俺はその日、
耳を突き刺すサイレンで目が覚めた。
時計の針は9時を指している。
「うるせぇなぁ…」
文句を垂れながらベッドの横にあるカーテン
を開けると、
俺の目に飛び込んできたのは
爽やかな朝の日差しと
それに合わない
“あいつ”が救急車に乗せられる
異様な光景だった。
「…は?」
状況が理解できない。
パジャマ代わりのジャージを着たまま
家を飛び出して行った。
もう一度見てみる。確かに”あいつ”だった。
「俺も乗せて貰えませんか!!!」
不意に出たその言葉。
口に出た時にはもう走り出して行った白い車。
俺は急いでまだ寝てるであろう
母を叩き起こした。
「母さん!!!“あいつ”が…救急車に…」
なぜか目から涙が溢れてくる。何故だろう。
「分かった。」
母さんはすぐに車を出して走り出した。
ここはそれなりな田舎だ。
連れて行かれる病院は1つしか思いつかない。
「すいません!!ここに『橘 花鈴』は運ばれてきませんでしたか!!」
その俺の声だけが病院のロビーに響いた。
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初投稿なのでダメ出しドンドンしてください!!!