明日、世界は滅びる。
悪いニュースが私の耳へと入り込んで来たのは、
ほんの少し前の事だった。
水を一口、口に入れて、ごくりと飲み込む。
どうしよう。信じられない。
私の顔から、ほろりほろりと冷や汗が出てくる。
まだ、沢山やりたい事が残っているのに。
自分のスマホを取り出す。
スマホの画面越しで笑う、大好きな人。
どうやら都会に居るらしい。
会いたい。
この人に私の愛を伝えたい。
私の瞳の中が、貴方一人になる瞬間を知りたい。
貴方の人生と言う物語に、たった一度で良いから、
登場人物にしてほしい。
出来る訳がない。
そんな事を自覚していたのは、 六ヶ月 前程だった。
ピッ、ピッ、ピッ、となる機会の音が、
こんなにも憎らしいモノか。
明日、世界は滅びる。
そんな嘘を自分で取り繕っては、
自分に洗脳させらせる。
明日、私の人生は幕を閉じる。
私の余命申告が私の耳へと入り込んで来たのは、
ほんの少し前の事だった。
ピッ、ピッ、ピッ、ピーーッ、となる心音図の音が、
こんなにも悔しいモノか。