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桜が散る頃に。
蘭「春樹〜はやく行こうよ!」
春樹「そんな急ぐ必要ある?笑」
蘭「何言ってんの!今日は始業式だよ!」
春樹「全然まだ間に合うよ笑」
僕たちは新高校1年生で、今日から学校が始まる。蘭とは生まれた時から隣の家に住んでいるため、小中と同じ学校に通っている。親同士が仲良いこともあってか、2家族で旅行に行くことも多々あった。
蘭「ついたー!ね、友達できるかな!」
春樹「蘭は昔からすぐ色んな人に好かれるからなー。できるだろ」
蘭「春樹も友達作りなよ!」
春樹「できるかね笑」
蘭「いつものネガティブ春樹出たよ〜笑」
春樹「うるさいうるさい」
蘭「まあでも同じクラスだし、友達作り手伝ってあげてもいいよー」
春樹「余計なお世話ですー」
高校に入ってもなお、蘭と同じクラスだとは思ってもいなかった。これが腐れ縁というやつなのだろうか。
蘭「はぁ〜。ねむすぎる」
春樹「なんであんなにも校長の話って長いんだろうな」
蘭「ほんとそれなー、手短に済ませてほしいー」
担任「これから教室に戻って、配布物を配り自己紹介をしますね〜。ちゃんと考えておいてくださいよー!」
蘭「自己紹介だって!!緊張するねー!」
春樹「全然緊張してる様子ないんだけど笑」
蘭「春樹は何話すか決まってる?」
春樹「んー、特に決まってないから前の人の感じに合わせるかな」
蘭「春樹の前の人って誰だっけ?」
春樹「自己紹介まだしてないからよく分からないよ」
蘭「あ、そっか!」
担任「そこ!私語を慎むように!」
春樹・蘭「「すいませんでした…。」」
教室に戻った僕は配布物なんてどうでもよかった。そんなことよりも自己紹介が頭にこびりついて離れない。幸い僕の前の子は物静かな女の子なのが救いか。
出席番号は名前順だから相澤蘭。僕の幼馴染がトップバッターらしい。
持ち前のトーク力と素晴らしいコミュニケーション能力で初っ端からクラス全員の注目の的となった。さすが蘭としか言いようがない。その蘭の勢いに乗ってか、次々と皆が意気揚々に自己紹介をしていく。この流れはまずい。前の席の子が立ち上がったのと同時に僕は息を飲んだ。
小春「桜井小春です。清水中から来ました。趣味は花を育てることです。1年間よろしくお願いします。」
担任「素敵な趣味ですね〜 」
なんとも無難な自己紹介をしてくれたこの子に感謝だな。
春樹「櫻井春樹です。伊達中から来ました。趣味は…えっと…」
しまった。趣味を考えるのを忘れていた。
春樹「えっとー…」
担任「ゆっくりで大丈夫ですよ」
春樹「…華道です。1年間お願いします。」
担任「あら!なら華道部に入るのかしらね〜!素敵な趣味ですね!」
焦ってしまったせいか、前の子にひっぱられて華道というやったこともないことを口に出してしまった。でももう皆の前で言ってしまったので後戻りはできない。蘭が呆れた様子でこちらを見ているのが分かる。僕だってこんなこと言うつもりはなかったんだ。
蘭「華道なんてやったことあったっけ?」
春樹「ない、ね」
蘭「あーあもうどうするのそれで華道に興味ある子とか話しかけてきたら!」
春樹「困らないように今から調べておくか、」
蘭「だいたい華道のかの字も知らないでしょう」
春樹「ごもっともでございます」
蘭「春樹さぁ、」
小春「あの、よかったら華道、お教えしましょうか…?」
春樹「…え」
蘭「え、小春ちゃん、知ってるの!」
小春「基本的なことは、大体は、」
春樹「教えてくれるの?」
小春「私でよければ、全然。」
蘭「良かったじゃん!友達できたね!小春ちゃんも春樹もタメで話したら?」
春樹「桜井さんがいいなら全然」
小春「私も全然大丈夫です…」
蘭「やったー!小春ちゃん、私にも花言葉とか教えてほしいな!」
小春「花言葉に興味があるの…!」
蘭「花言葉知ってたら役に立ちそうだし、それになんだかロマンチックな感じしない?笑」
小春「たしかに笑」
蘭「ほら!春樹も一緒に教えてもらお!」
春樹「じゃあ、お言葉に甘えて」
ここから3人の楽しい毎日が始まっていく。