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ふさふさとした手でなんとなく頭を触ると、ほんのりとあたたかい耳に触れる。
ほんとうにうさぎになったようだ。
前を向くと先程の草原とは違って、目の前には大きな聖堂があり、随分と都会なようにも見える。
とりあえず、さっきの所とはまた違う場所。
にしても、僕はここでなにをすれば良いのだろうか。神様からプロミスパーソナリティー?に任命されたはいいが、何をすればいいのか分からないし、言葉が分かろうが話せようが道が分からなければどこにも行けないし、とりあえず今はただのうさぎにすぎない。
「(…誰もいないな)」
がさがさっ
「…?」
何の音だろうか。人が通ったのかと思ったが、あまりにも人の気配とは思えない。
風の音…?
バサッ
「うわっ!?」
大きな音を立てて勢いよく飛び出してきたのは見たこともないような怪物だった。まさか、ゲームとかに出てくるモンスター的なやつなのだろうか。
いや、今僕は戦闘力0だ。ちょっとでも攻撃されたりしたら即死ぬ!!まさかこんなところで早くも死んでしまうのだろうか…。
一応守りを固めようと耳を伏せ、しゃがみ込み丸くなる。しかし、こんな程度の守りじゃだめだ。恐らく致命傷を負う。
頭の中で色々と考えてる内に怪物は僕に向かって突進してくる。僕は死を覚悟し、案内人さんの姿やあったかい天の世界の事を思い出した。その、途端。
「危ないっ!!」
そう声がして驚いて前を向くと1人の女の人がすごい速さで怪物の元へ走っていき、後ろからなにかよく分からないぬいぐるみのような猫達が怪物に凄い勢いで噛み付く。
よほど痛かったのか、悲鳴のように怪物は鳴き声をあげ、ゆっくりと倒れ込んだ。女の人はその様子をしっかりと確認し、そのまま僕の方に近づいてくる。
「おい、うさぎ。」
「え、あ、はい。」
「うわあ!?喋った!?」
「いや、あなたが話しかけたんでしょ。返事はしないと無礼じゃないですか。」
「そういう話じゃない。お前、喋れるのか。」「はい。」
「…そうか。まあいい。」
「って、お前みたいな小動物はこっちの方に出てきちゃいけないって忘れたのか?」
「そうなんですか…。ごめんなさい、知りませんでした。」
「ふうん。なんだ、ここのうさぎじゃないのか?」
「まあ、ちょっと。事情を話すと長くなるんですけど。」
「じゃあ何しに来たんだ?」
「あの…プロミスパーソナリティーって、ご存知ですか…?」
「僕、一回死んで天からプロミスパーソナリティーに任命されて気づいたらここにいて…」「…まじか。」
「はい。」
「よし、ちょっとこっちに来い。」
「…?分かりました…。」