「ふわぁぁぁ。」
高校の入学式を目前に控え、その高校へと向かっている最中、僕は歩きながら大あくびをした。
「アンタねぇ、あと小一時間もすれば入学式なのよ。高校生活の初日くらいシャキっとしなさいよ。」
僕の隣で歩きながら、小言を飛ばしてくるこいつは僕の幼なじみで同じ高校に入学する新入生でもある姫川美琴。
「そうやって冴えない空気出してると、高校で友達作れないわよ。」
「いいんだよ、友達なんて作っても面倒なだけだ。困ったときはお前を頼ればいいだけだろ。」
「そういうところよ。私頼りなところを直しなさいって、クラスが違ったりしたらどうするの。」
「そん時はそん時だ。クラス越えてでも頼みに行くから安心しろ。」
「何を安心しろってのよ。」
そうして十数分ほど歩いて、僕らの家からも近めの距離にあるその高校に到着した。
「ぇー皆さんはこれから、ぇー我が校の生徒として、ぇー日々勉学や運動に励み、ぇー、・・・・・・」
入学した高校の校長はかなり話が長そうなタイプだな。小学校や中学校は話の短いアタリの校長だったからな、こりゃ3年間大変になりそうだな。
というわけで長い長い校長の話を含めた入学式を終え、僕らはクラスにやってきた。
幸運なことに美琴と同じクラスを引き当てた僕は早速喋りに行こうと思っていたのだが、
「あの、お友達、なってくれませんか?」
「いいぞ。」
僕は話しかけてくれた少女にすぐさまOKを出した。
「えっ!?返事早すぎませんか!?」
「まぁ、とあるやつから高校で友達作ってこいって言いつけられてるからな。おめでとう、友達第一号だ。」
「は、はぁ。そういうものですか。」
「そういうものだよ、友達なんてのは。」
というわけで、僕にも高校生活を彩ってくれるであろうお友達ができました。これで美琴に小言を言われることはない、はずだ。