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長い帰路を汽車に揺られ、半年ぶりに帰る懐かしい故郷の景色を眺める。
イ「ただいま~!」
両親を亡くしてからずっと過ごしてきた祖父母宅へ到着する。
祖母「あらイーヴァ!おかえりなさい、ささ、入って入って」
ご機嫌な祖母に背中を押され、家に入る。
祖父「おかえりイーヴァ」
イ「ん、ただいま!」
祖母「さあ、もうすぐお夕飯ができるから、荷物とフクロウ、お部屋にお運びなさい」
イ「はーい」
トランクと鳥かごを抱え、階段を上る。2回の突き当たりのドアが私の部屋だ。半年ぶりに帰るというのに、部屋は隅々まで掃除が行き届いていて、ベッドシーツはホテルのように整っていた。
イ「お疲れ様、マシュリー」
飼いフクロウのマシュリーを一言労うと、羽を伸ばして伸びをして見せた。トランクから制服とローブを出し、シワにならないように丁寧にハンガーにかける。再び1回へ戻ると、手の込んだ料理がテーブルを埋めつくしていた。
祖母「さあ座って!」
イ「こんなに作ってくれたの?良かったのに…」
祖母「何言ってるの!私はイーヴァが無事に帰ってきたことをお祝いしたいのよ!」
イ「お祝いって…」
祖父「何せ不穏なことが続いてるからな。」
祖母「ちょっとあなた…」
しばらく口を噤んでいた祖父は、ボソリと一言こぼし、祖母は慌てたように彼を咎めた。
イ「不穏なことって?」
夕食を口に運びながら尋ねる私に、祖母は渋々答えた。
祖母「ここ数日、子供の魔女と魔法使いの失踪事件がたて続けに起こってるのよ…」
イ「ふーん?」
祖母「だから貴女も充分気をつけてちょうだいね?」
祖父「外へ出歩くのは、当分控えた方が良さそうだな」
イ「ん、そうだね」
幸い、この帰省中に外出を要する予定は入っていないので、私は深く考えていなかった。