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テラーノベル(Teller Novel)
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この話はマラ王国・王国騎士団団長のルーク視点で進みます。これはカズヤとは違い、正常に召喚されたクラスメートが王城でどのような目にあったのかというお話です



「異世界から人間を召喚します」



「「…………はい?」」



普段であれば政治などの会議を行う場所に王国騎士団や国王の臣下が全員集められた。集めたのはマラ王国の老臣・ノツ。長年マラ王国を支えてきた人だ

そんな人がいきなり異世界から人を呼び出すというのだ。私だけでなく周りも言葉の意味を理解できなかった



「どういうこと意味です?」



「言葉の通りです。異世界から人間を召喚するんです」



「何を仰っているんですか?

異世界などと幼稚なことを言っては我々も呆れますよ?」



「異世界など存在しないと仰っているんでしょうか?」



「そうです。それにもし仮に異世界があったとしても人を召喚して何になるというんです?」



「国の救世主になるとのことです。これは国王様の勅令でございます」



「国王様が…!?」



臣下たちはおかしなことを言うノツに詰め寄る

私はその光景を黙って見ていた。臣下たちの言う通り幼稚で馬鹿げたことを言っている

しかし、それが国王様の命令なら実行しなくてはならない。国王様の勅令など無視できるはずがない



「はい。あなた方は幼稚な発想だと国王様を侮辱されるおつもりですか?」



「い、いえ……そんなつもりは…」



「なら、あなた方が国王様が仰ったことは幼稚なことではないと証明してください」



「それで我々、王国騎士団も呼んだのですね」



「はい。王国騎士団の皆様も手を貸して頂けたらと思いまして」



断れるわけが無い。丁寧な言い方はしているが実質やれと言っているようなものだろう。国王様の勅令を断ればどうなるかなんて目に見えている

微笑しながら言っているが目は全く笑っていない。ノツは国王様から最も信頼されている。それはノツが私の目から見ても狂っているほどの忠誠を誓っているからだ



「我々にできることがありましたら何なりとお申し付けください」



「それはそれは…ありがたい限りです」



「では皆様、ご健闘をお祈りいたします」



「くれぐれも国王様を失望させることのないようにお気を付けて…」



厄介な事に巻き込まれた。何故我々が異世界から人を呼び出すことに協力しなくてはならないのだ

だが、文句を言っている場合ではない。異世界から人を呼び出す方法を見つけなければならない

しかし、そんなのどうやって知れば良いのだ?

まず、そもそも異世界など存在するのか?

私の頭は不満と焦りと疑問が複雑に絡まり破裂しそうだった



「どうすれはいいのだ……」



「異世界から人を呼ぶなんてミラ様でもなければ無理だ」



「蔵書室なら何かあるかもしれん」



「ではすぐに調べてもらおう」



「王国騎士団は何をしている!!早く探しに行かんか!!」



「我々が蔵書室へ向かえばよろしいのですか?」



「当たり前だ!!いつまでここにいるつもりだ早く行け!!!!」



自分勝手な臣下だ。名前を言わなれけば誰が行くのか分からないに決まっているだろう。お願いしますの一言もなく顎でこき使う

我々王国騎士団は臣下たちから嫌われている。自分たちよりも国王様に気に入られているからだ

王国騎士団は王国を守るための軍隊であり国王様が発案し、具現化した。国防の要だとしてよく気にかけられている

臣下たちは王国騎士団を国王様直属の軍隊だと思っている。そのため有事の際に王国騎士団は国王様しか守らないと思っている。臣下たちは勝手に我々を憎み日々の鬱憤を晴らしているのだ



