏?」

「え?友達だよ。」

「ふーん、でもさ男の子と2人で出かけるってデートだよね」

「デート…」


‘言ったこと忘れたの?’と顔を作らなくていいって言ってくれたこと

‘いい顔してるってこと’と柔らかい表情を浮かべてもらえたこと

彼のバックの紐を掴んで歩いたこと

りんごジュースのカップごと手を掴まれたこと

ふわふわと今日のことが思い返される


「……いや、あれはデートじゃ、ないっから」

「そう?」

「そうなの、借りた服洗濯しないと」

なんかほっぺ熱い気がするけど、それは気のせいだって自分に言い聞かせて妹がいるリビングをあとにした。

廊下に出たタイミングでブー ブー とスマホが震えた


藤崎組 … 5分前

【買い物終わったらどこ集合だっけ?】

藤崎組 … 4分前

【入り口集合!】


グループLINEの通知だった。

そっか…私おばあちゃんの四十九日で行く気になれなくて断ったんだった。瀬南くんのおかげで自分がそれで落ち込んでいたことをすっかり忘れていた。

こうやって前に進んでいくのかなおばあちゃん…



真住慶太 … 今

【お土産、何が欲しい?】


ますみんからだ。お土産かぁ…夢の国に行ってるんだっけ


五十嵐友香

【美味しいものがいい笑】

って送ったらすぐ既読がついて返信が来る


真住慶太

【食いもんでいいのか?】

五十嵐友香

【うん!】

真住慶太

【分かった】

やりとりが終わったと思って、ポケットにしまおうとしたらもう一度震えたので画面を確認する。


真住慶太

【お土産渡しに行きたいんだけど明日って時間ある?】


微糖な貴方に惹かれる私

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