主
主
主
主
主
主
主
ないこside
今日は彼氏のいむとデートの予定だ
駅前に集合して、水族館に行く予定だ
ないこ
そう言いながら着替える
と同時にいむと付き合った時からの疑問を思う出した
ないこ
そう、いむが彼氏で俺が彼女
不満があるわけではないが、なぜいむの方が彼氏になっているんだろう?
年下で、俺よりも身長が低くて、顔も可愛い系で、声も可愛い
どこから考えてもいむの方が彼女っぽい
対して俺は、年上で、いむより身長が高かければ、声も低い
こんな可愛げのない俺が彼女でいむはいいんだろうか?
ないこ
思わず悩んでしまう
きっといむに言ったら「いいに決まってるじゃん!」 とでも言うんだろうな…
それでも、少し不安になってしまう
ないこ
ないこ
ネガティブな感情をデートが楽しみだと言う気持ちだけに塗り替える
いつまでも暗いことを考えているわけにもいかない
ないこ
考え事はしながらも、準備は進めていたため、 あとは出発するだけとなった
ないこ
ガチャ
ないこ
すっかり秋らしくなり、風が心地よい
夏の茹だるような暑さから一転し、柔らかい日差しが降り注いでいる
木々の青さは色褪せたように思える
冬になれば枯れ葉になるのだから、当たり前ではある
しかし、季節の移ろいを身に染みて感じたのはいつぶりだろう?
大人になってからは空をゆっくり見上げる機会すらなくなっていた
大人になると忘れてしまう感覚こそが大切だと実感する
同じ景色でも視点変えると別の見え方になる
だからこの日常も何十年も経った頃には、 今とは違う感覚で感じられるんだろう
彼と過ごせる時間も限りがある
そう思うと居ても立っても居られず、俺は走り出していた───────
ないこ
ないこ
無事待ち合わせの時間に到着した
しかし、今は待ち合わせの時刻から10分ほど前だ
当然だがいむはまだ来ていない
いむは早く来て5分前ぐらい
大概は時間ぴったりぐらいに来ることが多い
ないこ
そう言ってスマホを取り出した
軽くエゴサをしながらいむが来るのを待つ
ないこ
いれいすもどんどん大きくなってきて、 リスナーさんが増えた
だからたくさん動画とか配信とかを見てくれて、 コメントしてくれる
そのことがとっても嬉しくて、成長したんだなーって思う
でも、それによっていむと恋人として過ごせる機会が少なくなっちゃってる
活動で話すことはあるけど、それはあくまで “いれいすの-hotoke-とないこ”として
恋人のほとけとないことして過ごせていない
だからこそ、お互いに頑張って予定を合わせて会う時間を作っている
ほんとは毎日会いたいぐらいだけど、そう言うわけにもいかない
わかってるけど、寂しいものは寂しい
ないこ
ナンパ女1
ナンパ女2
ないこ
謎の女性二人組に突然話しかけられた
上目遣いで語尾を伸ばしながらこちらを見てくる
いわゆる逆ナンってやつ
一人ならまだかわせるけど、二人だと厄介だ
挟まれたらどうしようもない
濃いメイクときつい香水の匂いが俺を余計不快にさせる
ないこ
ナンパ女1
ナンパ女2
ないこ
中々にしつこい
これはいくら断ってもずっと言ってくるやつな気がする
ないこ
ナンパ女1
ナンパ女2
???
俺が困っていると聞き馴染みのある声が聞こえてきた
ないこ
ほとけ
ないこ
ほとけ
そう言ったいむの声は、いつもの明るい声ではなく、 怒りを含んだ低い声だった
しかし、俺に向けたのは優しく安心する笑顔
ほとけ
いむが女性達の方へ向き直った
表情は見えないが、今まで見たことないほど怒っていることは確かだ
ナンパ女1
ほとけ
ほとけ
ナンパ女2
ナンパ女2
ナンパ女2
ないこ
女性の一人にがっしりと腕に抱きつかれる
上目遣いで甘えた声で言ってくるその姿は 失礼だが気持ち悪かった
ほとけ
ほとけ
ナンパ女2
ナンパ女1
ほとけ
ほとけ
ナンパ女1
ナンパ女2
ナンパ女達
女性達はいむの言葉を聞いてそそくさと逃げていった
女性達にはっきりと言い返すいむの姿はとてもかっこよかった
ほとけ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
いむの太陽なような笑顔に照れくさくなる
というか待って、、、?
