軍パロになるから!!
きっとなるから!!待ってて!!
5時間くらいっ(b`・ω・´)b
雑に背中を押されて辿り着いたそこは、国の片隅に追いやられた軍の施設だった。
どこもかしこも古い造りで、今にも崩れてしまいそう。
「せいぜい頑張れよ“第二”皇子サマ」
やたらと第二であることを強調して兵士は去って行った。
失礼なヤツだな…第一だろうと第二だろうと皇子は皇子だぞ。
ま、そんなガラじゃ無いけどね。
「取り敢えず…どうしようかな……」
現状、住む場所どころか今日の食事すら確保できていない。
どっかに食べれる生き物いないかな〜…
「…っと、それはおいおいでいいとして」
目の前の世界を体感してみないことには何もできないよね!!
適当にその辺を歩き始めて数分。
なぁ〜んにも無いんだよね、ココ。
人も少ないし、建物っていうの?
そういうのも両手で数え切れるくらいにしか建ってないし…
「…これ、軍在籍の人どこに住んでんの?」
「地下に住んでるよ」
叫び声をあげそうになるのを何とかして抑える。
俺は第二皇子なんだぞ!!
叫ぶな、叫んだら 品がないのがバレる!!
「えっと、地下…ですか?」
「はい…案内しますね」
てくてくと前を歩く男の人は、綺麗な赤い髪をしていた。
どこか女性の雰囲気を感じられるのは、整いすぎている甘い顔立ちからだろう。
ただ、目元は前髪のせいで少し見えにくい。
「綺麗な髪の色ですね!」
「…っ、そう、ですか…ありがとう…ございます……」
肩まで伸びている髪を両手でくしゃりと握って、深く俯いてしまった男の人。
人と出会って早々に地雷を踏んでしまったかもしれない……
その後は終始無言のまま地下への入り口までの道を歩いた。
「…ここです」
「アッ、ハイ!!ありがとうございます!!」
あぶねぇ〜…気まずさで窒息するかと……
ふぅ、ここが地下への入り口ね。
木々が入り組んだ森の中のちょうど死角になる位置に重そうな鉄製の蓋があった。
ガコン…
「…お先にどうぞ」
「あ、失礼しまーす…」
ハシゴを降りて、洞窟の地面に片足をつけた瞬間、 レウさんが殴りかかってきた。
「ふむ…」
的確に俺のみぞおち目掛けて飛んでくる拳を片手でいなしつつ、関節のやわらかいところに肘と膝を使って打撃を与える。
さて、腕一本使えなくしたけど…
「どうするの?」
「…ぐっ」
今度は蹴りか…
長い足を最小限の動きで避けて、じっと相手を観察する。
焦ってる…というより、怒ってる。
何に怒ってる?
さっきの褒めたつもりの言葉とか?
「…これ以上は意味ないなぁ……」ボソッ
「やあッ!」
軸足を払ってよろけたところをうつ伏せに押さえつける。
「ねぇ、何に怒ってるの?」
「…を……」
んー、聞こえない。
ぐっと体重をかけて「なんだって?」と聞き返すと、苦しげな呻き声が聞こえる。
「アンタは…俺たちの、ことを…バカにしに来たんだろうッ!!」
「は!?」
お世話になる気は満々だったが、バカにする気はさらさら無い。
拘束を緩めつつ話疑問を口にした。
「それは…君の髪を褒めたのと関係ある?」
「あんな皮肉が、アンタのとこじゃ褒めたことになるんなら驚きだよ…」
ひにく…皮肉……?
これ以上ないくらいにストレートな褒め言葉じゃない……?
「レウさん、そこまでにしときや」
これは…西の地方の訛りだな。
声がする方を振り向くと、金色の髪と琥珀色の瞳が松明に照らされ輝いていた。
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