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今日はハロウィン!
皆が楽しい日になる今日をずっと待ち望んでいた
コスプレをして外に出てお菓子をくばって子供達に笑顔をあげる
そんなこの日が大好き
今年のコスプレは赤ずきん
赤い靴に赤色の洋服、真っ赤な頭巾に藁のカゴを手首にかけてお菓子を忍ばせ街に出る
渋谷は紫とオレンジの光に包まれて色んなコスプレをした人達が大勢いる
そんな中小さい子供が私の近くに来て『トリックオアトリート!お菓子くれなきゃイタズラするぞ!!』
と言ってくる
私は笑顔で
「わぁ〜!お菓子をあげるのでイタズラだけは勘弁を〜!」といい子供達にカボチャの袋で梱包されたキャンディやチョコレートをあげる
そして時間が過ぎていき時刻は夜の11時
人は少なくなっていき私も帰ろうかな、そう思った瞬間後ろから
『そこの真っ赤なお嬢さん』
と声をかけられた
「…私ですか?」
『貴方、お菓子は貰ったかしら?』
「あ〜…いえ、貰ってません」
本物の魔女のような少し不気味な雰囲気のお婆さんに警戒心を持つ
『お菓子を貰う時の言葉は分かるね?』
「…トリックオアトリート…お菓子くれなきゃイタズラするぞ…」
そう言うと真っ赤なリンゴを差し出され お菓子じゃなくてリンゴなんだ…と思っていたらお婆さんは居なくなっていて手には差し出されたリンゴだけが残っていた
特に何も梱包もされていない熟しているリンゴはとても美味しそうに見えて
催眠術にでもかけられたかのように思考は「食べたい」という言葉だけになっていた
腕を動かしている感覚は無いのにリンゴを持っている手は不自然に口元に来ていて
大きく口を開けリンゴに噛みつき甘く苦い汁が口に流れてくる
喉に通し数秒立ち止まっていると全身に ドクンッと振動が来る感覚が来た
目は大きく見開いていてチカチカとフラッシュ状態になる
足は震え自然と立てなくなっていて、鼻呼吸が出来ず口で息を吸って吐くことしか出来なかった
持っていたリンゴは噛み付いた部分が毒々しい紫色に変色していて、食べたことに後悔し涙が出てきた
口からは呻き声しか出なくて駆け寄ってきた人の声は頭に入ってこない
違う、私は食べていない
私は食べようとなんてしなかった、警戒した…
もう考えることすら痛々しくて苦しい
頭が痛くて身体中が溶けてるみたいな感覚で生きてる心地がしなくて
あぁ…ハロウィンって楽しいだけじゃないんだ
死んじゃうことだってあるんだ…
目に見える色が反転してるみたいで気持ち悪い
体が耐えきれなくて意識が遠のいていく
遠のく中で微かにさっきのお婆さんの声が聞こえてきた
『HappyHalloween』って、聞こえたような気がした