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「んっ!」
不意に視界全体が暴力的なまでの明るさに染まり、闇に慣れた瞼の裏が強い光に痛みを訴える。
一体何が起こったというのだ。双眸の痛みが治まり始めた頃、そっと瞼を開く。
瞬間、目の前が絶望に染まった。
「朝陽……」
「う……そ、何で……」
朝陽は目の前で起きている状況に驚愕した。
どうして目の前に、隼士がいるのだ。
慌てて後孔から指を引き抜き、上着で露出している性器を隠したが、今さらこんなことをしても何をしていたかなんて一目瞭然だ。
そんな賤しい姿を真上から一直線に見つめられ、息が止まりそうになる。
「気づいたら……朝陽がいなくて……心配になって……」
こちらに向けられる言葉にいつもの覇気がないことから、隼士もまた動揺していることがすぐに分かった。
とにかく早く謝らなければ。そう思うのに唇が震えてうまく言葉が形にならない。ついには波のごとく押し寄せる羞恥に負け、涙が零れた。
「隼……っ、ご……め……っ……」
ままならない呼吸の中、何とか不様な謝罪を捻り出す。だが隼士の顔を見ることはできなかった。
こんな場所で自慰行為に耽って、あまつさえ後ろを弄って。いくら長年の付き合いがある親友とはいえ、一発で異常な性癖だと分かる姿に嫌悪を抱いたはず。
「ふ……くぅ……っ……」
ああ、隼士に嫌われてしまった。
今まで築き上げてきたもの全てを壊してしまった恐怖と絶望に身体中が震えた。
「隼……願い、一人にっ……して……」
「朝陽?」
「ふ、ぇ……俺、帰る……ぅ……くっ……着がえてすぐ……帰るから……」
もう、これ以上の醜態を見られたくない。朝陽は子供みたいに幼い嗚咽を漏らしながら、一人にしてくれと願う。
「すまない」
すると、この場には不釣り合いな謝罪が落ちてきた。最初は朝陽の自慰を見てしまったことを謝ったのかとも考えたが、この状況下で隼士が謝る必要がやはり見出せない。
なら何に対して謝ったのか。視線を外したまま意味を考えていると、突然、視界に影が差しこんだ。
続けて予想もしていなかった重みが、背中から覆い被さってくる。
「え……?」
背中に触れる部分から、ドクンドクンという響きが分かるほどの鼓動が伝わってきた。
深呼吸にも似た長い息が耳朶に吹きかかる。
「朝陽、すまない……」
「隼……?」
再度、告げられた謝罪の意を今度こそ聞こうと名を呼ぶ。が、朝陽の問いかけは、臀部に当たる隼士の熱く硬い塊の存在によって、瞬時に打ち消された。
隼士の雄が逞しい隆起を見せている。
まさか、と信じられない気持ちで頭がいっぱいになった。朝陽とのことを覚えていない隼士が、こんなことで欲情するはずがない
これは何かの間違いだと隼士の身体を押し返そうとする。が、その動きを妨げるようにもう一度グリグリと熱の塊を押しつけられた。
さらに臀部をなぞるようにして中心へと近づいてきた隼士の指が、直前まで弄っていた後孔の入口に触れてくる。
「あ、ゃっ……」
すぐに二本の指で緩まった窄みを広げられ、朝陽は一瞬で抵抗を奪われた。
グチュンと音を立てながら骨張った指が窄みの奥へと進んでいく感覚に、大きく背がしなる。たったそれだけで、己の肉芯からトロリと先走りが零れたのが分かった。
「ひ、や、なんっ……で? 隼……ふ、んっ!」
秘奥を広げられる感触に打ち震えながら問うが、途中で唇の重なりをもう片方の指で割られ、言葉を奪われる。
「んっ、んンッ……フ、ンッ……」
内側の肉壁と口腔内の両方を指で同時に掻き回され、苦しさと快楽に理性が揺らいだ。
そんな息苦しさの中、朝陽はふと気づく。
秘奥を蹂躙する隼士の指は性急な動きなのに、内側が裂けるような痛みが一切ない。確かに先に自分で中を解していたから、多少乱雑に広げられても平気ではあるが、だからといって男を抱いた記憶のない人間にここまで手慣れた動きができるのだろうか。
あたかも肉襞の形を覚えているかのように絶妙かつ巧みな動きをされると、以前の隼士に抱かれている錯覚に陥ってしまう。
「んっ!」
中を掻き回していた二本の指が、不意に朝陽の性感帯に触れた。
腰が自分のものではないかのごとく、勝手に跳ねる
「朝陽、気持ち……いいのか?」
「フッ、フ、ぁ、ンッ……ッ」
朝陽の反応を見ながら、執拗に腰が踊る場所を攻めてくる。一番感じる場所を蕩けるほど押される度に、瞼の裏がチカチカと光り、はしたない雫が朝陽の肉芯から溢れ落ちていった。
「ンッ、んんっー! ふっ、う、んっ!」
「可愛い……朝陽……」
酷く濡れた艶のある声で囁かれた後、唾液をたっぷり含んだ舌で耳介を掻き回される。その度に卑猥な水音が脳へと直接響いてきて、朝陽の理性を苛んだ。