ないこ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ないこ
知らなかった
いむの新たな一面を見た気がして、少し優越感に浸る
メンバーの前では見せないかっこいい姿
俺のために本気で怒ってくれる頼もしい姿
全部全部、俺しか知らないし、俺だけのもの
それと同時に、自分が大切にされていることを実感した
いむの目は慈愛に満ち溢れていて、俺への愛をはっきりと感じた
ないこ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
いむの手は暖かくて、頼もしかった
優しい笑みを浮かべるいむに俺はとびっきりの笑顔を向けた──────
ほとけ
水族館の大水槽を張り付くように見ているいむ
キラキラと目を輝かせながら見ている姿は、子供っぽかった
俺はあそこまではしゃぎはしないものの、綺麗だとは思った
ジンベイザメ、エイ、他にもたくさんの魚達が展示されている
まるで海の中に来たように錯覚させるほどだ
ないこ
ほとけ
ほとけ
子供の頃は家族や遠足で行く機会はあっても、今はほとんど来ることがない
デートスポットとしては定番だが、 ただ純粋に楽しむために訪れることはほぼしないだろう
まぁ、よほど魚が好きなら別だが
ないこ
ほとけ
ないこ
幼い頃は何も考えずにただ大人に守られて生きていた
今は考えないといけないことがたくさんで、 あたりまえのことも忘れちゃったりする
なんだかそれって切ない
ほとけ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ないこ
俺の方に向き直って、しっかりと俺の目を見据えて言ういむ
真剣でいて、安心する声は俺の脳に深く刻み込まれた
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほんとにずっとは一緒に居られないかも知れない
それでも、一生一緒に居たい
毎日毎日、いむへの好きが更新されていく
知らなかった姿を見るたびに好きなところが増えていく
昨日よりも今日の方がいむを愛している
二人ならどこへだって行ける気がするぐらい
いつか俺らの愛が世界を包むぐらい、長生きできればいいな
ほとけ
ないこ
俺らの愛が永遠に続きますように────────
密かにそう願うのだった
ザワザワ
ほとけ
ないこ
イルカショーなんてテレビ以外で見たのはいつぶりだろう?
十年近くは見ていない気がする
イルカショーの客席には子連れにカップルなどたくさんの人が 始まるのを今か今かと待ち浴びている
スタッフさん
スタッフさん
スタッフさんの合図とともにイルカ達が泳いでいく
水の中を楽しそうに泳いでていて、なんだか癒される
ザッバーーーーン
ないこ
ほとけ
イルカが大きく水飛沫を立てたため、水が思いっきり俺たちにかかった
あまり前の方に座っていないため大丈夫かと思ったが、軽く濡れてしまった
幸いすぐ乾きそうなぐらいしか濡れていないため大丈夫そうだ
ほとけ
ないこ
ハプニングもあったが、俺達はイルカショーを楽しんだ
結局あの後何回か水がかかったため、無事びしょびしょになった
と言っても、そこまで濡れてないので自然乾燥することにした
そして、今はお土産店を見ている
ほとけ
ないこ
箱物のお菓子に、キーホルダーにぬいぐるみ
大小様々なお土産が所狭しと並んでいる
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
二人で店内を見回していく
お揃いといってもあまり大きいものは困るため、 持ち運びに便利なものがいいだろう
ないこ
水族館だけあって、海の生き物関係が多い
ぬいぐるみ型のキーホルダーやチャーム系のものまで様々な種類がある
二人で全く同じものにするのもいいが、色違いを買うのもいいかも知れない
ないこ
俺が手に取ったのはイルカのキーホルダー
ちょうどピンクと水色があって、程よいサイズだ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないむ
二人でレジに並ぶ
休日だけあって、それなりに人が並んでいる
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ないこ
そんなことを話していると俺達の番になった
店員さん
ほとけ
ないむ
店員さん
店員さん
ほとけ
店員さん
店員さん
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ないこ
さりげなく俺の分まで払ってくれるいむ
彼は十分かっこいいと思う
いつも俺を優先してくれて、気遣いができて、 何より俺へ愛を真っ直ぐ伝えてくれる
だからこそ、不安になることもないし、いい関係が保ててると思う
ほとけ
ほとけ
いむのカバンには先程買ったキーホルダー
それを見て、俺も自分のカバンに取り付ける
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないむ
外に出るとすっかり夕方だった
夕日の眩しさに思わず目を細める
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
オレンジ色に染まった空と景色はこの時間しか見れない綺麗さで、 なんだかロマンがある
それと同時に、一日が終わってしまうという悲しみがある
もうすぐ家に帰らないといけない
すなわち、いむと一緒に居れないということ
寂しさと迷惑をかけたくないという気持ちが入り混じる
ほとけ
ないこ
ほとけ
ないこ
気が付かなかった
自分では顔に上手く出していないつもりだった
ほとけ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
バイバイがあるから次会えた時の喜びが大きいなんて考えたことがなかった
確かに、また会いたいと思えるのはさよならがあるから
単なる離れるという意味じゃなくて、 また会おうという意味がバイバイにはあるんだ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ないこ
こうして俺達は、夕日が輝く中で約束した
“また会おうね”、と───────────
コメント
9件
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 誕生日に最高の作品見ました!!!! ありがとうございます!✨ なかなか会えない恋…(?)いいですねぇ…()