魔主役パロ
読んでない人も多分…分かる…はず (
我々師団の師団室、
今日は何時もよりも騒がしいようだ。
師団室の中では、
何かの小さな野望を目の前にした2人の悪魔
トイフェル•シャオロンと
ボンベ•ゾムが
言い争っている。
sho「 御前、ふざけんじゃねえよ。コイツは俺のや。」
zm「 …は?せっかくエミさんが、… 御前には渡さん。」
…どうやら、遊び事では無いようだと
師団室のぴり、とした空気や
黙って見詰める他の団員で察する。
ドン、と壁に拳を振り下ろし、鋭く睨む黄色い悪魔は
何時もの姿やその中性的な姿からは想像できない程の低音で声を荒げる。
それにも全く動じず、あぐらで顔を下げたまま静かに目線だけを上げた緑の悪魔は…
静かに、冷静に… 暗いフードの中からギラリと光る目を覗かせた。
これを取り合っているのだろう…
両者の間に、
ポツンと置かれているのは
…
tn「魔フィンくらいで
そんな喧嘩すなぁ…」
sho「黙れトントン、!俺は食いたいんや!!」
zm「そうや!邪魔すんな、!!」
ut「トントン、もうそれは無駄や…」
tn「はぁ…」
…
魔フィン!!
手のひらに乗る大きさの小麦粉などで作られるパンのような焼き菓子…
まあ要するに” マフィン “である!!
エーミールの魔術教室後、
何時も頑張ってるから、と言って渡されたのだ。
どうやら彼の手作りらしい。
全く、エーミールも気が利かない奴だ。
人数分よりも一つ多めに渡してくるなんて…
そのマフィンは
香ばしい匂いを師団室中に漂わせており、
部屋に居るだけで喉が鳴りそうなほどに美味しい物だった。
zm「このままじゃ終わらんわ。シャオロン、” 遊び “で決着つけようぜ…!」
sho「…、!遊びなら勝てると思ってんだろ。ええわ、冷める前にやってやるよ。」
両者睨み合ったまま、ばさりと翼を大きく広げる。
… 這い寄る脅威 とも呼ばれる彼、ゾム。
流石のシャオロンでも彼に勝てる望みは少ない。
しかし、その表情からは不安を一切感じさせない、余裕の笑みだった。
tn「御前ら、するなら外でしろよ…」
ut「せや、師団室粉々になるわ、」
流石にまだ移動するだけの冷静さは保っていたらしく、
2人は大人しく窓を破壊して外へ飛び出す。
tn「お”い…!壊すなやぁ !!」
…
バビルスの敷地内にある広い森。
その上空で睨み合うのは勿論、彼らだ。
そして、少し離れた建物の屋根で、お気に入りのビデオカメラを回すのは
これまた野望に忠実な悪魔、彼らの先輩であるイロニー•ショッピ。
その横に並んで、空で楽しそうに羽ばたく使い魔を眺めるガオナァ•チーノ。
さらに壊れた師団室の窓から上空を見上げるのが
シュヴァイン•トントンとレイラー•ウツ 。
え、? 新我々師団ってこれで全員やったっけって?
んん、? 御前は誰やって、?
…それはまあ、黙っておくとしよう。
…
それまでただ睨み合うだけだった両者、
一斉に動き出したようだ …!!
ゾムは相変わらず、
沢山の爆弾を瞬時に作り出し、
的確にシャオロンに向けて放り投げていく。
それをシャオロンは軽く避けているようだ。
zm「どうしたんだぜ シャオロン ー ッ 。逃げるだけじゃ勝てねえぜ ?」
sho「…全く当ててねえ奴が何言ってんだよ! もっと火力上げろやw」
zm「 …!! 望む通りやってやるよ!!」
sho「…なっ、!」
zm「 オレん家に代々伝わる秘蔵の技… 溶岩遊泳 !!!」
… !!
ここが上空だと、そして下は森だと知らないのか、
マグマの入った爆弾をシャオロンに投げ付けるゾム…!!
…
sho「…w 空ならなぁ、こんな爆弾、当てなきゃ意味ねえよ!」
zm「なっ…!」
爆風で煙が立つ中から現れたのは、
…
魔力を沢山喰った後のシャオロンだった…!!!
sho「あれ、?もう終わった?」
zm「御前ッ、…! 家系能力…!!」
トイフェル家、家系能力…
“ 憎悪喰い “
怒りや、嫌悪等…他者からのヘイトの感情を向けられるほど、魔力が増幅する…!!
基本的にゾムは、
他者に嫌悪の気持ちを抱くことは少なく、
ただ” 遊び “として戦うため、
むしろ相手に好意を抱く。
そのためゾムにこの家系能力は、
相性が良くない…
しかし、… 魔フィンがかかった今、
そして…溶岩遊泳が効かなかった今…
ゾムは初めてシャオロンへ
” 嫌悪、苛つき “ という感情を
向けてしまったのだ。
zm「んな、嘘やろ…」
最初からこれが狙いだったシャオロン。
一度これにハマれば、抜け出すことはほぼ不可能…
…
しかし
シャオロンは
魔力を喰い過ぎでは無いだろうか
ゾムが怒ってるとはいえ、
たった1人でこんなに魔力が増えるのか…
その答えはあっという間に判明した。
??「 …おい。御前達…」
sho,zm「…?!、!!」
be「何をしている…?」
sho「ブ、… ブエル•ブルシェンコ先生…!!!」
そう、彼らの担任、
ブエル•ブルシェンコ先生…。
彼の嫌いな者は
痛みを軽んじる者。
まさに、この2人を表す言葉と言っても
過言では無いだろう。
…と言うことで、
そのまま職員室へ
2人は 連行されたのであった。
いやぁ、それにしても美味いな、
この魔フィンは。
エミさん店出せるんとちゃうか?
tn「なッ、…!!」
ut「こ、っ… この声…!」
ついに思い出した師団に居る2人の団員。
それではみなさん
さようなら。
また会えたら
会いましょう…
tn「ロボロッ!!!」
rb「気付くん遅かったやんか 。
… さすがに傷付くで。」
tn「そか、この無駄に馴染んでたナレーションは…」
rb「俺の家系能力、天の声やな。脳内に直接声を響かせてん。」
ut「って、その魔フィン…!!」
rb「これ、エミさんからの差し入れなんやろ?」
tn「え、 お、おう … ?」
rb「今日俺忙しくて、魔術教室途中で抜けたからな。余りの一個やなくておれの一個ちゃうんか。」
ut「あっ…」
rb「って事でまあ、解決やな。 美味かったわ」
tn「じゃあ、あいつら…」
rb「 ん 、?? 」
人の物を取り合って争い、
決着もつかずに担任に怒られ…
“ ただの阿保っちゅう事やな。 ”
tn「もう見えとんやからナレーションで話すなぁ…」
今日も我々師団は平和です。
それでは
みなさん
今度こそさようなら。