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テラーノベル(Teller Novel)
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雲一つない綺麗な青空。

日差しが強い太陽。

お洒落な街並み。

赤色、黄色、オレンジ色、緑色、青色など色とりどりの花、野菜、果物が売っている。

中には骨董品店や仕立て屋なんかもある。

俺が住んでいた場所とは全然違う…異国の地だ。

俺は剣士で元々ある村に住んでいた。

田舎のような所だが、とても広い所だ。

しかし、村は襲撃をされてしまった。

襲撃をされてから俺は武者修行をし、ある目的を果たそうとしている。

この異国の地に来たのは、何か得られるものがある気がしたのと興味を持っただけだ。

季節は夏。

太陽が真上に昇りきる前。

昼前で、気温が高くて暑い。

俺は倦怠感を感じ、少し建物の陰で休んでいると「大丈夫ですか?」と声を掛けられた。

20歳過ぎたくらいの女性だ。

「これぐらい大丈夫ですよ。放っておいてください。」

「しんどそうな顔をしています。放っておけません。私の家がすぐ近くにあるので来てください。」

俺は女性にそう言われ、家にあがらさせてもらうことになった。

俺らがいる市場のような場所のすぐ近くに小さな森がある。

その森の中に家があるらしい。

俺は女性に付いて行った。

森に入ると気持ちの良い涼しい風が吹いてきた。

少し歩いていくと、丸太で作った2階建ての家が見えた。

「どうぞあがってください。」

「お邪魔します…。」

丸太を積み重ねて作った家のため木の壁になっており、家具の殆んどは木製で出来ている。

壁、床、家具に色は塗られおらず木目が見えている。

俺が村にいた頃に住んでいた家と違って驚いた。

しかし、中は明るく木の匂いがして、とても落ち着く空間だった。

「今から涼しくしますね。それと飲み物も用意しますので、辛くない体勢にして待っていてください。」

そう言って女性は窓を開け、冷たい飲み物を用意してくれた。

「ありがとうございます。見ず知らずの者にここまでしてくださって。お陰で、さっきより少し良くなりました。」

「いえ、大丈夫ですよ。それは、良かったです。」

「何かお礼をさせてください。」

「うーん…じゃあ、私の話し相手になってください。」

「えっ?」

俺は思わず驚いてしまった。

「俺で良ければ構いませんが…。」

「ありがとうございます!私、エルダと言います。エルダと呼んでください。よろしくお願いします。早速なんですが…お名前を聞いても良いですか?」

俺は女性エルダさんに名前を聞かれて、すぐには答えられなかった。

「ごめんなさい…。あまり言えないです。」

「それは、ごめんなさい…。答えたくないものは、答えなくて大丈夫ですよ。それじゃ…刀を持っていらっしゃるので、剣士さんって呼びますね。」

「ありがとうございます。分かりました。まぁ…間違ってはいないので構いませんよ。」

それから俺達は色んな話をした。

エルダが住んでいる街のことや、エルダやその家族のこと等…。

殆んどは 、俺が聞き手になって質問されたら答えた。

途中から、時々俺から質問をしたり俺のことを話すようになった。

あまり自ら自分のことを話さないのだが、エルダには話をすることができた。

「剣士さんは、どうして武者修行をされているのですか?」

「簡単には話すと、俺は剣士で元々ある村に住んでいました。ある日俺が住んでいた村が敵にやられたんです…。村を取り戻すため外に出て修行をしています。まぁ…敵に復讐するということになりますね。それと…ある人を探しているんです。」

「そうだったんですね…。こんなこと聞いてごめんなさい…。」

「いや、構いませんよ。」

「あの…首にかけているペンダント、今探している人から贈り物で貰ったものですか?もしかして…誕生日とか?」

「ん?あぁ…このペンダントね。」

俺は見やすいように、エルダの近くまで持って見せた。

ルビーとラピスラズリと呼ばれるの2つの石が付いていて、茶色の革ひもが通してある。

「村にいた頃、俺が今探している人が誕生日にくれたものなんです。」

「そうだったんですね。誕生日って、いつですか?」

「7月25日です。」

「えっ!?今日じゃないですか!私で良ければお祝いをさせてください!」

「それは構いませんが…。」

そう言うと、エルダは早速俺の誕生祝いの準備をした。

数十分後、夏らしい食べ物を用意してくれた。

麺類のようなもので野菜がのせてあり、冷たいスープみたいなものがかかっている食べ物だ。

「どうぞ召し上がってください。」

「ありがとうございます。いただきます。」

食べてみると、あっさりとしたしていて食べやすく美味しい。

「お口に合いましたでしょうか?亡くなった母が教えてくれた料理なんです。」

エルダから両親が亡くなって一人で生活していることを聞いていた。

「とても美味しいよ。ありがとうございます。」

「剣士さん、今更ですが敬語は良いですよ。」

「分かり…分かった。エルダも敬語じゃなくて良いよ。」

「ありがとう、剣士さん。」

そう言うとエルダは笑った。

俺はこの時、今探しているあの人に似ていると思い懐かしさを感じた。

食事を終え休ませてもらった。

体調がすっかり良くなってきたため、俺はまた別の場所に移動することにした。

去る前にエルダから、あるものを貰った。

「剣士さんの誕生日を知ったのが突然だから、今家にある物になるんだけど…はい、贈り物。」

「これは…何?」

白くて小さい花と乾燥しているものだ。

「これはエルダーフラワーっていう花だよ。乾燥させていないものと乾燥させたもの。色んな効能があるけど、剣士さんにはリラックスできたらと思った。使い方は紙に書いて入れてあるから見ておいてね。」

「そうか…ありがとう。大切に使うよ。」

「うん。剣士さんの目的、果たせると良いね。それと見つかると良いね、探している人。」

「ありがとう。絶対に果たすし、見つける。」

「頑張ってね。」

「頑張るよ。それと…また、ここに来るよ。もちろん、話し相手として。」

するとエルダは「ありがとう!待ってる!」と笑顔で答えた。

「そうだ…エルダ。俺の名前を教えるね。俺の名前は「鳥兜(さくと)」だ。」

「鳥兜さん…。良い名前だね。ねぇ…鳥兜さん。」

「何だ?」

「誕生日おめでとう。鳥兜さんに出会えて良かった。これからも、よろしくね!」

「ありがとう。こちらこそ、よろしく。じゃあな。」

「うん!気を付けてね!またね!」

俺はエルダのその言葉を聞き、去った。

今日は、7月25日のものが沢山詰まった日だ。

たまには…こんなことも良いかもしれないと思い、俺は新たな場所へ向かった。

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