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テラーノベル(Teller Novel)
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朝起きて、そうきと電車に乗る。いつものように守ってくれて、隣で私と同じ歩幅で歩いてくれる。

学校につけば退屈な授業を受ける。そうきはお母さんが忙しいからいつも購買で買ってる。

だから最近はお弁当を作ってあげる。

そうきは「美味しいよ」っていつも食べてくれる。

大好きなアニメの話をしたりする。

放課後委員会をする。

委員会が終わったらそうきと帰る。いつもは。

でも今日は違う。

今日はもう叶わない恋を終わらせに来た。

でも、本当はとっくの昔に終わってる。

これはしょうもない恋をしていた前の自分に言い聞かせるため。

あなたは柊くんの事が好きじゃないって。

違ったの。私の好きな人はこの人じゃないって。

そうきに出会ってから。

奇跡なんてものないと思う。それはそうなる運命で宿命なの。

変えることのできないもの。

最初からそうきと恋におちる運命だったんだって。

好きだよ。

この言葉を胸張って言えるように。

柊 輝に告白する。

隠していた、彼への前の気持ちを私の心の中から消すために。

叶わない恋。

少しだけ期待していた前。

これも今日で終わり。

大好きでした。


昼休み。そうきに待っていてと教室を出て柊くんの元へ会いに行く。

あやと二人でいた。

でももう心が傷つくことはこれっぽっちも無い。

大丈夫。

「あの、柊くん、今日の放課後話したいことがあるの。」

「え?ゆいなちゃんが俺に?」

「うん」

「いいけど部活終わった後でいい?裏庭で待ってるから。」

「うん、ありがとう」

第一段階はクリアしたから、次は放課後。


「あ、ゆいな、おかえり。」

「うん、ただいま、」

「…」

「どうかした?」

そうきは私の顔をまじまじとみる。何かを探るみたいに。

「なんか元気ないね。なんかあった?」

心配、か…。いつも優しい。だから彼が好き。

「いや、なんでもないよ、大丈夫」

だけど心配をかけたくない。好きだから。

「大丈夫じゃなさそうだけど?」

「放課後、話すよ。」

「あと、今日一緒に帰れないかも。」

「どういうこと、?男?」

あれ、なんでこんな目つき。

「違うよ!用事があって帰るの遅くなるかもだから、待たせる訳にも行かないし。」

「ふーん、でも俺待っとくから。」

いつもの優しい目。さっきのはなんだったんだろう。

「ありがとう。遅すぎたら帰っていいからね」

「うん、わかった」

「あと、心配なら裏庭、来てね、」

何言ってるんだろう、あるわけないのに

「うん、わかった。裏庭ね。」


「じゃあ、用事あるから、先に行くね」

委員会が終わって裏庭に向かう。やっと終わる。やっと。

どうでもよかったこんな恋。

はやく、そうきに会いたい。

「あ、ゆいなちゃん」

前は好きだったあの笑顔、それで手を振ってくれる前は嬉しかったけど、今は違う。

「話ってなに?」

「私、柊くんのこと、」

大丈夫、

「俺のこと?」

「すき、」

「好きだったの。」

言えた?言えた。これで終わり。

「それ、告白?」

「うん」

「付き合って欲しいってこと?」

え?

「違う」

「その、好きだったってこと。前は好きだったみたいな」

「今は?」

「今は違う、」

「は?何それ」

目つきが怖い。この目駅での…。

「え?」

「はぁ、お前さ何様なわけ?」

怖い。

「今なら付き合ってやるよ、」

「いや、その、そういう訳じゃなくて」

「はぁ、うざ。ちょっと付き合って遊ぼうと思ったのによ。」

怖い。怖い。

「調子乗んなよ!」

バッ

怖い、殴られる、そうき!

パシっ

「おい、はぁ、お前何してんだよ」

そ、そうき?

「は?またお前?」

「女の子だそ?手あげるなんて最低だよ」

「うざっ、いい男アピール?」

あ、やだ、この人怖い。

「大丈夫だよ、ゆいな」

あ、まただ。安心する。

「ちっ、ほんとだるい」

怖い。やだ。

「ひかる!」

「何してんの?!」

あ、あや?

「あや…。」

「違う、これはその」

「住吉くんから連絡来たから何かと思ったらまさかゆいなのこと傷つけたの?」

あやが怒ってる…?

「いや、違くて」

「なにが違うの?さっき手上げてたの見たけど?」

「いやその、」

柊くんが言い負かされてる。

「最低、私の友達傷つけるとか、もう関わってこないで、!」

「え、いやあや待って!」

「もうどこか行って!」

あや…。

「ゆいな!大丈夫?怪我はない?」

「うん、大丈夫だよ!あや、ありがとう!」

「そうきもありがとう!助けてくれて!」

そうきは相変わらず顔が赤くなって、あやは私の頭を撫でてくれる。

ずっと勘違いしてた。あやは私を引き立て役に使ってるだなんて最低だ。

あやは私を大切に思ってくれてたのに。

私の自慢の友達は強くてかっこよくてやっぱり主人公みたい。



「あや、ほんとに大丈夫なの?一緒に帰ろ?」

「いーや、大丈夫だよ。」

「でも、」

「大丈夫だって!また明日ね!」

「う、うん、また明日…、」

あやは可愛いからなぁ、ほんとに大丈夫なのか心配だよ。



「で、なんであんなことしたの?ひかる」

「ごめん、あや」

「でもさ、あやが全然告白してくれないから遊んでもいいかなって」

「私、あなたみたいな人嫌いなのよ。」

「ごめんけど好きじゃない。」

「もうこんな話やめよ。終わりにしよう。」

「いや、でも」

「ごめんね、ひかる」

私の隣に相応しいと思った。でもひかるは私の大事な親友に手をあげた。絶対許さない。

「あや…」

「ばいばい、」

「あっ、待って…」



「で、今日何があったわけ?」

「もう終わらせようと思って好きだったって伝えたの」

「そしたら…」

「ああなったわけ?」

「うん」

グイッ

「うわぁ」

ギュッ

「心配かけすぎ、びっくりした」

「なっ///」

「言ってんじゃん、ゆいなは可愛いって」

ほんとにこういうところずるいよ。

「ごめん、」

「帰ろっか、」

「ん、」

暗い道。月明かりが道を照らしてくれる。

暗くて怖いけど今は隣に大好きな人がいるから大丈夫。

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