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ープライベート中に失礼しましたー

英雄は、どこか懐かしい泣き顔を思い出したのか、目の前で涙を流す石油王を抱きしめた。

なぜだか無性に抱きしめたくなった。


この人を守りたい。


英雄の腕の中で、石油王はいつの間にか眠っていた。安心したのだろうか。しばらくして目を覚ました時の、眠い目を擦る仕草は、とても愛おしく感じられた。

「んん…眠っていたのか…?」

「おはようございます。ぐっすりでしたよ。」

そう言ってエクスはフフっと微笑む。

イブラヒムは思考の整理が追いつかないのか、大きな目をパチパチさせた。かと思いきや、咄嗟に頬を赤く染める。

「えっと、つまり私はエクスに抱きしめられながら寝ていた…?わ、悪かった!すまない!」

そう言うとイブラヒムはエクスの腕を振り解き、さっと離れようとする。しかしエクスは離さなかった。

「ずっと俺の膝の上にいていいんですよ?」

「いや、その、あれだ!私がずっと上にいては脚が痺れるだろう!」

「いいえ、貴方は軽いです。ほら、遠慮しないで。」

そう言うや否やエクスはイブラヒムの腕をぐいっと引っ張り、無理矢理自分の元へ引き戻した。

「何をするっ!あっ、うわっ!」

「はい、捕まえた。」


ガチャ


何者かが突然部屋に入ってきた。

2人は自分たちのことに夢中で、足音もノックも聞こえていなかったのだ。

「イブ様ー…あ、おっとぉ?これは…プライベート中に失礼しました。」

そこには赤髪の青年が立っていた。


イブラヒムの護衛、

ローレン・イロアスだ。

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