メノウがマリオネットかどうかよりもこれからどうするかだ。能力…?は手に入れたが
使いこなせない、能力のことも正直よくわかってない。
ここのダンジョン?をクリアすればいいのか…?
奏斗「メノウ、ここクリアすればいいの?」
メノウ「壁壊して行っていいよ。」
奏斗「えっ」
メノウは左の壁を見つめている
奏斗「メノウ…?」
メノウ「ここ壊していいよ」
メノウ「無詠唱…バンって言わなくても能力発動出来るから」
バンって言わなくていいのはとて嬉しいが、メノウの様子が少しおかしいようだ
奏斗「どうしたのメノウ。元気無いけど」
メノウは少し考え小さい声で囁いた。
メノウ「ちょっとおろして」
メノウを降ろした。メノウは倒れ込むように横になった、なんだか呼吸が荒い様な気がする
奏斗「大丈夫…?…うーん微熱かな」
急いで額に手を当てる、少し熱い気がする。薬も体温計も冷やすものも無い
奏斗「いっ!」
急に腹…腹の右側…に火傷のような痛みが襲ってきた。
メノウ「ぁ…」
そんな事より熱が上がってるようだ、とても苦しそう。
奏斗「…どうしようか…」
とりあえず冷やすもの…水…氷。とりあえず楽に横になれるように
奏斗「メノウ。ネクタイとか緩めるよ」
メノウからの反応は無し
なんで熱が…?やっぱりマリオネットでは無いな。この熱はなんの熱だ?風邪…ってこの世界にあるの?
それかもなんか疲れとか
メノウ「かなとぉ⋯ごめん…」
なぜ謝るのか…お互い様だろうに。
奏斗「俺も寝るからメノウも寝よう。今日は疲れたね」
メノウ「…うん」
僕の名前は「メノウ」僕は兄のマリオネットだ。
この体になった理由は兄が、おかしくなってしまったから。
兄にいっぱい体を弄られた。四肢は切られたし、血に精神安定の力を付けて毎日血を飲まれたし、
不老不死にされたし、痛みを感じさせなくされた。普通の人間で居たかったのに
兄の名前は「スピネル」遠い昔の話だけど、僕達は仲がとても良い
双子だったんだ
淡い朝色の空に、鳥の鳴く声。チクタクと進む秒針、やけにカランとした部屋
メノウ「兄様?」
寝ぼけていてよく分からないが確かにそこに兄がいたような気がした。よく見ると扉が
閉まりきっていなく、さっき慌てて出ていったのかもしれない。
メノウ「んー?」
考えてもよく分からないままだ、とりあえず着替えて下に降りよう
着替えが終わり、メイド達がいる下に降りる。
メイド「メノウ様おはようございます。スピネル様がお待ちです」
メノウ「兄様が?」
最近あまり話せていなかったので、少し上機嫌になりながらも兄の待つ部屋に足を運んだ
スピネル「おはよう、メノウ」
メノウ「おはようございます兄様」
久しぶりに見た兄の顔は、少し違和感があった。やつれていて目のくまもとても酷い
メノウ「兄様…大丈夫ですか…?」
スピネル「あぁ…うん大丈夫だよ」
焦点が合っていない気がした。ここから兄が狂い始めたんだ。
メノウ「やめて!兄様!」
スピネル「ぁあ…」
兄は自殺しようとしたり、僕の腕を折ろうとしたり、頭を抱えて奇声をあげるようになった。
僕が声をかけると気がついたように辞めてくれるが、最近は僕の声が聞こえないようになっている
メノウ「兄様…」
だんだん兄が恐ろしくなって行った、無意識に距離を置いてしまったんだ。
そうあの日。
兄が部屋を尋ねてきたんだ
スピネル「メノウ、少しいいかな」
メノウ「…兄…様、はい大丈夫ですよ、何か御用ですか…?」
スピネル「うん、少し僕の部屋に来てくれないかな」
兄に言われるがまま、兄の部屋に向かった。
メノウ「兄様?どうかされましたか?」
スピネル「…」
メノウ「兄様…?」
後ろを振り向くと兄が薄気味悪い笑顔を浮かべていた。
今日は辞めて明日の朝にしてもらおう。月が見え始めている
それに今日は疲れた
メノウ「今日は辞めて…」
その瞬間首筋に何かを刺されたような痛みが襲ってきた
メノウ「いっ!兄様?!」
スピネル「…あぁぁぁぁ父様!成し遂げましたよ!、あはははは。」
スピネル「私は弟なんかより優秀です!ねぇ父様!見てください」
メノウ「…え…ぁ」
霞んでいく意識の中、兄の奇行が目に入った。
スピネル「アハハハハハハハハハハハハハハハ」
気がつくと両手両足が固定されていて、身動きが取れない。
メノウ「なに…これ」
スピネル「あっ起きた。おはよう弟」
メノウ「…兄様!外してください…!」
スピネルはニコッとして言った
スピネル「今日から君は私のマリオネットだ。」
メノウ(マリオネット…?操り人形?)
