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「あら、お腹いっぱいになって眠たくなったのかしら?」
ユラがこっくりこっくりと船をこぎ出した。
「サフィー隣の寝室ってもう使えるんだよね?」
「はい、もういつでも泊まれるようにセッティングしていますよ。」
「それじゃぁ今日はココに寝させてあげて、あと夜もしかしたら怖がるかもしれないから一緒に寝てあげたり出来る?」
「はい、モリアンと一緒に付いておりますので大丈夫ですよ。」
「そう言えばココってお風呂はどうしてるの?」
「浴室は侍女用の浴室がありますから何時でも入れます、湯浴みさせてから休ませた方が良いかと思いますけどどうしましょうか、もう寝ちゃいそうですね。」
千春もサフィーナもユラを見ながら考える。
「そう言うときは王女特権発動ですよ?メイドと執事に言えばココに浴槽を持ってくることも可能です!」
「そんな無茶な・・・」
「いえ、いい考えですね、浴槽さえあればお湯は私が沸かせます、子供が入る程度のお湯でしたらそう大変ではありませんし。」
「それじゃチハルさん、チハルさんが浴槽持って来てって私に言ってください。」
「・・・浴槽もってきて。」
「はい!了解しました!」
モリアンはそのまま直ぐに部屋をでて何処かへ走って行った。
「それでは私はタオル等の準備をしますね。」
「ちょっとまって、タオルは私が部屋から取ってくるよ、あと子供用の下着とか無いよね?」
「そうですね、支給品は制服くらいなので。」
「おっけー、ちょっと買ってくるからユラちゃん見ててもらっていい?」
「はい分かりました。」
千春はそう言うとすぐに扉を抜け近所の洋服屋さんシアムラへダッシュした。
「お待たせ!」
千春は下着とシャツ、服とパジャマを買って帰って来た、すでにサフィーナとモリアンがユラを浴槽に入れていた。
「はい、これ着替えとタオルね、どう?まだオネムかな?」
「半分以上寝てますね。」
「いえ、これは完全に寝てますよ。」
ユラはされるがままに洗われ軽く腰が浸かる程度の湯舟に支えられながら入っていた。
「よし、このまま拭いて着替えさせよう。」
3人にされるがままのユラを着替えさせベッドへ連れて行く。
「もう夕方かぁ。」
「そうですねそろそろ午後2鐘が鳴る頃です。」
「18時ね、夕食はどうする?」
「先ほどケーキを食べましたしお腹の方は大丈夫です、今日は夕食要らない気がしますね。」
「私も全然、食べ過ぎました。」
「うん、ごめん、私も買いすぎたなと思ってる。」
「それじゃぁ夕食終わる頃にメグ様の所行って私はあっちで寝るよ、どうせココに居てもエリーナさんに連れて行かれるだろうからね。」
「「そうですね。」」
サフィーナとモリアンも同意した。
「それじゃそれまでユラちゃんの寝顔でも見ながらノンビリしましょうか。」
「そうですね、あ、この部屋は寝室になってますが何か必要な物とか有れば揃えますよ。」
「んー、扉入ったらすぐ自分の寝室もあるからなぁ、しっかし広い寝室だなぁ。」
「そうですね、門の部屋と同じく研究室の一つだったと聞いていますから。」
「ここでお昼寝したら気持ちよさそうですよねー。」
「モリアンは入室禁止ね。」
「えぇぇ!」
「王女殿下の寝室で昼寝する侍女が何処に居るんですか。」
「・・・・ココに、痛ぁぁ!!!」
サフィーナのチョップがモリアンの脳天にヒットした、これといってやる事無く3人は門の部屋に戻り寝室のドアは開けたままユラの様子を見て過ごした。
コンコンコン
ノックされる。
「はーいどうぞー。」
「チハル様夕食の方は如何なされますか?」
マルグリット王妃の侍女がお伺いに来た。
「今日の夕食は済ませてますので大丈夫です、お母様が食べ終わる頃に行きますのでお伝えください。」
「了解致しました、そうお伝えしておきます。」
