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テラーノベル(Teller Novel)
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平野「舞川っ!大丈夫かっ!?」

風「平野っ!」

海人「風ちゃん…!」

風「海ちゃん…っ!やめ…っ」

そこまで言って、強引に口を塞がれた。海ちゃんの唇で…。

バーン!

平野「海人…っ!!お前、何やってんだ…っ!!」

ドアを蹴破って入ってきた平野が、すぐさまベッドに近づき、海ちゃんの首根っこをつかんでベッドから引きずり出し、胸ぐらを掴んでゴリラのように持ち上げる。

平野「お前~自分が何してんのか分かってんのかぁー!?」

海人「ふ、ふるひぃ~(苦しい~)」

海ちゃんが地面から浮き上がって足をじたばたさせる。

風「平野!やめて!海ちゃん死んじゃう!」

二人の間に無理やり割り込もうとすると、今度は平野が私のほうに顔を向ける。

平野「舞川ぁーっ!!お前もお前だ!!」

風「ひぇっ!?」

平野が突然海ちゃんを手から離したので、海ちゃんはお尻から地面に落ちて「いたぁ~い!」と泣きそうになっている。

平野「二人とも、そこ座る!」

風・海人「は、はいぃーっ!」

私と海ちゃんはなぜか正座させられ、平野から説教を受ける。

平野「まず海人!お前、これは完全にセクハラ問題だぞ!?寮の息子が寮生に手を出すとか、完全なセクハラ!もうこれは海人の母ちゃんに報告して家族会議してもらうぞ!」

海人「えぇー!?ママに言うのとか絶対やめてー!恥ずかしすぎるぅ~~っ!!」

風「まぁまぁ、そこまでしなくてもいいよ!(汗)叔母さんに知られるとか、私もなんか恥ずかしいし!」

平野「舞川!お前もだ!だから俺は、二人で同じ部屋に寝るなんてまずいんじゃないか?って言っただろ!?お前は隙がありすぎだ!」

風「だ、だってこんなにかわいい海ちゃんがまさか突然”オス”に変身するとか思わんやん~…。海ちゃん、今までずっと彼女途絶えたことなかったのに、ここ最近彼女いなかったから欲求不満やったんやね?男子高校生というものを全く理解できていませんでした…。反省してます…」




平野「とりあえず、海人は今夜は俺の部屋来い!中島先輩はもう寝てるから、俺のベッドにこっそり泊めてやるから」

海ちゃんはまた平野に首根っこをつかまれて、しゅーんとしながら連れていかれた。


うぅぅ~~、寝れない…っ!!

ほんまにさっきの現実!?

今でも信じられへん!あのかわいい海ちゃんがあんな野生の飢えた狼のように豹変するなんて…!

いくら欲求不満だからって、いとこに欲情するもん!?

するんか、男子高校生という生き物は。それが男っちゅうもんなんか!?

夜中に女子と同じベッドにおったらそうなるんか?

いや、私だって他の男子なら「友達だから平気よね~」なんて言わない。そこまで隙だらけやない。

でも、いとこよ?いとこなのになんで!?

あ…そっか、いとこ”だから”か。

身内だから、ちょっとくらいいたずらしても許されると思ったんか。

そっか、そうよね。これ、他人にやったらほんま犯罪レベルやもんね。

コンコン。

平野「舞川?起きてるか?寝てるか?」

ドアをノックする音がして、平野の小さな声がした。

ドアを開ける。

平野「やっぱり、まだ起きてたか」

風「うん、ちょっといろいろ考えちゃって眠れんくて…」

平野「だと思った」

風「心配して、来てくれたん?」

平野「まぁ…な。海人のこと寝かしつけたから、ちょっと様子見に来た。眠れないなら、話し相手くらいにはなれるかなと思って。」

風「海ちゃん、ひどいよね…。私、”初めて”だったのに…」

平野「えっえぇっ!?ちょっと待て、”初めて”ってお前ら、俺が入ったあの時、事後…!?」

風「え?事後?…はっ!?…違う違う!事後じゃない!未遂!!初めてって、キスのこと!ファーストキス!」

平野「あ、なんだキスか」

風「なんだって何よ!?これだからモテる男たちは!平野にとっても海ちゃんにとっても、今まで何度もしてるうちの1回かもしれんけど、私にとっては大事なファーストキスやったんやからぁ~~!

