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トウカside



ここに転生してからは大変だった。

コミュ力のない私は友達を作るのにも、仲間に信用されるのにも苦労した。



なのに……次に転生してきたアイツは違った……


私の次に転生してきた奴の名前はヒスイ。

私と違って、綺麗な水色の髪、吸い込まれそうな瞳。

そして、その髪よりも、瞳よりも美しかったのは彼女の心。


異常なまでの自己犠牲、優しさ……

私とは何もかも違った。



そんな彼女は簡単に友達を作って、仲間を集め、みんなの信頼を得た。

そして、この世界を脅かしていた悪を倒した。


私が苦労した友達作りをいとも簡単にやり遂げ、世界を救った。

まるでお話のヒロイン……


世界を救った彼女は皆から「救世主」と称えられ、何もしなかった私からはみんな離れていった。




「うげぇ……」


楽しく朝食を食べていた私は私の友達に囲まれて談笑をするアイツに顔をしかめる。


なんで朝からこんなの見ないといけないの?



「みんなおはよう!」


???「あ、おはよう!」


そう言って元気に手を振る彼の名は、ルミナ。

私の「元」親友。

朝から元気ですこと……

私の気も知らないで。


そんなことを思いながら朝食を食べていると、

私に気づいたヒスイが笑顔で向かってくる。


「透海ちゃん、おはよう!何食べt「あら、誰かと思ったら救世主サマじゃない。モブになんか用?」



救世主サマの部分を強調しながら笑顔で答える。


「あ、え…」

「あのねぇ。私はね、貴方なんかに騙されないわ。この世界を救ったからって……全部手に入れて…それって…」


ずるいんじゃない?


「……ねぇ、トウカちゃん…?  私は貴方のこと、嫌ったりしてないよ……?貴方にも事情があったんでしょ?何か辛いことがあったんだよね」


私を慰めるように、あやすように

甘い、優しい言葉をかけてくるヒスイ

ありがたいお言葉なんだろうけど、

今の私にはただの毒だった。


……気持ち悪い……



「よくそんな綺麗事並べられるよね…? 恥ずかしくない? 私が嫌われてることなんてアンタに関係ないでしょ?ほら、あそこで『貴方の』お友達と仲良くおしゃべりしてたら?」


そういうと、ヒスイは目に涙を溜めて黙ってしまう。

うわ、やらかした


「あ、あれ?ヒスイちゃん?!   どうしたの?   ねぇトウカ、またヒスイになんかしたでしょ?   最近おかしいよ……透海は……」


心配した様子で向かってきたのはルミナ。

貴方だって…救世主に寝返った癖に…


「救世主サマはあっちいって目障りだから。」

「もういいよ。あっち行こ、ヒスイ。」



「短気な子は嫌われるわよー♪」

「……」


早足で去っていく背中に、嫌味をぶつける。


無視なんて酷いじゃない。

貴方、いつからあの子の親友になったの?

旅の間で何があったか知らないけれど………

私も旅に参加すれば良かったの……?





ー数年前ー


ーねぇ、透海ちゃん


ーどうしたの……?  ルミナ。


ーあのね、1つヒスイちゃんから提案があるんだって!


ーヒスイから?


ーそ、そうなの!  私ね、魔王の城に乗り込んで、魔王を倒そうと思う!


ー……は?


ー僕達ね、ずっとあの魔王のせいで大変だったんだ……だから、倒しに行こうって……


ーだから、透海ちゃんにも来て欲しくて……


ー…………死ぬかもしれないのに?


ー……うん。でも、ゆっくりでいいよ!すぐに決められることじゃないだろうしさ……


ー私は……行かないかな……死にたくないし。


ーそっか……わかった。  それじゃぁヒスイちゃんはここで待ってて。


ー……うん。






あの時、「行く」って言っていたらこんなことにならなかったの?

みんなから嫌われないで済んだの?


???「ごきげんよう。 嫌われ者さん。」


突然背後から聞き覚えのある声がする


「あら、随分ご機嫌ねぇ。  なんの用?」


???「……ふふ、ちょうど暇だったのよ。」


彼女の名前はアスカ。

この街に住むお嬢様。



「それで?  今日は何やらかしたの?」

「さぁ?   なんだと思う?」



「なによ……教えてくれたっていいじゃない?」

「アンタなんかに教えない」

「ケチねぇ……そんな人は嫌われるわよ?

あ、もう嫌われてたわね。」



そう言っていやらしく笑う。


はぁ……コイツはなんでいつもこうなんだよ。

皮肉屋で、腹黒で意地が悪くて…

そんな彼女と気が合う私も同じなんだろうけど


「ご親切にどうも」

「あら、どういたしまして♪」

「それじゃ、私は急ぎの用があるから。」


席を立つ。

朝から嫌なことばっかりね……


苛立ちながら帰路につく。


家のドアを開けて、中に入る。

あの子、ちゃんといい子にしてたかしら……



「ただいま。」


《ん。おかえり、今日は遅かったな?》

「そう?」

《あぁ、いつもより30分くらい遅いぜ》

「30分だけよ」

《心配したんだぞ?》

「そりゃどうも」



こいつの名前はカルヴァリー。

私がここに来る前から家に住み着いた幽霊らしい。

今は私のぬいぐるみの中に入ってる、



《あぁ、そうだ。今日、面白いものを見たぜ。知りたいか?》

「何?」


ヒスイが死んだとか?

…………そんなことないか、アイツ、ピンピンしてたし。


《新しくここに転生した奴がいるらしい。》

「…………はぁ?」


いま、コイツ何て?  新しく転生してきた奴?

嘘……意味わかんない……


「どんな子だったの?」


《あー……どうだったか…やけに香水臭いやつだったな……》

「ふーん…それがアンタの言う面白い話?」


《いや、残念なことに、この話には続きがあるんだよ》


とても楽しそうな顔をして、続ける


《その転生者に会った途端、お前のオトモダチは、顔を真っ赤に染めて、馴れ馴れしくし始めた。気持ち悪いくらいにな。》

「……相当美人だったの?」


《いんや、そこまで綺麗じゃない。》

「あらそう。」


《それでだな……》


カルヴァリーが話を続けようとしたその時、

家の扉が大きく音を立てて開く。


扉の外に居たのは涙を浮かべながらこちらを見つめるヒスイだった。

 

ヒスイ「……と、透海ちゃ……」


「なんの用?」

ヒスイ「お願い……っ……みんなを助けて……っ」


そう言って頭を下げる。


一体、どういうことよ……?

主人公は愛されたい(旧版)

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