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天才ですか!?!?!?最初にエピローグ読んだ時は【なんか不安な気持ちがあるけど幸せになる系のやつかなぁ】みたいに思ってたのにまんまと騙されました( ᐪ꒳ᐪ )最後にエピローグ流してくれてほんとに感謝ですぅ(т-т)サムネも物語の構成も言葉選びも天才すぎます!!!!
うがア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!! サムネで最初、だざさんの腕だけ包帯で隠れてて、アルファかオメガかわからなかったの工夫すごすぎない!?鳥肌鳥肌…((( ´ºωº `)))ガタガタ 運命の番かぁ…辛すぎるよぉ…
太宰と中也は結ばれると思ってたのに… まぁ確かにΩとΩじゃ番になれないしそうなるのは分かりきってたけど…二人で幸せになって欲しかったなぁ(号泣) もうガチ泣きさせないでよぉぉぉぉぉ… 神作ありがとうございます(泣) (初コメです)
続きです
「私も君と同じだから。」
『え…?』
理解が出来なかった。
だって太宰は…、
恋は盲目だ。
今思えばおかしいんだ。
太宰が俺に普通に接してきたことが。
普通、アルファやベータならオメガの出すフェロモンに平然としてはいられない。
アルファなら、匂いがしていた時点で襲っていてもおかしくはない。
それなのに、彼奴はそんな時でも普段通り平然としていた。
それは太宰が自分と同じ事を示すのには充分すぎる事実だった。
やっぱり恋は盲目だ。
こんな些細な事にも気付けないのだから。
俺の思考を遮る様に太宰は俺の手を優しく握って云った。
すごく、切なそうな顔をして。
「だからさ、終わりにしよう。」
「こんなに苦しい恋なんて。」
「その方がお互いの為なんだ。」
「だから、ね…?」
何でそんな事を云うんだよ。
「君の気持ちを知れて良かった。」
「君も私と同じ気持ちで嬉しかったよ。 」
何で、そんな最後みたいな…。
「君には幸せになって欲しいんだ。」
それなら、手前が俺を…、
幸せにしてくれよ!!!
そう思った時には俺は太宰に抱きついていた。
『終わりたくない。』
『終わらせたくない。』
『こんな…こんな理不尽な理由で諦めたくない!』
「っ!私だってそうしたいよ!!」
「でもっ…!絶対に幸せにはなれない!!」
「きっと君も離れていく!!」
「どんな理由であっても、もう……、」
太宰の歪んだ顔が見えた。
「もう…、失いたくないんだ……。」
きっとこれは太宰の心の底からの悲鳴だ。
『それでも俺は…。』
〝一緒にいたい。〟
それは云えなかった。
仲間を失う辛さ、それは俺も知っている。
だからこそ、そうやって一方的な願いを云うのは無理だった。
暫くの沈黙。
重い雰囲気の中、太宰がその沈黙を破った。
「君は…、本当に優しいね。 」
『え…?』
「云わないでくれたんだろう?」
「私の気持ちを察して。」
『……。』
「…、これじゃ…、出ていった後も当分は忘れ…られないなぁ…。笑」
太宰の顔は見た事が無い位に涙出濡れていた。
『忘れんなよ…、折角両思いになれたのに…、そんな……、俺だって…! 』
『俺は…、手前と、 この世界に抗いたい。』
『それは苦な事かもしれない、手前にとって物凄く酷な事かもしれない。』
『でも…!俺だってすぐ諦められる程生半可な気持ちで手前を好いてねぇんだよ。』
『お互いに誰よりも大きい共通点があるからこそ支え合いたい。 』
『それじゃ、駄目か…?』
その言葉に、私は揺らいでしまった。
諦めをつける筈だったのに、
終わりにする筈だったのに、
終わりにしなきゃいけないのに、
それでも、心の何処かで、
私はこうなる事を願っていたのだろう。
「駄目じゃない…!」
云ってしまった。
もう、戻れない。
これから私達は限り無い不安と隣り合わせで、
恋をするんだ。
やってくれたね。
本当に君は…、横暴な〝僕〟の狗だ。
────────────────────
四年後
三月。まだまだ寒い冬だった。
『そういえば、そんな事もあったなぁ。』
「懐かしいばかりだよ。」
「真逆君がいきなり抱きついてくるとはね。」
『…っ!五月蝿ぇ、それは忘れろ。』
「無理ー。 」
「…、寒っ……。 」
冷たい風に身が震える。
嘘みたいだろう?
組織は違えど、私達の関係は変わらなかった。
一応敵対している組織ではあるから、会える頻度は限られているけど。
それでも、
私達はあの日の誓いを守り続けていた。
消える事の無い不安を胸に、
今日も私はこの男の隣に居る。
『やっぱ寒ぃよなぁ…。』
中也も身体を震わせていた。
当たり前の様にこの男が隣を歩いている事実が今でも嬉しい。
今日、私達は街へ出かけた。
俗にいう、デエトってやつ。
私達は人混みを歩いていた。
私は少し、胸騒ぎがして、何となく中也の手を握ってみた。
中也は少し驚いた様な反応を見せたが、ほんのり赤く染めた顔を私に向けてニコッと笑った。
心が満たされた。
きっとこの胸騒ぎは気の所為だ。
そう思った。
私達はその儘手を繋いで歩いた。
数分歩いた時だったろうか、
中也が急に立ち止まった。
中也はただ、呆然として何かを見つめていた。
中也の視線の先には、私が見た事も無い知らない女性の姿があった。
その女性も同じく中也を見つめていた。
中也は無言で私の手を離した。
私から離れていった。
その瞬間、私は理解した。
わかってた。
いつかは来てしまうこの時を。
何よりも恐れていたこの事を。
覚悟はしていた。
手に入れたものはやっぱり、失う事が約束されている。
女性を見つけた中也の目は恋をする人間の目だった。
ああ、今か、
そっかぁ、
今かぁ。
恋の為に生きたこの七年。
どうやら私は革命を起こせなかったようだ。
運命には抗えなかったようだ。
もし、
私がオメガじゃなければ、
どんなに幸せだっただろう。
きっと今も手を繋いでいたのだろう。
私はただ、冷たい風に吹かれて呆然と立ち尽くしていた。
わかってたんだけどなぁ…。
あの夜の様に私の頬に一粒の涙が伝った。
悲しい。
やっぱり、 ***** 。
いや、違う。
そんな事、云っては駄目だ。
わかってたじゃないか。
最初から。
覚悟していたんだろう?
ちゃんと、あの時から。
そう、自分に何度も問いかける。
そうだ。
私が云うべきなのは…、
するべきなのは、
中也。
今度ちゃんと私の事を忘れて幸せになってね。
私はただ、君の、
君だけの幸せを願ってるから。
君の幸せを願う事だ。
────────────────────
─エピローグ─
〝運命の番〟って知ってるか?
オメガとアルファの間にできる強い結びつき。
その運命の二人は出会った時、 お互いに
強く、強く惹かれ合うんだと。
たとえ、
その人に、
〝どんな気持ちがあったとしても。〟
これは、俺がそんな世界で、
運命の番に出会う迄の物語。
君の幸せを願う [完]
行かないで 。
かなり長かったですが、
最後まで見てくださった方、
本当にありがとうございました!