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それは、唐突に起こった。
環
環
環
公園のベンチで一人、自分の情けなさを悔やんでいた時のことだった。
今年の冬は、例年よりも暖かかった。
だから別に、不思議なことではなかった。
環
環
目の前を蝶が横切った。
とても美しく、可憐な蝶だった。
俺はその蝶に、どうしようもない魅力を感じた。
だから気がついたら足が勝手に蝶を追っていたんだ。
環
気のせいか、蝶に着いて行くにつれて、微かに甘い香りが鼻腔をくすぐる。
まるで、花の蜜のような、甘い香りが。
環
もう、帰ろうか。
そう思った時、
強い風が吹いた。
環
慌てて角を曲がった。
そこで、俺は見た。
環
無数の舞っている花びらと、
そして蝶。
冬だと云うのに、春のような光景だった。
その中心に、
少女がいた。
俺より少し小さい少女だった。
あちらも俺に気づいたのか、
首を動かした。
その時だった。
目が合った瞬間、時が止まったように、
音が消えた。
だが少女は、足早にその場を去ってしまった。
環
環
余りに鮮やかで美しくて、
何故だか分からないけど、
俺の心臓だけが五月蝿かった。