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テラーノベル(Teller Novel)
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母が殺された

私は誰が犯人か直ぐに分かった

父親だ

昔から父は母が大嫌いだった、綺麗な母の体に無数の傷を付けた青い痣も腫れた目尻も全部彼奴が

たった3人で過ごしてきた

でも地獄に耐えられなかった

私は見抜きもしないくせに

母だけを痛め付けて私をほったらかしにした

母みたいな絶世の美女と結婚できて嘸かし惚けていたんだろう、こんな娘視界にすら入れない

大好きな母が死ぬことが許せなかった

なんでなんでなんでなんで


葬式に出席したのは私だけだった

父は辛さに飲んだくれてずっと眠っていた

ずっとそうずっと

私が涙を流している時も家に帰って孤独に浸っている時も

誰も慰めはしなかった

何故孤独なのか

温もりのない環境がこれ程までに悲惨だったとは


真っ赤な血が滴るキッチンナイフ

口を開けてイビキも立てずにただ眠る父

壁に置かれる2つの額

どちらとも笑っている唯々幸せそうに笑っている


そんなに私が憎いか

歪な感情が彷徨う

母がよく歌ってくれた子守歌擦れ擦れで口から出る

後悔

なんの後悔だ

ああ何故私は泣いているのだろう

どうせ自分の醜さを笑っているんだ

ニコニコと塩水を流して


こんな父要らない母を奪った父なんか要らない

親なんて親なんて親なんて親なんて

ただの装飾品だ肩書きだ

そんなもの壊したって肩が軽くなるだけだ

それから私の肩はいつしかなにの重みも感じなくなった

父親が老死したから?

否、父親の死因は老死などではない

彼奴は自分で死んだんだ憎悪で小さなナイフで







8年ぶりに家に帰ってきた

八年間は一カ所の狭い空間で静かに暮らしていた

部屋に入ると埃が立つ額にはニコニコと笑う父と母が私を睨んでいる

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