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テラーノベル(Teller Novel)
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今も昔も、「夏といえば?」と聞かれると、「プール!海!」と答えます。

昔から海は怖くて入れませんが、プールは、入るのも、泳ぐのも大好きでした。

それに加えて、温泉に入るのも大好きでした。

大きなお風呂に、まだ小さかったぼくは、こけないかヒヤヒヤされながら父や兄と一緒によく入りに行っていました。

そんな、大好きなプールや温泉は何年も行ってません。

コロナウイルスの関係もありますが、ぼくの家は、何度か行く機会がありました。

そんなときもぼくは、留守番をするか、一人で待っているかです。

「入らない」ではなく、「入れない」が正解かもしれません。

温泉でもプールでも、身体を他人を見られてしまいます。

女の体を見られたくない。

見られるのが、怖くて、気持ち悪い。

理由はそれだけです。

「それだけ」が泣いてしまうほど、死んでしまいたいほど、嫌で苦しい。

家族が温泉やプールに行っている間、一人で待つのも、とてつもなく寂しくて悲しい。

そんな時、ぼくは自分の性別を呪います。

もし自分がちゃんとした女の子だったら、

もし自分がちゃんとした男の子だったら、

もし自分の身体の成長を望めたら、好きになれたら、 喜べたら。

入られなくなったのは自分の性別に気づいてから。

自分の性別に気づいたからこそ辛かったことも、怖かったこともあります。むしろそっちのほうが多いかもしれません。

何度も「自分の性別が普通だったら」と考えました。

それでもぼくは自分の性別に気づいて良かったと思っています。

自分を知らず、ただ、なぜかも分からない嫌悪感を持ち続けて、苦しみ続けるほうが、きっと何倍も苦しくて、怖くて、悲しいことだと思うから。

火那という人間について。

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