しかも、大好きな人に失恋したその日に!しかも相手いとこ!しかも、ただの性欲のはけ口として!最悪やん~~…」

もう、ほんと涙出てくる…。

平野「ごめんごめん。ちょっとびっくりしちゃって。いや、俺だって”キスくらい”なんて軽く考えてるわけじゃないよ。特に女の子にとってファーストキスって大切なものだもんな」

平野が私の肩にポンと手を置いた瞬間、ビクッと体が硬直してしまった。

さっき、海ちゃんに押さえつけられた時のこと思い出して、反射的に。

あなどっていた海ちゃんでさえ、全く力で叶わなかったんだから、平野のこのたくましい腕で押さえつけられたら1mmも身動きとれないと思う。

平野「あ、ごめん」

平野がすぐに手を離す。

うわ、せっかく心配して来てくれたのに、今の態度めっちゃ失礼やん。平野は何もしてないのに。

平野を警戒しているような態度とったら、失礼だし、だいいち自意識過剰と思われる。

よし、ここは普通に普通に。

風「あ、部屋、入る?」

顔面硬直したまま、棒読みのセリフみたいに言う。

平野「だからお前は!学習しなさすぎ!不用心に男を部屋に入れるなって言ってんだろ!」

風「あ、あ、そっか。でも、平野はそんなことしないやん」

平野「わかんねえぞ?俺だって男だからな」

風「えっ?えぇーっ!?」

平野「いや、嘘嘘(笑)自分のこと好きじゃない女を無理やり襲うとか、そんな趣味ないから。

それに言ったじゃん。俺が好きなのは、一生懸命岸くんのことが好きな舞川だって。もし俺が口説いて、簡単に俺のほう向いちゃう舞川じゃ、それはなんかちょっとやだもん。そんなの俺が認めた舞川じゃない」

風「じゃあ私ずっと平野に認めてもらえる自信あるわ。まだまだこの先もずっと、岸くんへの思いは消えてくれそうにないから」

平野「じゃあ、ずっと大好きな友達でいられそうだな!

なら俺、しばらくここにいるからドア閉めて話すか?それなら怖くないだろ?」

風「いいよ、悪いよ」

平野「大丈夫だって。眠くなったら、勝手に寝ていいからな」

平野は自らドアを閉めた。どすんと座ってドアに寄りかかる音がした。

風「平野…」

平野の押し付けることない優しさが、じんわりとしみる。

私も毛布を引っ張ってきて、ドアを隔てて、平野と背中合わせになって座る。

それから二人でたわいもない話をたくさんした。

岸くんのおちゃめなエピソード、れんれんのナルシストエピソード、じぐいわのくだらない喧嘩の理由…海ちゃんの話題をさりげなく避けてくれたのは、平野の優しさだと思う。

人と話しながら眠りにつくのって、心地いい…。

さっきまでのモヤモヤした気持ちが消えていて、いつの間にか眠っていた。

朝。

わ!いつの間に寝てた!

平野、部屋戻ったかな?

ゴン!

ドアを開けようとしたら、大きな物体にぶつかった。

平野「いってぇ~!」

風「えっ!?平野、ここで寝てたん!?」

平野「う、腰いてぇ…」

立ち上がろうとして、平野がおじいちゃんのように腰を曲げる。

平野「まじ、腰が痛いわぁ…」(←腰痛持ち)

風「もう~、昨日無理するから」

ガチャ。

隣の部屋から海ちゃんが出てきた。

3人「あ…」

~海人サイド~

紫耀先輩に連れ帰られて、二人で一つのベッドに入る。

紫耀先輩、でか…ゴツ…。

風ちゃん、柔らかかったなぁ~…。

…って何”いい思い出”みたいに浸っちゃってんだよ俺!!

さっき俺、何した!?

風ちゃんに馬乗りになって、両手押さえつけて、キ、キ、キ…ぅ、うわぁぁぁ~~~!!(@_@)(自滅)

さ、最低だ…!明日から、俺、風ちゃんにどんな顔して会えばいいんだよぉ~~!?

