TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
熱いランタンの光と。

熱いランタンの光と。

「熱いランタンの光と。」のメインビジュアル

4

翼と麻薬

♥

48

2023年12月14日

シェアするシェアする
報告する

いっそ、死にたい。いやそれこそ逃げてるだけか?でも、死ねば現実なんて僕にはなくなるし、死ねば現実逃避なんて関係ないのか?


あいつは部活をしているだろうか。


あいつは吹奏楽部だ。パーカッション。打楽器だ。


あいつは…春道 翼は、僕にとって初めての(唯一の、でいいかもしれない)女友達だ。

翼は気が強くて、よく怒る。でも、ホントは優しいやつだ。知っている。翼がとても優しいこと。


「翼…みたいになれたらなぁ」


僕は学校が嫌いなわけではない。


僕は友達だってちゃんといた。学校に行きたくないわけでもない。


学校の人たちは、多分、今僕が行っても明るく接してくれる。


でも、それでも行かないのは。顔の大きなアザと、何度でも頭で響いている、「あんたなんか生まなかったら」って、そんな言葉だ。


アザは父に何度も殴られて、できたもの。多分、小学校1年生くらいの時。


それから学校で嫌われるかと思ったが、性格が明るかったから何とかできた。


でも、その言葉には耐えられなかった。


ある日、父がでていった。母はすぐに再婚をしたいと言って、出会いを求めていた。


でも、僕がいる。醜いアザの、子どもがいる。


母はなかなか再婚できなかった。そのうち、麻薬もするようになった。


「あんたなんか生まなかったら。」


「死んでよ。母さんのために。」


聞き飽きた。


何回も泣きながら、言う。


僕は始めにそういわれた時は確か12歳だったはずだ。その時は泣いた。



それ以降は泣くまでもなかった。


それからも、何回も繰り返して、その言葉を聞いた。

そして今なのだ。4年間は、学校でも耐えようとした。たまに耐えられなくなって部屋からでられないとき、僕は休んだけど。


とにかく、高一まではちゃんと、過ごしていた。


全うに。


高二で、母親が逮捕された。


麻薬のせい。母親の醜い姿に、吐き気が止まらなかった。僕も警察にいろいろ聞かれた。僕は知らないと言った。アザについて聞かれたときは、生まれつきです、と返した。

loading

この作品はいかがでしたか?

48

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store