「はい、始まりましたのあです。今日の定期配信は久々の実写、晩御飯食べながら雑談配信です。メンバーは」
「うり」
「えと」
「ゆあん」
「たっつんでーーーー」
「っていうメンバーです」
たっつんはのあに「す」まで言わせてぇとのあに伝えるが笑いながらかわされた。
画面の真ん中には大きなホットプレートが置いてありメニューは焼肉だ。メンバーの数人が手をかざして温度を確認している。
「今さっき実写ってのあさんに言われて慌てて準備したわ。オレあんま外出んから、人前に出られるオレってなんだっけ?って」
「オレもオレも。焼肉食いてえけど実写なん!?ってバタバタになりながら髪セットした」
「あはははっ。ごめんなさい、今日私お出かけしたのでたまには実写もいいかなあって気軽に提案しちゃって。そしたらうりさんも今日は出かけててよそ行きモードだったから」
「そうなんよね。たぶんやけど出かけてなかったら出てなかったわ」
「っていうかそろそろ触れてもええ?誰?」
ふはははっとえとは軽やかに笑うが、室内だというのにサングラスとバケットハットを被ったままでだいぶ異質である。コメントでも、誰?なんで?などとツッコミで溢れていた。
「いや、帰ってきてから実写で配信するって聞いたんよ。そんな日に限ってすっぴんで学校だし。ていうか学校の日はすっぴんだから、メイクする時間なくて。でも、焼肉は食べたいからとりあえずこれできた」
すっぴんみたーいなどのコメントが溢れるが、リスナーさんの夢は守りたいとこのままでいくことを伝える。
「え、ちょっと待って?そのグラサンオレのやない?」
「なんでわかんの?やば」
「やば、やないんやけどぉ。えとさんいっつもオレんとこから借りてくやん」
「違くて、顔全体を覆えるやつがこれしかなかった」
「えとさん持っとるやろ!デカいまるっこいやつ」
「あれ、レンズの色薄いんよ。ちゃんと返すじゃん私」
「それはそーなんやけど。いつもサラッと借りるねーってメッセージ入っとってさあ」
ホットプレートが温まりきって肉がジューっと焼ける音がする。
たっつんはサラダをお気に入りのドレッシングでシャクシャクと食べている。
「ぽととさ、うりさんって服共有しとらん?」
「してるー」
「してる」
「女子で共有ってわかるけどさ。のあさんとえとさんって背もおんなじくらいやん。うりと共有ってどういうことなの」
うりとえとは目を見合わせる。
「元々好きな服のブランドが一緒で」
「あぁ、なるほどな。確かに二人とも系統似てるわ」
「でしょ?だから、別々に買ってたんだけど、あまりにもよくパーカーとかは被るからいっそ共有にしねえ?ってなったんよね。私はオーバーサイズで着たいから」
「そしたら、オレのサイズ感もちょうどいいんよね」
「はぁん。確かにたまに、互いが互いの追い剥ぎみたいなことしてるの見るわ」
「追い剥ぎって!」
「そうそう、えとさんがしょっちゅうオレがきてる時に今それ着たいから脱いでって剥がしていくから」
「いやいや!私ばっかりみたいなこというけどうりだって私の丸サングラス借りたりするやん!」
「それはそう」
「なんかさ、うちの玄関手前にクローゼットあるじゃないですか。帰ってきたらとりあえずそこにかけるやつみたいな。あれの三分の一くらいぽととうりさんで埋まってるよね」
「それはさ、私が男子寮に勝手にいく分には問題ないけど、うりが女子寮のしかも私の部屋に来るのは問題じゃん。話し合った結果そこだろうってなったわけよ。ギュウギュウじゃないからいっかなーって。流石にギュウギュウでみんなからクレーム来たら考えるわ」
「んで?今日のサングラスもそこから?」
「いや、これは部屋に置いてある方のやつやね」
「不法侵入やないかい!」
「あはははっ、うりありがとうー」
「そこでごめんやないのがえとさんよな」
「いや、まあ、いいんだけどね」
えとはゆあんに指摘されてごめんというポーズを取ったあとサンチュで包まれた肉を頬張り、話題はまた別なところへと移って行った。
コメント
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最高です! 他のこういうやつ書いてください