でもさでもさ!?あんな間近で顔じっと見てさ?「かっこよくて見惚れてた」とか言ってさ?それで自分のベッドに連れ込んでさ?

それ、普通に考えたら絶対誘ってるよね!?好きな女の子にそんなことされて、我慢きく男なんているの逆に!?

もう頭ん中グルグルして、まったく眠れなかった。

でも、紫耀先輩めっちゃ怖かったから、寝たふり…。

そしたら、紫耀先輩がこっそり部屋を抜け出していった。

え?こんな時間にどこに?まさか風ちゃんの部屋?

そういえば、紫耀先輩って何かと風ちゃんと一緒に行動してることが多いよな?

もしかして、紫耀先輩も風ちゃんのことが好きだったりするのかな!?

廉先輩だけでもやばいのに、紫耀先輩までライバルになったら、俺、いとこってハンデなしでも、もう勝ち目ないんですけど~~(;´д`)

ほとんど眠れなくて朝を迎えた。

部屋を出たら、ちょうど紫耀先輩と風ちゃんがいた。

あ、朝帰り…!?

しかも、なんかイチャイチャしてる…!!(←腰が痛い平野の体を、風が支えているところだった)

平野「まじ、腰が痛いわぁ…」

風「もう~、昨日無理するから」

え、えぇ~~っ!?紫耀先輩、昨日頑張りすぎちゃって腰痛いって!?いつの間に二人はそんな関係に…。そして、そんな腰痛めるほど激しく…!?アワワワワ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)(←自分が頭ん中エロモード入っているので、もう下ネタにしか聞こえない海人)

俺の暴走のせいで、二人が急接近してしまったぁ~~(꒪ω꒪υ)

お、終わった…。俺の儚い初恋…。

平野・風「あ」

バチっと目が合う。

あ、どうしよどうしよ…!!風ちゃんと合わせる顔がないよ…Σ( ̄ロ ̄lll)

すると、風ちゃんがつかつかと近づいてきた。

風「海ちゃん、昨日の、他の子にやったら、ほんと犯罪やからね?身内ってことで今回は特別に許すけど、二・度・と!しないでね!ほんっと、次はないからね!」

好きな子を泣かせちゃったりしていたらどうしようって、すっごく後悔していたから、予想外の明るい態度に拍子抜けする。

海人「は、はい…!風ちゃん、ほんとにごめんなさい…!!」

風「ま、私もあかんとこあったしね。海ちゃんやから、特別に許す!この寮に他に女子おらんくてよかったわぁ。他に被害者出てたら、身内としてどう責任をとったらいいのやら…」

風ちゃん、身内、身内って言いすぎ…。

それに、他に女子がいたって、襲ったりしないよ。

なんで勝手に俺が性欲抑えられなくて誰かれかまわず襲ったってことで話が完結してるの?

もっと「なんであんなことしたの!?」って責められたほうがよっぽどよかった。

俺の行動の理由を、少しは真剣に考えてほしかった。

いとこだから、なんの疑問も持ってくれずに、ただの欲求不満の行動って解釈されちゃうの?

そんなに俺って恋愛対象外?

正直、風ちゃんも相当岸くんに相手にされてなかったと思ってたけど、俺はたぶんその上を行くな…。

だけど、どーにもこーにもならないってわかってても、それでもあきらめられないんだ。

スキスキスキスキ。

いつか振り向かせたい。

俺のこと、”男”として「大好き」にさせたいんだ。

だから勝負かけたんだ。見事に撃沈したけどね。

でも、負けないから。挑み続けるから。

平野「あれ?今日って舞川、サッカー部来ない日だっけ?頼みたい仕事あったのになぁ」

岩橋「なんか、今日チアダン部、新しいユニフォームが来たからユニフォーム着て練習あるって言ってましたよ?」

サッカー部男子「チアダン部のユニフォーム練習!?ちょっと見に行こうぜ!」

サッカー部男子「だなだな!めっちゃかわいいよなぁ~!平野も行こうぜ!」

平野「お?おう!」

神宮寺「じゃあ、俺も…」

岩橋「神宮寺…!?(怒)」

神宮寺「あ、俺はそういうの、興味ないから行くのやめよっかなー…ハハハ」

岩橋「行きたいなら、行けば…ッ!ふんっ!」

神宮寺「げ、玄樹ぃ~!!(汗)」

サッカー部の仲間と、こっそり体育館を覗く。

サッカー部男子「かっわいいよなぁ~!俺さ、舞川さん、けっこうファンなんだよね~。いつもKing & Princeと一緒にいるから恐れ多くて話しかけられないけどさ~。平野は仲良くていいよなぁ。ぶっちゃけお前ら付き合ってんの!?」

