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テラーノベル(Teller Novel)
主の妄想物語

主の妄想物語

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3

第3話

♥

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2024年04月28日

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田舎の学校帰り、課題やテストだらけで、頭の中が真っ白だった私は、初めて帰り道を通り過ぎた。

自転車のブレーキをかけ、引き返そうとしたとき、奥の道から、太鼓や笛の混じった音が聞こえた。


だが、それは一瞬だった。


音に集中していたのか、目の前に大きな鳥居があることに遅れて気付いた。


それに、通ったことのない道なのに、なぜか心当たりがあるような風景だった。


鳥居の奥はどこまでも続いていて、薄暗い。

私は、無意識に自転車やカバンを置いて、鳥居を通っていた。

まぶたを閉じ、耳を澄ました。

数秒間の沈黙が流れた。


その瞬間、あの音が大きく流れ、私は驚きのあまり、尻餅を着いた。

竜巻のような風が起こり、まぶしい光が差し込む。


それはすぐに消えた。

だがあの音はまだ消えない。

それに、さっきよりずっと大きく鳴っている。


気が付くと、私は和室にいた。


私がいる和室は、虎の描かれた襖が部屋を囲んでいる。

すると、襖紙から小さな魚の影が見えた。

襖の先が気になった私は、正面の襖を開けた。


襖の先は、信じられないほど綺麗だ。


魚の群れがあちらこちらで泳いでいる。

だか、水はなく空気で泳いでいるのだ。

そして、全体の構造がとても変だ。

私のいる部屋以外、壁や襖が中途半端で、逆さの部屋もある。


橙色の光が全体を照らしている。


しばらく部屋から、景色を眺めていると、奥に人影が見えた。

その陰は音に合わせて、蝶のように舞いながら少しずつ近づいてくる。

すると、魚の群れは集まって人影の周りを囲む。

そして、姿が見えた。


赤と黒い着物を着ていて、片手には、扇子を持っている。

長く黒い髪を一つに結び、肌は白い。

身長は私より低めの女の子だ。


彼女はひらひら舞いながら、あっという間に近づき、ゆっくり私のほうを向く。



扇子から覗くように、黒い瞳を私に向けた。



その瞬間、またあの時の竜巻のような風とまぶしい光が差し込んだ。

思わず私は、まぶたを閉じた。













目が覚めると、私は、鳥居の前にいた。


音は消えていた。

私は、置いていたかばんを持って、すぐに自転車をこいで家に帰った。


帰っている途中、私は、鳥居だけではなく、あの音も、あの和室も、あの彼女も心当たりがあるような気がした。


辺りが夕日に染まる帰り道の出来事_







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