僕は人間だからマリオネットにはなれない。そうだ。なれない
メノウ「僕は人間だよ…」
スピネル「だから、今から改造するんだよ、あはは」
メノウ「え…?」
改造とは一体なんだろう。僕はロボットなんかじゃない
スピネル「何しようかなぁ不老不死にしてみんな死んで行くところ見せるのもいいね
そうだ!血に何か特殊な力を付けよう!精神安定とか付けて飲んだら楽しそう
あっでも私甘党だから甘くないとなぁあはは。」
メノウ「辞めて…」
スピネル「黙れ弟風情がさ、兄に口答えしちゃダメなんだよ、
罰として〜さっき言った事全部してあげる」
メノウ「あああああああああああぁぁぁ痛い、痛い!」
スピネル「うるさいなぁ、そうだ痛み無くしちゃおだったらうるさくないよね」
身体から何かが抜け落ちるような抜かれるような。
燃えるような痛みは消えていくがとても気持ち悪い。
メノウ「気持ち…悪」
スピネル「はいはい〜黙ってね〜」
そこからの記憶は奇跡的に残っていない。何をされたかも思い出したくない。
メノウ「あぁあ」
気がつくと赤い鎖で繋がれていた。
兄の顔は恐ろしく考えただけで吐き気がする
スピネル「弟よ〜おはよう。試しに血飲んでみようかなーって思ってね」
メノウ「…はい」
スピネル「いやぁごめんねこっちもこっちで余裕なくてね〜
私達双子の能力を伏せてたみたいで今ややこしくなっててね、あははは」
明らかに兄じゃない。話し方も全く違う
メノウ「誰…」
スピネル「はー?スピネル・ローズブレイドだけど?」
兄の名前、久しぶりに聞いた「ローズブレイド」という名
兄はその名前を名乗ろうとしない、此奴は兄じゃない
スピネル「そうだ四肢切ったの気づいた?記憶無いかもだけど何度も逃げ出そうとして
切っちゃった」
何を言っているんだろう、手足ならちゃんと…
メノウ「あぁぁぁぁ…」
無い。手足が無い、
スピネル「歩けないし、何も掴めないね。可哀想、」
メノウ「どうしてこんな事するの…」
スピネル「お前が憎いからだよ。」
予想外な回答に驚いてしまった。僕が憎い…
僕は兄に何かしてしまったのだろうか、僕達仲が良い双子だったはずなのに
スピネル「まぁ全部どうでもいいや、じゃ血頂くね」
メノウが魘されている、助けてあげたいけど何も出来ない。
どうすれば良いのだろうか。起こす?…うーん
奏斗「よしよし大丈夫だよー」
兄さんによくやって貰っていた、俺もよく怖い夢を見るから
メノウ「…奏斗…おはよう」
奏斗「あれ、起こしちゃった」
メノウ「大丈夫だよ〜…ごめんねぇ迷惑かけちゃって」
奏斗「それはいいんだけど…怖い夢でもみた?」
メノウの目から涙が出ている事に気づいた。
メノウ「うんでも大丈夫」
大丈夫じゃないだろうに
袖でメノウの涙を拭う
メノウ「えへへなになに」
奏斗「肌がフワフワしてそうだったから~」
僕が少し微笑むとメノウは、思い出したように言った。
メノウ「あっ…そういえば。お腹見して」
奏斗「ん?」
メノウ「ァー。ごめん、説明し忘れたね」
奏斗「なにこれ…」
黒い紋章のような物が刻まれていた。ちょうどさっき火傷のような痛みがあった場所だ
奏斗「メノウ説明して!」
メノウ「えっと召喚したって言ったじゃん?召喚された瞬間
召喚された側とした側との主従関係が結ばれて、した側が主として一生を捧げる
って言う契約が強制的に結ばれるんだ。紋章はその証。主が苦しむと従者も紋章を刻んだどころに
燃えるような痛みがするんだよね…、ちなみに主と従者は離れれば命が危ないよ!」
奏斗「危ないよ!じゃない!もっと早く言って!」
メノウ「ごめんね…?本当に」
反省、しているようだし今回は許そう…。
この先やって行けるのかなぁ
奏斗「ちなみにどれぐらい離れたらダメなの?」
メノウ「グラウンド2周分」
奏斗「微妙…」
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