侍女はお辞儀をし部屋を出ていく。
「本当に王女殿下なんですよねー。」
「モリアンは何を今さらな事をいってんのよ。」
「モリアンの言ってる事はなんとなく私も感じています。」
「えー!サフィーまで!?」
「えぇ、こんなに気さくに侍女と対話する王族なんて見た事も聞いた事もありませんから。」
「だってつい最近と言うかあっちでは平民だもん、急に変れって言われても無理でしょ。」
「でもチハルさんの付き人で良かったー、他の王族の付き人してたら多分私もう首飛んでると思う、比喩ではなく。」
「大丈夫です、私が全力で止めます。」
「何を?」
「王族の付き人にするのをです。」
「だよねー。」
「ひどおおい!」
ケラケラと笑いながら3人はお茶を飲みつつ談話して時間を潰した。
「それじゃそろそろ行ってくるよ、モリアンはユラちゃんを見ててね。」
「了解でーす。」
「それではお送り致しますね。」
「よろしくー。」
モリアンを置いて2人は王妃殿下の自室に向かう。
「ただいま戻りました。」
マルグリットの部屋に付き千春はいつもの挨拶をしながら部屋に入る。
「お帰りなさいチハル、話は聞いたわ、この国の貴族が迷惑を掛けました、でも危ない事はしないでね、話を聞いてビックリしたわよ?」
「ごめんなさい。」
「でも有難う、これで子供たちを悲しませない様に出来るわ。」
「はい。」
「それで獣人の子を預かってるって聞いたけど、どう?目が見えないのは治せそう?」
「色々と調べたんですが明確に治療出来るイメージは湧かないんです、でもモリアンがヒントをくれまして明日それを試してみたいと思っています。」
「そう、それで今日はどうするの?その子の面倒を見にあちらで寝るのかしら?」
「いえ、今日はモリアンとサフィーが面倒を見てくれるので私はこちらで休みます、明日からまた向こうになりますから。」
「よかったわ、私もチハルと一緒に居たいもの、それじゃ湯浴みに行きましょうか。」
「はい。」
2人は微笑みながら浴室に向かう、話し方は二人とも他人行儀な所は有るが、どちらも一緒に居るのが当たり前になっていた、そして温泉で疲れを取り、マルグリットにしっかり寝て魔力を回復するようにと早く床に就いた。
「おはようございます。」
「おはようチハル、すぐに行く?」
「はい、魔力も回復しましたし、色々試してみたいので。」
「分ったわ、無理をしないようにね?」
マルグリットはそういうとすぐに支度を整えさせ侍女に部屋まで送らせた。
「おはようー。」
「おはようございます。」
「チハルさんおはようございます!」
千春の部屋に戻るとサフィーナとモリアンはユラの髪の毛を梳いていた。
「ユラちゃんよく寝れた?」
「はい、ありがとうございます。」
「いいえーどういたしまして、朝ごはんは?」
「まだですね、私もモリアンもココに泊まりましたので食堂には行ってませんから。」
「そうなんだ、2人ともありがとう、それじゃぁ早速なんだけど回復魔法使っても良いかな?」
「そうですね、昨日モリアンが言ったように抽象的なイメージで掛けてみるんですよね?」
「うん、・・・・「鑑定」、うん70/72だね。」
「チハルさん、いつも思うんですが魔力全回復しませんよね?」
「それはそうです、チハルは翻訳指輪を使ってるので微量ながらも魔力が減ってますから。」
「そうだった、違和感ないから忘れてたです。」
モリアンは翻訳指輪が魔力を吸う事を忘れていたが、千春も実は忘れていた。
「う、うん、そうなんだよ?覚えといてね?」
「・・・・チハルさんも忘れてましたよね?」
「そんなことあるわけないじゃないですか。」
「デスヨネー、ソウイウコトニシトキマスネー。」
「チッ、モリアンのくせに!」
「・・・・チハル、回復しないんですか?」
「しまーす。」
千春は気を取り直しユラの前に屈む、ユラは椅子に座りじっとしている。