「王国騎士団は命令を聞くしか能がないんだから大人しく従っていればいい」



「あぁ。全くだ。犬は犬らしく動き回っていればいい」



我々は臣下たちに陰口を叩かれながら会議室を出た

ノツも我々が臣下たちに嫌われていることは気づいているはずだ。一緒に呼ばないで欲しい。居心地が悪い



「ルーク様どうされますか?」



「スノーに蔵書室で異世界に関する本を探せと伝えろ。私は街で探してくる」



「護衛はどうされますか?」



「護衛はいらん。私1人で行く」



「承知いたしました」



私がそう言うと鎧の兵士はガチャンガチャンと音を立てながらスノーの元へ向かった

スノーというのは王国騎士団の副団長のことだ

スノーも話を聞けば厄介な事に巻き込まれたと思うだろう

私も1人で街を探そう。もしかすると何かあるかもしれない

だが、このままの格好でいけば人が寄ってくる。人が集まれば探す所では無い。素性は隠さなければいけない



「ここにもないか…」



「お客さん。何をお探しで?」



「異世界について書いてある本を探しているのだが…」



「プッ…ハッハッハ!異世界だって!!?そんなものあるわけないだろ」



「……そうか」



ここにもないか。どこの書店に行っても同じだ。教会に行っても有益な情報は何1つ手に入らなかった

私はフードを被り、マスクで鼻を覆っているため見つかることは無い

街の全ての書店を訪れたが、異世界から召喚する本どころか異世界についての本は何も置いてなかった。異世界の話をすれば店主に笑われる。気分が悪い

教会に行っても神父から

「異世界はミラ様しか知ることができない」

と言われ、神に祈りを捧げなさいと言われた

今は神に祈りを捧げている場合では無いのだ。早く異世界から召喚する方法を見つけなくては



「ナリアどうした?」



「面白そうな本があったから」



「本って……お前もう十分持ってるだろ?」



「もう全部読み終わってるのよ。新しい本を見つけたいなぁってちょうど思ってたから」



「そうだとしてもその手にあるのはなんだよ……」



冒険者か……冒険者は異世界のことをどう思っているだろうか。滑稽だと笑うだろう。異世界などという空虚な妄想が受け入れられるはずがない

なのに何故国王様は異世界から人を召喚するなど言ったんだ?異世界を本気で信じているのか?

……不満を吐き出してもやらなければならない。無理だとわかっていてもやらなければならない



「これは売ろうと思ってるの!」



「[異世界から……]?

読めねぇな。そもそも異世界なんてあるわけないだろ」



「それにその本焼け焦げてるみたいに真っ黒じゃないか。辛うじてタイトルは少し読めるけど」



「中は綺麗よ」



「だとしてもそんな本売れねぇよ。買う人がいないだろ……そもそもその本どこで手に入れたんだよ」



「落ちてたから拾ったのよ。面白そうなことが書いてあるからお金になるかもって思って」



異世界……?それだ。私が今求めているのはその本だ

それを求めて街を探していたんだ。何としても手に入れなくてはいけない



「その本、私にくれないか?」



「え?」



「タダとは言わない。1万アーツでどうだ?」



「そんなにいいの!?」



「おいおい、冗談だろ……こんな本のどこに1万アーツの価値があるんだよ」



「悪いことは言わないです。その本に1万アーツ払うのはやめてください」



「あなた達何のつもりよ!!!せっかく欲しいって人がいるのに」



「俺たちは悪徳な詐欺師から善良な市民を守ってるだけだ」



「どうでもいい。ほら1万アーツだ」



「本当にくれるの!?!?」



「ナリアも売れると思ってなかったのか」



「もらっていくぞ」



私は女性から焼け焦げたように真っ黒な本を貰った。本はページ量が多いため分厚くずっしりと重い

この本に何か有益なことが書いてあればいいが……

王城に戻って読んでみるか……

まさか冒険者がこんなものを持っていたとはな



「あんな本のどこがいいんだか……」



「世の中には不思議な人もいるってことだね」



「その通りね」



「あの人のおかげで儲かったんだから感謝しないと」



私は王城に戻り本を読むことにした。王城に戻るとスノーが蔵書室には有益なものはなかったと報告してくれた。書店になくても国の蔵書なら私も臣下たちと同じようにあると思ったがなかったか……

この焼け焦げた本に頼るしかない



「それどうしたんですか?」



「たまたま見つけたんだ」



「[異世界から……]?