ここで隼士を求めてはいけない。分かっているのに、朝陽の本能が熱を求め始める。こんな熱量の少ない指なんかではなく、もっと太く逞しい楔を最奥に打ち込んで欲しいと恐ろしいことを希ってしまう。
隼士が欲しい。駄目だ。
ダメだ。でも、欲しい。
夕刻の空が少しずつ闇に染まっていくように、朝陽の欲が理性の欠片を侵食していく。
そして――――瞬きもする間もない刹那、朝陽の中で何かが小さな音を立てて弾けた。
「あ……ん……」
みるみるうちに強張っていた身体から、力が抜けていく。耐える辛さに歪んでいた瞳が、トロンと熱を含んだものに変わったことに、自分でも気づいた。
「は、ぁっ……ん……」
そのまま、そっと頭を上げて隼士を見つめる。
艶やかな隼士の黒髪が汗に濡れて、より一層官能的に映った。
「朝陽?」
視線から意思を汲み取ってくれたのだろう、口腔内を犯す指がそっと抜かれた。
「は……や、と……もっ……」
「朝……」
「もっと奥……熱い、のっ……欲しい、よ……ぉ……」
涙と唾液でグチャグチャになりながらも、懇願する。もう何故記憶のない隼士に襲われているのかとか、このまま最後までしてしまっていいのかなんて、どうでもいい。
「願……い、隼士……ぉ……」
「朝陽っ」
本能を露わにした朝陽を見つめていた隼士の双眸が、カッと開かれる。
それからは光りのごとき早さだった。
腹の下を抱えられ、力任せに腰を高く上げさせられる。その後、背後で服が擦れる音がしたかと思った途端に、朝陽の後孔は信じられないほど太く強固となった肉塊に思いきり打ち抜かれた。
「やあぁぁぁっ!」
あまりの衝撃に一瞬で意識が飛びそうになり、続けて酷い圧迫感に思わず胃の中のものを吐き出してしまいそうにもなる。
これほどまできつく、半ば無慈悲にも思える侵食は初めてで、まるでレイプされているような気分になった。
ただ、それでも朝陽の身体は歓喜に打ち震えている。やっと求めていたものに有りつけたと、足の指先まで痙攣させながら喜びを露わにしている。
「動くぞ」
凶器にも勝る肉棒を最奥まで届かせた隼士が、一度大きく呼吸をしてから一気に腰を引く。それだけでも全身に伝わる快感は相当のものなのに、隼士は息継ぐ間もなく最奥まで腰を沈め、そのまま間断なく激しい抽送を繰り返した。
「ひっ、くっ、ぁああああぁっ!」
まるで獣の交尾だ。
壊される。
ただただ揺さぶられるだけの朝陽は、一抹の恐怖を覚えながらもそれを遙かに超越する幸福に酔わされた。
「っんぁ、もっ……あぁっ……もっとぉ……」
だらしなく口を開き、安物のAVに出てくる女優のような品位のない喘ぎを撒き散らす。
こんな痴態を晒してでも、今は隼士が与えてくれる快楽を貪りたい。
隼士が記憶を失い、友人に戻ると決めた時、もう二度とセックスはできないと思っていた。それが今、夢でなく現実として起きている。こんな機会はこの先永遠にやってくることはないだろうから、いっそ壊れてしまうぐらい強い衝撃と記憶を身体に刻みつけたい。
本能の生き物と化した朝陽は後先など考えずに腰を振り、ただただ隼士を求めた。
「朝陽、朝陽っ」
「隼、士っぉ、」
室内に込み上げるがまま呼び合う互いの名と、腰を打ちつけられることよって結合部から漏れる、まるでディープキスのような淫靡な水音が響く。
「っ……く……」
やがて、雁首で容赦なく前立腺を擦り上げる動きに、少しずつ性急さが加わった。恐らく隼士の限界が近くなっている。悟った朝陽は、乱れた息を吐き出しながら隼士に声をかけた。
「隼士、隼士の……、中に出し、てっ」
「っ! い、い……のか?」
余裕のなくなってきた声で不安そうに聞いてくる隼士に、朝陽は迷いなく首を縦に振る。
「いいよっ、隼士の熱いので、俺、ん中、満たして」
「あ、さひっ……」
承諾を出してから、ほんの数秒だった。最奥まで突き刺したところで動きを止め、そのまま背中から抱かれる。瞬間に秘奥を征服していたものが生き物のようにビクンビクンと暴れ、続けて滾ったものが奥に流れ込んできた。
「やっ、イ、くッ、ぅっ!」
ほぼ同時に腰がビクンビクンと痙攣すると、朝陽は迫り上がってきた快感に背を張りながら白濁とした雫を先端から吐き出した。
「ひ、やあぁぁーー!」
足をガクガクと揺らしながら、一際大きな悦びの声を上げる。
他人がどう思うかは分からないが、自分は中に注ぎこまれる感覚が堪らなく好きだ。どれくらい好きかと問われたら、その熱を身体が認識しないと最高の絶頂を迎えられないと答えるぐらい。
そして、この瞬間だけは自分は隼士の物だと自信を持って言える。隼士から与えられるこの白濁は、言わば所有印のようなものだ。
だから今、朝陽は最高に幸せだ。なのに。