隣で泣いてる君と僕
新しい友達ができた。初めての友達だ。
初めて僕の顔を見た時、あの子はとても驚いた顔をした。でも、すぐに優しく微笑んで、僕の手を握ってくれた。とっても温かくて、とっても嬉しかった。
あの子のことはまだ全然知らないけど、きっと素敵な子なんだろう。僕の手を引くあの子の姿を、多分ずっと忘れない。
また、隣で君が泣いていた。
『なんでいつも泣いているの?』
その言葉が君に届くことはない。僕の手を握る君の手が微かに震えているのを感じながら、僕はただ君の隣で、君の頬を伝う雫を眺めていた。
君の涙をすくうことはできないけど、君の悲しみをすくうことはできるから、いつでも僕のところへ来て。僕と二人きりの時くらい、我慢なんかしなくていいよ。
君が嬉しそうに笑う。
何か良いことでもあったのかな。理由はわからないけど、僕も釣られて嬉しくなった。
ふと、最近、君の笑顔を見ていなかったことに気づく。それと、最近、遊んでくれないことにも。そう思うとなんだか少し寂しくなって、でも、君の笑顔を見ていると不思議とどうでもよくなった。
その優しい笑顔だけはずっと変わらないね。僕は昔を懐かしく思うと共に、ちょっぴり遠くにいる君をひとり眺めていた。
久しぶりに君が泣いていた。
やっぱり君は泣き虫なんだね。僕は少し笑いそうになったけど、可哀想なので我慢した。今回は何があったのかな。そんなことを想像しながら、いつもどおり、君の隣で君を見ていた。 僕の手を握る君の手はいつもより大きくて、少しだけ冷たかった。
もうあの頃とは違う。でも、君の泣き虫は変わらないみたいだから、僕も変わらず君の隣にいるね。
君は今、何をしているのかな。
狭くて真っ暗なところで、僕はひとり考えていた。もう何年も会えていない君に想いを寄せる。ここは少し退屈だけど、君との楽しい思い出があるから、僕は大丈夫だった。思い出を思い出すたび、また君に会いたくて堪らなくなる。
いつか君が迎えに来てくれること、ずっと待ってるよ。
朝が来た。長い長い夜が明ける。漏れる光の中から太陽が顔を出した。
迎えに来てくれたんだね。君の懐かしい体温が僕に伝わる。僕を見つめる君の瞼から数滴の涙が流れ落ちた。まだ君は泣き虫だった。
僕は嬉しくても泣けない。でも、君がその分まで泣いてくれるから、僕は満足だった。君が僕を覚えていてくれたから、僕は満足だった。
君へ。ありがとう、そして、おかえりなさい。
大人の君と人形の僕
コメント
12件
久々で 何かしらと 思えば 神作を 生み出して消えていったのだが 。 何なんだ あなた ( 褒めてます ) いやはや 好きです 愛してます 結婚しましょう ( 愛が重い )
神すぎませんか…?! 天才すぎて語彙力消えました…😇 まぁ語彙力は元からなんですけど🙄 久々の浮上ありがとうございます😌 これからもよろしくお願いします🫠
最近テラーから離れていまして…すみません😭🙇♂️(( ちょくちょく帰ってくるとは思いますが、コメントとかはあんまりなくなるかと思います🥲 もらったコメントにはなるべく返信しようと思っておりますのでどうかお許しください🫠🙇♂️(( 参加型の方は特に申し訳ないです🙄((だったらもっと謝意を見せろ)) 参加させて頂いたのに申し訳ございません😭🙇♂️() 自分の参加型の方も…気長にお待ち頂けると幸いです😌(土下座)