TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
シェアするシェアする
報告する

「チケット2枚しか無かっただと?」

スティーヴが2枚のチケットを俺に見せた。

どうやらスティーヴで完売だったらしい。

「俺だって4枚欲しかったんだけど、もう席がいっぱいだからこれ以上増やせないって言われて」

「そうか…。」

ここまで来て見れないのは、悔しいな。

今からリュウに頼み込んで入れてもらうか?

いや、侵入しちまおう。

流石にサーカスに来たばかりのリュウにそんな事は出来ないだろうし。

「まぁ、買えただけ良かったじゃねえか。ところで、物は相談なんだが、俺をスティーヴん家泊めてくんねえかな?」

スティーヴは少し悩んでいたが、承諾してくれた。

俺はリュウとしばしの別れを告げ、スティーヴと一緒に劇場を後にした。

スティーヴの家は思いの外遠く、道中警察のパトカーが巡察していたので、その目をかいくぐりながら移動した。

そしてやっとの事でスティーヴの家に到着した。

「散らかすなよ。」

スティーヴは不満げな表情で俺を見ながら言った。

「当たり前だろ。」

そう言って俺はスティーヴの家に上がった。

初めて外国の家に訪れたが、外国の家というのは、日本とまるで違っていて、とても散らかそうとは思わない。

スティーヴは、静かにと小さな声で言い、まるで空き巣かのようにそろそろと家の中に上がっていった。

「お前、靴履いたままだぞ。」

「何言ってんだよ。靴履くだろ。いいから早く来いよ。」

スティーヴに促されて俺は靴を履いたまま家に上がった。

少しばかりの背徳感を胸に感じつつ、スティーヴの部屋に辿り着いた。

俺は部屋とドアを閉めると、ふぅと一息ついた。

「なぁ、ここお前ん家だよな?なんでコソコソするんだよ。」

「お袋になんか言われんの嫌なんだよ。」

まさに不良少年だな。

しかし、すごく汚ねえ部屋だな。

散らかす以前に散らかってんじゃねえか。

それにオカルト物のポスターが多いな。

コレって『ジェイソン』って奴か?

コレは吸血鬼か?

俺がポスターをマジマジと見ているとスティーヴが嬉しそうに話し掛けてきた。

「トラもオカルト系好きなのか?」

「好きっていうか、嫌いじゃないって感じだな。スティーヴは、こういうのが好きなんだな。」

「いいよな、こういうバケモンってさ。不死身で強くてさぁ。」

小学生とかによくある夢想ってヤツかな。

一宿一飯の恩って事で、付き合ってやるか。

「バケモンってのは、俺も好きだぜ。こういうヤツといっぺん喧嘩してぇもんだな。」

「バケモンと喧嘩って、流石にトラが強くても負けるだろ。こいつら全然死なないんだぜ?」

「そうか?このバケモンとか強そうだが、白目だから前が見えてねえ。視覚に入ってレバーブロー決められそうだ。若しくは、膝裏に蹴り入れて膝ついた所で顔面キックもいいな。」

「そんなんじゃ、コイツはやられないぜ?」

俺とスティーヴは、そんな話で盛り上がった。

夜は更け、スティーヴが眠りにつこうとした時、俺はにこやかにスティーヴにお願いした。

「シャワー浴びさせてくれ。あと洗濯も」

スティーヴはめちゃくちゃ嫌な顔をした。

「頼むから母ちゃんと仲良くして下さい。」

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
;