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〜〇年前〜

変則的台子高校前

りうらside


高校の入学式から3週間経ち、皆が、この随分不規則的な高校に馴染んできた日に俺は学校の廊下を歩き、担任である鬼怒川先生の荷物運びを手伝っていた。

「、、、」

先生は男なのに、小柄で無口な性格だった。しかし、入学してから、ずっと独りだった俺を気にかけ話し掛けようとしてくれた。優しい性格なのは間違いない、と俺は判断していつも先生と過ごしていた。

「ありがとう、、りうらさんここまで大丈夫だから。」

「うっす、」

鬼怒川先生の後を追っていくうちにどうやら、外廊下まで来ていたようだ。今の季節にピッタリな桜がまだところどころ花を散らせ、生暖かい風が頬を撫でると何処か寂しいものがある。俺の髪色と同じ赤色のジャージ、そんな服に俺は身を包まれ今日はもう帰ることにした。体育倉庫に荷物を運んだ後、俺は、校舎内に戻り廊下を歩いていた。

「あの、生徒会長キモくね??」

「うわっ、わかるわ〜なんか今までと違って、真面目くんだよね。ウザすぎ」

嫌な話を聞いてしまった。1年生にしては珍しく生徒会に立候補し見事生徒会長になった男がいる。狙っていた3年生や2年生にとっては、新参者に生徒会長の枠を取られたということで随分気がたっていた。ほんとに頭が空っぽの奴らはいいよな。発言に何も考えなくていいから、好き勝手言える奴らに一言言ってやりたい、人間を表だけで判断してはいけない。

廊下をスルスルと早足で通り過ぎていくと曲がり角まで来れた。すると、またも嫌な光景を見て、聞いてしまった。

「私と付き合ってください!!」

「もちろんだよ♡」

全く、いつから日本人はこうなってしまったのだろうか、愛だとか恋だとか、本当は無意味だって分かってるはずなのに何故愛を伝え、欲し、与えるのだろうか。出会って1ヶ月も経ってないであろう男に想いを伝えて何が楽しいのだろうか。愛情と友情の違いも分からない俺には判断が出来なかった。カップル誕生に心の中で負の感情を伝え、俺は昇降口までの順路を変えることにした。


昇降口にて自分の綺麗に揃えられた外靴を見ると嫌気がさした。何故この変則的台子高校は靴を勝手に揃えるのだろうか。本当に勝手に靴を触らないで欲しい。ひねくれた感情しかこの世界に募らない反抗期な俺はジャージで帰ることにした、制服で帰らないと行けないらしいが、そんな事関係ない。これぐらいなら、嫌われ者とされている生徒会長も見逃してくれるだろう。そんな思いに身を任せ俺は軽快に校舎を出た。

「〜〜〜、〜〜〜〜?〜〜〜〜〜〜!!」

何処からか綺麗な歌声が聞こえてきた。こんな声に釣られ、様子を確認するなんて流石にアニメじみた行動だが、俺は確認せずには居られなかった。俺は、歌う事が大好きだった。いつも歌だけは俺を1人にせず、寄り添ってくれた。そんなこんなでひとりで俺は沢山歌を歌い、カラオケでも周りとは一線を超えて上手く、自分の実力に鼻をかけていたがこんなに綺麗な歌声を出せる人間がこの学校にいたとは、、、俺は、声の主の方に足を早め、確認する事にした。


校舎の裏側を通り、まっすぐ進むとガードレールに腰掛けて歌っている長髪の男を見つけた。その男はデカいパーカーみたいな黄色のジャケットにやけに長いマフラーをつけていた。歌っていたのはボカロの千本桜で春らしいなと感じたが長いマフラーが引っかかった、冷え性なのだろうか?ネクタイをしていない所を見ると校則違反のヤンキーの様だが、何処か童顔と感じさせる容姿から怖いイメージはなかった。すると、見ていたのを気づいたのか相手から声を掛けられた。

「なんや、お前。見たところ1年生やけど生徒会のまわしもんか??」

「いや、、俺は赤治りうら。生徒会とは関係ない。」

「そか、、、俺になんか用か、、?」

「いや、歌ってるの聞こえて上手いな〜って」

「あぁ聞こえてた感じ??」

「バッチシ聞こえてました★」

「そかそか、まぁええわ。俺の名前は黒山悠佑。お前と同じく1年生で雲山中学校から来た。」

「え、何組何組??俺1組。」

「通りで面識が無い訳だ、俺は4組や。」

クラスとしては少し離れている1組と4組、通りで面識がないわけだ。初対面同然の俺らはまず歌の話から始めた。そこから、自分の生い立ち、中学生の時の武勇伝、趣味、特技、好きな食べ物まで話した。人と久しぶりにまともな会話をしたからなのか夢中で話してしまった。気付いたら日が傾いてきたようだった、彼と話していると時間を忘れてしまう。悠佑は初対面にして俺の最高の友達となった。

「今日は、随分喋ったな。」

「ん、確かに(笑)俺の中では最早親友レベルだよ。」

「まぁ、俺もあんま友達はおらんしな。じゃあこれから良き相棒としてよろしくな!!」

「相棒!?」

「あ、アカンかった??」

「いや、、、嬉しくって、、、じゃあこれから相棒としてよろしく!!アニキ」

「アニキ??」

「うん、俺は相棒の悠佑をアニキとして慕う!!」

「そかそか(笑)よろしくな。」

そうやって相棒となったアニキは満面の笑みで俺の頭をポンポンと撫でてきた。その笑顔が何処か嬉しくて、何処か尊くて、儚くて、、、俺は、何故か顔が赤くなっている事に気付き照れ隠しなのかどうなのか分からないが、咄嗟に発言をした。

「こ、子供扱いしないでよ!!///」

「ははっ、ごめんな(笑)」

ずっと独りだった俺は愛情も友情も知らなかった。いや、知る方法がなかった。でも、教えてくれた、知らせてくれた。

俺は、今日初めて人との関わりの喜びを知れた。

とある凡人の問題解決話

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ぴよにきぃぃぃぃぃぃぃ!てぇてぇ……○す気?生徒会長……ないちゃんかな?

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