平野「は?付き合ってねーよ。普通に友達」

サッカー部男子「じゃあ、彼氏いないんだ!?俺、思い切ってコクってみっかな~」

サッカー部男子「いや、舞川さんは永瀬が気に入ってるから手出すなって暗黙の了解だろ?それがなかったら、とっくにもっとコクってるやついるぜ?」

へぇ…、舞川ってけっこうモテんだな…。知らなかった。

サッカー部男子「あ!パンチラ!ふぅ~!最っ高!ミニスカにパンチラ、チアダン部のユニフォームって男の夢だよなぁ~!」

平野「おい舞川っ!お前パンツ見えてんぞ!!」

思わず大声を出していた。

風「平野っ!?」

チアダン部女子「きゃー!平野くぅ~ん♡♡♡」

平野「ちょっとスカート短すぎねぇか!?パンツ丸見えだぞ!?」

風「ちょっと何言ってんの…!?これは、そういうユニフォームなんやから!」

平野「まさかお前、”これは見せてもいいパンツだからいいの”とか言うんじゃないだろうな!?俺は見せパン見せブラの文化は認めてねーぞ!?」

風「もう~~っ何言うてんの!?平野の変態!変態オヤジ…っ!!」

舞川がプリプリと近寄ってきて、ガラガラガラっと体育館の扉を閉めた。

平野「はぁ~っ!?俺は変態じゃねーよ!パンツ見えてるって教えてやったんだから!パンツ見て喜んでたのはコイツらじゃんか!?なぁっ!?」

パンチラにヒューヒューいって盛り上がっていたやつらに同意を求めるが、彼らは「知~らない」と両手をあげて首を傾げておどけてみせた。

なんっだよ!男たちにいやらしい目で見られてたから、親切に忠告してやっただけなのに…!

なんで俺が”変態オヤジ”なんだよ!しかもオヤジじゃねーし!

あぁあ~!なんかイライラする!!

練習が始まっても、なんだか今日はシュートの精度が悪い。

廉「紫耀、どしたー?今日、なんか調子出ぇへんな?」

平野「恋愛マスターの廉に聞く!」

廉「は!?なんやねん急に。俺、いつの間に恋愛マスターになったん?まぁええわ。何や?」

平野「廉は今まで何人も女の子と付き合ってるけど、どういう瞬間に”この子のこと好きだな”ってわかんの?」

廉「そら、”かわええな”思うた時ちゃうん?」

平野「顔がかわいいと思う子なんて、俺、けっこういるよ?でもさ、その子がパンチラしてたら、普通に嬉しいだけだけど?」

廉「は!?パンチラ!?何の話やねん?」

平野「じゃあ、もう一つ質問。目の前を歩いていた女子がパンチラしました。どう思う?」

廉「ラッキーって思う(即答)」

平野「うん、だよな」

廉「そらそうやろ。そうじゃない男なんておるんか?てか、だから何の話やねん!恋愛の話はどこ行ったん!?」

平野「いやそれがさ、俺、見つけちゃったんだよね。好きかどうかを測る方法」

廉「おう?言うてみ?」

平野「パンチラして、普通に男友達とイエーイって盛り上がれたら、その子のことは何とも思ってない。

自分は見たいけど、他の男にパンツを見せたくないって思ったら、それはその子のことが好きってこと。

この理論、どう?」

廉「お前はまた、独特な恋愛理論を発明したなぁ…。うん、でもそれは一理あるな!」

平野「やっぱり…。えっ!えっ!?じゃあ俺って…」

廉「なんや、なんや?どした?」

平野「え、えぇーーーーっ!!!」

廉「お、おい、紫耀!どこ行くんや!?…はぁ~?あいつ、ほんま意味わからんな…」

私を導く運命の王子様はどこ!?

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