今しかないよなぁ…
莉菜「ごめん、ちょっとあの子と話してくる」
友達「おぉ、いってら〜」
莉菜「こんにちは」
??「…あ、朝助けてくれた人!」
私を見てぱっと表情が明るくなったニンゲン
莉菜「真剣な話したいから私しか知らない秘密基地に連れてってあげる」
??「…?」
そういえば名前聞いてなかったな…
莉菜「君名前は?」
??「ボクはアル!」
アル「よろしくね。」
ボク……?
人外共和国では、女の人は【私】、男の人は【俺】か【僕】でいなきゃいけない決まり
つまりルールを知らない…?
莉菜「アルってニンゲンでしょ」
アル「違うよ笑」
不気味に微笑むアル
その顔は、ニンゲンとは思えない程怖かった
莉菜「………そんなにニンゲンじゃないって言うなら、魔法出してよ」
アル「はいどうぞ」
魔法…本物の魔法だ
ニンゲンは魔法が使えないんじゃなかった…?
アル「…もう言うしかないね…」
と、呆れたように言うアル
アル「何が?と言わんばかりに頭に【?】を浮かべないで」
莉菜「あぁ、ごめん…」
アル「君の言う通りボクはニンゲン。」
やっぱり合ってた…!!
捉えて腕だけでも貰えな____
アル「でも」
アル「何故か魔法が使えるんだ」
ボクにもわからないケドと、座っていた場所に寝っ転がった
首が男の人だ………
アル「両親とピクニックしてただけなんだけどね、」
アル「なんか……変な場所に連れてかれちゃってさ」
何故か楽しそうに話すアルは、本当にサイコパスでしかないと思った
莉菜「……変な場所って…、この人外共和国…?」
アル「そ!」
寝っ転がっていた体制を元に戻し、真剣な顔をした
アル「人間界に、戻してほしいんだ」
莉菜「……は、?」
衝撃
本当に意味がわからない
私はニンゲンを見れただけでも興奮状態なのに…それを手伝えと…?
無理無理、誤って殺しちゃうかもしれないのに…
莉菜「…無理」
アル「だよね」
莉菜「…え?」
分かっていたかのように断ったアルを見て、本当にニンゲンには見えなかった
アル「ボクも帰り方わかんないし、両親に捨てられた身だし…。帰っても打たれるだけだろうなぁって」
アル「ぶっちゃけここにいたいけどね!不気味だし、殺されるかもしれないケドさ」
ニンゲンじゃないでしょ…
こいつ………。
授業で習った【人外共和国】の歴史に、女の子が迷い込んだという逸話がある
その女の子は、誰にでも優しかったらしい
その為人外達もその子を気に入り、ご飯や服も沢山あげた
けど、その女の子はニンゲンに殺され、人外達も破滅しそうになったのだとか……
だからニンゲンと関わっちゃいけない
自分が殺されるかもしれないから。
アル「…その逸話知ってる」
アル「でもボク、何週間か前からここにいるけど人外達皆優しくて好きだよ」
アル「見た目は勿論怖いけど、話せば楽しいからね」
さっきまでの不気味な笑顔が、凄く暖かい笑顔になった
…アルは、良い奴だ
でもやっぱ、私も怖いのかな
莉菜「…私、怖いの?」
アル「全然、普通に人間かと思った」
ニンゲンって…こういう見た目してるんだ…
黒髪黒目はうそ…?
莉菜「…じゃあ人間界に戻す手伝いをする代わりに、私から1つ条件」
アル「何?」
アルは優しい
嬉しい言葉を言ってくれたから
話してて暖かいから
利用するつもりはないけど、遊び相手になって欲しい
莉菜「…ニンゲンについて、教えてほしい」
アル「…え、それだけ?」
アル「なんかもっとこう……いいの?」
莉菜「いいの!」
ニンゲンを知れるチャンス…!!
アル「じゃあそれで良いけど…」
莉菜「ほんと!?やった〜!!!」
素直にそれが嬉しくて、手を上に挙げてバンザイをした
ニンゲンには興味があるから嬉しいな…
アル「…お前と居ると楽しいや」