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紗羽、今日は来るかな…
俺は紗羽が心配で心配で仕方が無かった。
また何かされてるんじゃないかとか、危険な目に逢ってるんじゃないかとか。あって欲しくない余計なことをたくさん考えてしまう。
心の中で「大丈夫」と言い聞かせ外を歩く。本当は今日も紗羽か来ないんじゃないかと心配だった。
……その心配はいらなかったかもしれない。
丘に着くともう紗羽が待っていた。
「…紗羽!!」
まだ少し距離があるにも関わらず、大声で名前を呼んでみる。
「…蓮兔くん!!!」
紗羽が振り返ってパァっと笑顔になる。可愛い。
「紗羽ッ、お前なんで来なかったんだ」
紗羽の姿を見て血の気が引けた。紗羽の体には痛々しい痣と切り傷があった。
「ぇ……紗羽…?」
何でだろう。か細い声しか出ない。
_____危険な目に逢ってるんじゃないか…
そんな心配いらないと思ってたのに。今日も元気に、普通に話して、くだらない話をして。
紗羽…何があったんだ?
「ぁーやだなもう、そんな見ないでよエッチ」
笑って茶化す紗羽。泣きそうな、辛そうな、紗羽のそんな作り笑い、見たくない。紗羽には幸せそうな笑顔でいて欲しい。
「紗羽!!」
紗羽の肩を掴み、訴える。紗羽はおどけた顔をしている。
「何が、あった…?」
俺はこれまでに無い真剣な目つきで紗羽を見た。本当のことを、何があったのか、教えて欲しい。
「急にどうしたの?私何もないよ?」
そう…なのか?本当に何もないなら、良かった。本当かは分からないけど、本人が言ってるからそうなんだろう。
「そっか…なら、いいや」
「蓮兔くんって鈍いよねー…」
「え?なんか言った?」
「ううん、何にも?」
「何だよ!!なんか言ってただろ〜!!」
「何でもありませーん」
「何でもないわけないだろ!!」
「あー、女の子に根掘り葉掘り聞くと嫌われちゃうんだよ〜?」
「何!?」
こんな一時が、ずっと続けばいいのに。