「ユラちゃん、今から目が治りますようにーって魔法を掛けるからね?」
「はい、おねがいします。」
「それじゃいくよー。」
千春は両手を軽くユラのこめかみあたりを触る。
「・・・・ヒール」
ふわっと目の周りが光る。
「・・・・・・・うん、大丈夫だと思うどうかな?」
ユラはゆっくりと目を開ける。
「みえます、おねえちゃんがちはるおねえちゃんですか?」
「うん、そうだよ、初めまして・・になるのかな?」
ぽろぽろとユラの目から涙がこぼれる、横に居たサフィーナがハンカチで涙を拭いてあげる。
「・・・・「鑑定」・・・うわぁ!」
「チハルどうしたの?」
「残りMPが20。」
「ええ!」
珍しくサフィーナが声を上げる。
「いや、すっごいMP持ってかれる気がしたんだよ。」
「昨日無理して回復させなくて良かったわね、やってたらチハル数日起きれなかったわよ。」
「あぶなぁ・・・・でもなんで50も減ってんのかな、そんなに難しい回復だったって事?」
2人が不思議に思い考え込む。
「あれじゃないですか?その回復する魔力が多いんじゃなくていつもが少なすぎなんじゃないかと。」
「え?モリアンそれどういう事?」
「えっとですね、イガクチシキ?で効率良く回復するから普通よりも消費魔力は少ないけれどー、神官たちみたいに抽象的に回復させると消費魔力は多い、的な?」
「何故そう思うのかしら?」
理に適う事を言い出したモリアンにサフィーナが疑問に思う。
「それはですねー、前ケガした人に教会の人が回復してたんですけどチハルさんみたいに沢山回復出来なかったんですよ、チハルさん昨日少なくても7~8回は回復魔法使ってましたよね?」
そう、地下牢で男の子、さらに女の子3人の痣を何か所か分けて回復していた、ヒールを使った回数は8回使っていた。
「教会の人は魔力100超えても3~4回も使えば終わりらしいんです、だからそう考えると普段のヒールが効率良すぎなんですよ。」
「モリアンどうしたの?何か変な物食べた?」
「たまにこの子凄く頭回るんです、昔から。」
「何ですかぁ!変な物食べてないですし!たまにじゃないですもん!いつも回りますもん!」
辛辣すぎる2人の反応にオコなモリアンだった。
「まぁそれは多分正解として置いておきましょ、ユラちゃんこっちの清楚美人がサフィーナでこっちの残念な可愛い子がモリアンで私の付き人、侍女って分かるかな?」
「うん、わかる・・わかります。」
「普通にお話して大丈夫だよ、誰も怒らないからね。」
そういってニッコリと微笑む、後ろで「残念ってなんですかー!」と言ってる人が居るがスルーする。
「ちはるおねえちゃんはおうじょさまなの??」
「え?なんで?まぁ一応そうだけど。」
「きのうでんかって言われてたひとと、ふつうにおはなししてたし、ねむたくなってたときに、おうじょとっけんはつどうって、もりあんさん?が言ってたようなきがします。」
「よく覚えてるね!半分寝てたのに!」
「目が見えない分聞こえる事に敏感だったんでしょうね。」
千春とサフィーナは物覚えの良さに感心していた。
「よし!MP減ったせいかすっごいお腹すいた!朝ごはんにしよう!」
「そうですね、食堂に行きますか?持ってきましょうか?」
「いや、今日の朝ごはんは私が厨房で作るよ、ユラちゃん何か食べたいものある?」
「たべれるものならなんでも・・・」
「好きな食べ物は何かな?」
「・・・・お肉?」
「おっけー!朝から肉ね!重いけどなんか作ろう!」
「やったー!!!!」
なぜかモリアンが喜ぶ。
「モリアンは固いパンでよくない?」
「そうですね、固いパンにマヨネーズを塗れば喜ぶんじゃないでしょうか?」
「いやぁぁ!マヨは好きだけどそれはいやー!」
きょとんとしながらユラは3人の会話を聞いていた。
「それじゃ行こうか、朝肉を食べに。」
そう言って4人は厨房へ向かった。