読めませんね。何が書いてあるんでしょう?」



「さぁな。これから読んでみる有益なことが書いてあればいいが」



「我々はどうしましょう?」



「私1人では探しきれないところもあった。街を探してみてくれ」



「承知いたしました」



私は自分の部屋で貰った本を読んでいた

この本と巡り会えて良かったかもしれない。この本には異世界についてだけでなく、異世界から人を呼ぶ方法も書いてある。(本当にできるかは分からない)

何でこんなものが落ちていたのかは不明だが、そんなのはどうでもいい。これで国王様の願いを叶えられるかもしれない

早速ノツのところに行って報告しなくては



コンコンコンコン「どうぞお入りください」



「失礼します」



「あなたですか。何の用でしょう?」



「異世界から人を召喚する方法がわかりました」



「!?

それは本当ですか?」



「はい。こちらに全て記載されています」



私は[異世界から人を召喚する方法]と書かれたページをめくりノツに見せる

異世界から人を召喚する方法は、まず臭い香りの香を焚いて、呪文を唱えながら塩を入れて作る水「聖水」を物や場所にふりかけ場を清める

その後カマや短剣を使い魔法陣を地面に描く

召喚する際に白い法衣と剣、杖、冠を身につけ香と聖水で身を清める

これだけで呼び出せると書いてある。本当かどうかは分からない。ただ試す価値はあるはずだ



「呼び出すのは神父にやって貰いましょう」



「聖職者ならこのようなものの手順はわかるでしょうからね」



「召喚の儀は明日、祈りの間で執り行います。あなたもその場にいてください」



「承知いたしました」



私は大仕事をやり遂げたという達成感を感じていた臣下たちや私自身も空虚な妄想だと思っていたことが実現するかもしれないのだ。臣下たちはさぞかし驚くことだろう

王国騎士団はさらに国王様から信頼される存在となるはずだ



~次の日~



「この手順通りにお願いしますね。あとは聖職者あなたの知識でやってください」



「は、はい……」



私たちはミラ様に祈りを捧げる場所である祈りの間に集まった。王国騎士団だけでなく臣下たちも皆集められている。神父が震えながら召喚の儀に必要なことを行っていく

昨日臣下たちは勝手に報告をするなと私に詰めてきたが、そんなに手柄が欲しいなら自分たちで探せばいい。いつまでも人に任せてばかりいるから国王様にいい報告ができない



「一通りの準備は整いました」



「では始めて下さい」



「はい。……@&“/*¥$」



何を言っているのかは神父にしか分からない。あの本があっているならこれで召喚できるはずだ

神父が呪文を唱えて始めてしばらくすると魔法陣が光出した。眩しすぎて思わず目を瞑ってしまう

目を開けると目を疑う光景が目の前に広がっていた



「どこだ?ここ?」



「え?なになに?ドッキリ?」



「これは……!!」



「成功しました」



成功だ。空虚な妄想が現実になったのだ

私もついさっきまでは疑っていたが、疑念などすぐに消え去った。異世界は存在した現れた人間がそれを証明したのだ

目の前に現れた数十人は皆同じような服を着ており男と女で違うだけ。変わった人間たちだ。同じ服を着て何になるんだ?



「ようこそ。マラ王国へ」



「は?マラ王国?聞いた事ないんだけど…」



「初耳だよね。そんな国あったっけ?」



「皆さんをもてなしさせて頂きます。どうぞこちらへ」



私は召喚された者たちを真眼で分析した

!?!?なんだこの以上な数値は!?

見た事がない!!何故こんなに強い!!?

我々だけでは太刀打ち出来ないぞ……

国王様は一体何を考えておられるのだ。いくら国のためとはいえ下手をすれば国が壊滅するかもしれない……

これはノツに報告しなくては……この者たちを野放しにはできない

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