は~い春雨です!
意味怖だと思うけどまぁまぁまぁ大丈夫だと思うから!
それではSTART!
青side
誰にでも止められない悪癖はあると思う。
僕にもある。
ある日の夜、いつものように歯を磨きながら窓辺に並べられた人形を眺めていた。
大小様々な大きさの人形は十数体いて、顔や腕に付いている傷を撫でながらふと、窓越しに映る公園で何かが動いている気配を感じる。
目を凝らしよく見ると、5〜6歳くらいの子供が一人で砂場で遊んでいた。
あれ…、こんな時間にあんなに小さい子が一人で……? と訝しんだけれど、時計を見ると時刻は午後10時を少し過ぎたところ。
まぁ放任主義の親だったらそれ程不思議でもないのかな? と自分に言い聞かせながら何となくボーっと眺めていた。
すると突然、こちらを振り向いた子供と目が合う。
「 あそぼう…。 」
良く通る声でそう言った。
ゾクっと背筋に寒気が走ったと同時に、その子供は走り出した。
やばい。
直感した。
あいつはこの家に向かっている。
口にくわえた歯ブラシを放り投げ、玄関へと走る。
が、来訪者より先に辿り着くことはできなかった。
ガチャガチャガチャ!
と乱暴に外からドアノブを激しく回している。
あの子供だ。間違いない。
でもよかった…、鍵は閉めていたんだ。
と安心したのも束の間。
ドン! ドン!
激しく体当たりする音がドアから鳴り響く。
青 「 やめてッ、! 」
思わず叫ぶ。
が、やめる気配がない。
ドン! ドン!
どうすればいいの……、ッ
警察…。そうだッ、警察に通報しよッ。
相手はたかが子供だと言えばそうかもしれないけれど、でもあいつは何か違う。
様子がおかし過ぎる。あいつと対峙するわけにはいかない。絶対に。
二階の部屋に置いているスマートフォンを取りに階段を駆け上がろうとすると、とたんに衝突音が止む。
あれ、諦めた…?
まぁ流石に体当たりで、まして未就学児と思しき子供の体格で、あのドアを突き破るなんてとてもじゃないけど不可能だよね。
――なんてのんきに考えてい僕は、実に間抜けだった。
遅ればせながら僕はここでとんでもない失態に気づいた。
「……窓ッ、!」
居間や風呂場の窓はちゃんと鍵がかかってい無いかもしれないッ、!
玄関とは違い普段然程気にしていない窓の施錠にまで気が回らず、何故ああも安堵なんてできたんだッ、と自分の頬を引っぱたきたい衝動は、玄関から一番近く、そして最も侵入に適した居間の窓ガラスに顔を擦りつけている、限界まで口角と頬を吊り上げ目を見開き笑う子供に抜かれた度肝のおかげで、すっかりと消失してしまった。
青 「 ひッ、…! 」
が、またもここで幸運に恵まれた。
窓の鍵はしっかりと施錠されていた。
いや、でも安心はできない。
何か道具でも使われたら簡単に破られてしまうからだ。
しかし、不気味な子供は一向に窓をたたき割ろうとはせず、周囲に道具を探す素振りも見せない。
やっと諦めた……?
そんな期待をしてしまう僕は手に負えない愚か者で、狂気に満ち満ちた笑顔を絶やさない目の前の少年がそうやすやすと僕を見逃してくれるわけなんてなかった。
彼が目を付けたのは、開け放たれた二階の窓だった。
普通に考えれば二階から侵入を試みるなんてバカバカしいし、よほど手慣れた強盗でもない限りは目を付けない経路のはず…。
でもこの子供は違う。
強盗でもなければまともでもないであろうこいつの思考は違った。
そして、これまで幸運が続いていた僕の悪運はここで尽きかけていたことにようやく気付く。
いや、気付かされることになる。
庭にある大きな柿の木を剪定するために、二階にも十分達する程の大きな脚立が庭に置きっぱなしにしてある。
その存在に気づいた子供は嬉々として、軽やかなステップを踏み脚立を駆け上る。
ここから二階まで行き、奴に先んじて窓を閉めることは不可能だ…ッ、。
間に合わない。
じゃあどうするのが正解?どうすれば無事に生還できる?
冷静に考る。
そうだ僕は冷静さを欠いていた。
初め、もしかしてあいつは幽霊の類なんじゃないかと恐怖したけど、あの笑顔といい、あの行動力といい、まともな人間のソレではないと僕は見做した。
しかし、幽霊ならドアや窓をすり抜ける術を持っているかもしれないし、空を飛び二階から侵入することだって十分可能なはず…。もっと言えば、念じるだけで僕を呪い殺すことだってできるかもしれない。どちらにしてもわざわざ脚立なんて使う必要はないはず。
と、考えるとやつは人間…。
頭のおかしな人間、まして子供に過ぎない。
身体能力ではこちらが圧倒的に高いはず。
なら力づくで抑えつけてしまえばいいじゃない?
そこまで考えが至り、僕の次なる行動が決定する。
奴と対峙する。そしてこの家から追い出そう。
そこまで明確な心積もりが完了すると、むしろ早く降りてこいとすら思えてしまう僕は実に単純な性格をしているのだろうと思わず苦笑してしまうが、そんな決意と自虐の一人遊びをしている僕の耳に、ギシ、ギシ、とゆっくりと階段を降りてくる足音が聞こえる。
来なよ…、お前なんかに負けるもんか。
「お兄さん。あそぼ」
たっぷりと焦らしながら漸く姿を見せた子供の右手には、乾いた血が大量に付着した包丁が握られていた。
僕は目を見開き口元を大きく歪ませ、実に情けない表情になっていたと思う。
しかし、金縛りにあったみたいに身体は動かず、口もうまく回らない。
青 「な、なんなんなの…ッ、おまえ、ッ」
辛うじて、絞り出すようにそう尋ねた僕に子供はこう返した。
「ママとあそんでたらね、うごかなくなっちゃったの。だからお兄さん、あそんで」
無邪気――なんかじゃない。
邪気が無いどころか、殺意だ、これは。
こいつはこの幼さで殺意を纏っている。死を理解している。
他者に危害を加えることを、他者を損壊させることを、自らの意思で行おうとしているんだ、…ッ。
「さぁ、あそぼ」
包丁の先を僕に向け、近づく子供。
僕は。
ああ、もう駄目だ。
一時間が経ち、僕はスマートフォンを握りしめ、漸く決意が固まり電話をかけた。
「あの、自首したいのですけど…、」
――子供を殺しました。
一通り額面通りの質問を受けた後、「今から警察官をそちらに向かわせる」とのことで、電話を切った。
せっかく抑えていたのに。
バラバラにしたい欲情を抑えられていたのに。
野良猫では満足できず、人間に対象が向いてしまいそうだったのを、何とか人形を刻むことで我慢できていたのに。
僕に血の匂いを嗅がせてきて。こんな絶好の舞台を用意した。
僕はパトカーのサイレンをバックミュージックに、あらかた解体し終わった5歳児と思しき子供の首を切り落とし、恍惚の涙が流れるのを感じていた。
意味怖ッて言うかただただ怖い話になった…。w
じゃあね~
♡ちょうだいッ、!
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