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「ヒョードル君。一緒に逃げよう」
とある日、貴方はそう言って僕に手を差し伸べた
僕が君を殺した日
「何であの日、僕を誘ったんです?」
隣で焚火を見詰める彼を横目で見ながら尋ねる
「、、、、、、、、君なら解ってくれるかなって。」
言葉に詰まりながらも語る彼の瞳からは哀愁を感じ取れた
「、、、そうですか。明日は何処に行きますか?」
余り追及することなく受け流すと助かったとでもいう様に彼は微笑んだ。
「うーん、最近もうお金少なくなって来たんじゃない?」
「じゃあそうしましょうか。おやすみなさい」
僕たちは眠る前にありふれた恋人のような甘い甘い言葉を交わした。
忌々しい異能力のせいで、触れること等出来ないのに
「ずっと一緒ですよコーリャ」
その一言が届く事など、無かったのに
「あそこですね」
慣れた手付きでピッキングし、男の家の鍵を解錠する。
ものの数分でガチャ、と言う音がして古びた扉を開けた
ダイヤモンドをふんだんに使用した豪華なシャングラス
100畳程有るのではないか?と疑う程広い玄関
「傲慢ですね」
余りにも広い為、
僕は左側
コーリャは右側を物色する事になった
左側の通路を歩いて行くと大きな本棚が建ち並んでいた
どれもこれも世界的に有名な作家の物で、しかも初版
売れば数十億にはなるだろう
そう思い本に手を伸ばそうとした瞬間
「嫌ッッッッッッッッッッッッ、!?!?!?」
そんな悲鳴が耳に入り、耳を凝らして聞いてみると、と家主らしき男にコーリャが襲われていた
この下衆が、、
「い”や”だぁ”、”い”た”、い”」
此の世で最も愛する貴方の苦痛に喘ぐ声が聞こえ、居ても立っても居られないかった
しかし、コーリャと僕は対象的な位置におり、しかも大き過ぎると言っても過言ではない。そんな中この館で直ぐに駆け付けられるかと云えば否
しかも虚弱体質で体力等無い僕には尚更で、駆け付けた時にはもう遅かった
「ふぅ、
お前はもう用済みだ。
泥棒じゃなくて娼婦でもやればよかったんじゃないw?じゃあなw」
地面に横たわるコーリャはぐったりとした様子で白濁を垂れ流し、
只空虚に宙を見つめていた
男がコーリャに銃口を向け、そんな事をほざく
「ど、すぐ、」
其れを庇い腹には風穴が空いた
出血多量になるほど大量の血液が口から溢れて来る
必死の形相でコーリャが僕に駆け寄り、揺さ振る
しかしながら、僕は其の儘意識を手放した
「ねぇ、ドス君
約束したよね、
ずっと、一緒だって、
今、行くよ」
木造で出来た豪華な玄関。そこの片隅で白髪の青年は撃たれてしまった想い人を抱え、抱き締めた
ちゅ
一生聞くことの無かったであろう甘い甘いリップ音が、
ほんのり香るミルクの香りが、
柔らかい唇の感覚が、
意識を手放した筈の脳裏に木霊する
酷い頭痛がして目覚めると屋敷の中では、無く何処か遠い森の中だった
隣で頭から血液を流す彼は子供体温の筈なのに酷く冷たく、氷の様だった
「ずっと、一緒って言いましたよね」