チャイムがなる前、クラスは転校生の話で持ちきりだった。
「青子ー、今日の転校生は工藤新一って噂ほんとかな?」
恵子もまた転校生の噂話をしている一人であった。
「本当っぽいよ!昨日校内見学してるところを見かけたんだよね!」
「えーそうだったの!?イケメンだった?」
「イケメンだったし、快斗とそっくりだったかな」
そりゃ俺が素顔で変装できるくらいだからな、と思わず言いたくなってしまったが、そんなことを言えるはずもなく、心のうちに留めておく。
「快斗くんと!?ならイケメンに間違いないね!」
「オレの方がイケメンに決まってんだろ?」
快斗は、俺が名探偵に負けるはずはないんだぜ、と含みを込めた笑みを浮かべた。
「その自信はどこから出てくるのよ…」
そう青子が呆れ交じりに呟くと、廊下側からコツコツと音が聞こえてくる。
ドアがガラガラと開くと、いつも通り紺野先生の声が飛んでくる。しかし、いつもと声色が違うようだ。
「席についてください。今から転校生を紹介します!」
その呼びかけにクラス全体がお祭り騒ぎのような盛り上がりを見せる。
「転校生ってあの工藤新一だろ!?」
「噂の高校生探偵!楽しみー!」
これから教室に入ってくるであろう工藤新一に対してクラスの誰もが期待をしている。
「皆さん静かに!工藤くん、入ってきてください」
「はい、分かりました」
工藤の声が教室まで響き渡ると、先ほどまでの賑やかさとは一転し、声の主に皆が注目していた。
「工藤新一です。よろしくお願いします。」
簡潔に自己紹介を済ませ、工藤新一がニコッと微笑んで見せると、クラスの女子だけでなく、男子までもが新一に見惚れた。快斗が眉目秀麗ならば、新一は容姿端麗といったところだろう。
「じゃ、じゃあ席は…」
「彼の後ろではだめですか?」
「へ?オレの後ろ?」
先生の言葉を遮り、彼――快斗を指した新一に思わず驚き、間抜けな声が喉から飛び出す。
「あら、黒羽くんと知り合いなの?」
「はい、そうなんです。近くに知り合いがいると安心するので…だめですか?」
持ち前のルックスを最大限に駆使して縋るような表情をすると、紺野先生は少し悩んだ末、元々座っていた生徒と新一を交代させた。
(おいおい…コナンと怪盗キッドはともかく、工藤新一と黒羽快斗が知り合いなはずねーだろ…てかこれはもうバレてるのか…?)
そんな気持ちを表に出せるはずもなく、ポーカーフェイスを保とうとするが、僅かに眉間に皺が寄ってしまう。
(この反応…ビンゴだな。)
新一が喜びを隠しながら席についていることなどつゆ知らず、快斗はばれていませんように、と天へ願った。
続く
(1000文字ずつの投稿か2000文字ずつの投稿どっちがいいんだろう…)
コメント
3件
「オレの方がイケメンに決まってんだろ?」って自信満々に言えるの凄いな……😂😂後々新一と快斗どっちがイケメンか、みたいなクラス投票やって欲しいわ……w(( まさかの快斗の後ろの席……!?ってことは気づいた……!? 私原作を読んでる訳じゃないから違うとこあるけど、2人はコナンとキッドでしか関わりないもんね……それなのに快斗=キッドって見破る新一の推理力にびっくり😳😳