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テラーノベル(Teller Novel)
短編集

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30

太陽みたいな君

♥

130

2024年04月15日

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ザーー

雨の音が聞こえ、あたりは真っ暗。

俺は雨に打たれながらも1人、座っている。どのくらい経っただろう。

寒い、冷たい。そんな感情はもう無くなってきた。

俺もそろそろ死ぬ頃なのかな。と死に対して恐怖を抱かず、何も抵抗せずにただ座るだけ。もう、死に足掻くのは疲れた。


「疲れた」


当たりを見渡すと、一つだけ小さな明かりが見えた。

それはどんどんこっちに近づいてきて、次第に明るさが強くなっていった。


「ん?おーい」

「お前、何してんねや?」


眩しい。光がこちらに向けられ俺は思わず視線を外す。


「…寒くないんか?」


「別に…」


目の前にいる金髪の男は俺にそう問いかける。


「お前…捨てられたんか」


心にグサッときた。考えないようにしていたのに、それを言われたら考えてしまうやん…思い出してしまうやん…

なんで…そんなこと言うん?


「…よし」

「お前、うちにこい」


「…え?」


その言葉を理解するのに時間がかかった。なんでこんな俺を拾おうとするのか。

不思議で仕方がなかった。


「何も言わないってことはOK、ってことやんな」

「とりあえずこれ被れ」


と、男きていたレインコートを渡された。


「でも…貴方が濡れる…」


「大丈夫や!!これくらいなんともないわ!!」


少し悩んだが、俺はお言葉に甘えて着ることにした。

「それより、お前俺の背中に乗れ」


「?」


「ほらはよ」

男が俺に背中を向けたので俺は男の背中に乗った。手を首にまわすと男は立ち上がり、歩き出した。


「もう、大丈夫やからな」


_________________


ふと気づくと、俺は見知らぬ部屋にいた。

眠ってしまったのだろうか?あの男に抱えられたところまでしか記憶にない。


「おぉ!起きたか!」


「…?」


さっきの男だ。だがその男だけじゃなく、横には知らない男がもう一人いた。神という布を顔に着けており、髪色は水色で綺麗だった。


「ごめんね驚かせたな」

「そうだね、最初は自己紹介をしようか」

「俺の名前はしんぺい神。気軽にペ神って呼んで」


しんぺい神…とても優しそうな人だ。

俺はしんぺい神という人の声色が優しく、落ち着きのあるものだったため、少し安心した。


「次は俺やな!」

「俺の名前はコネシマや!!よろしくな!!」


元気で声が大きい人だな。でも、この人も優しそう。俺は心のどこかでこの2人を信用していた。


「君、名前言える?」


名前…そういえば名前なんて存在してたな。

ずっと名前で呼ばれてなかったから忘れてしもた。どうしよう。と悩んでたその時、コネシマという人物がこういった。


「…俺が新しくつけたるわ!!」


そう彼は言った。

その姿は明るくて、眩しくて、俺とは真反対の存在だった。


「んーせやなぁ」

「ゾム、なんてどうや?」


「…!!」

「ゾ…ム」


「え?!そんな嫌やったか?!また考えるから…すまん!!」


「ちが…」

「なんか…嬉しくて……」


名前をつけられて、優しくされて…少しでも自分を必要としてくれている気がして…

嬉しかった。


「…そうか」

「よし!これからよろしくな!!ゾム!!」


「うん…!」


ゾムとしての物語はここから始まった。


_________________


俺は雨の中、見回りとして基地の周りを巡回していた。

森の中を見ていた時に、俺はとある少年と出会った。

そいつはボロボロでただ、じっと座ってた。雨に打たれながらもずっと…。


「よし、お前」

「うちにこい」


その暗い瞳を明るくしてやるからな。

せいぜい覚悟しとけよ?この先明るい未来ばっかや。


_________________


「シッマが子供を拾うなんて珍しいこともあるんだな」


しんぺい神がそう言う。

確かに柄に合わんかもしれん。何でやろうな。もしかしたらこいつには人を惹きつける能力があるのかもしれん…な。


「単なる気まぐれや」


まあ、本当は

昔の自分とこいつを重ねてほっとけなかったから…なんやけどな。

俺は最低なんだろうか?


_________________



あれからゾムはほかの幹部たちともあって、怪我もだんだん治ってきた。

怪我は…きっと虐待されて出来たものだろう。だがそういう思い出したくない過去は深堀りしていけない。絶対に。

彼から言うまでは。


「コネ…シマさん」


「やからシッマでええよw」

「どした」


「…こ…これ」


ゾムが手をスッとだす。その小さな手からは可愛い犬のキーホルダーが出てきた。


「これどうしたん?」


「エミさんに…教えて貰って…」

「作った…!」


「おぉ!凄いな!!」


そう褒めるとゾムは照れて、恥ずかしそうにこういった。


「やから…これ、あげる」


「俺にか?」


「お、ん!」


ゾムからのプレゼント…!と俺は嬉しさ故に固まってしまった。


「い、嫌ならええ…!!」


そう悲しそうにばっとキーホルダーを隠し、その場を立ち去ろうとした。


「あ!ちょっと待て!!」


ガシっと俺はゾムの腕を掴んだ。


「いるいる!!てかくれ!!」


「え…っ?」


そういうと目を見開き、驚いた顔をして俺にキーホルダーを渡してきた。


「ありがとうな!!これ、可愛ええな!」

「大切にするわ!!!」


「…!おん!!!」


嬉しそうに笑う彼の姿はとても可愛らしく、俺の心は癒された。

俺はその時、初めてゾムの笑顔を見たきがする。明るくてとても優しそうな笑み。

俺はこんな楽しそうなゾムがずっと見たかった。


「ありがとうな…」

「よし!今日は1日遊んでやる!!」


「ほ、ほんま?!」


「おう!ほら行くぞ!!」


「う、うん!!!」


もうこいつは我々だの一員や。


______________


キラキラ輝く黄緑の目。

それはまるで宝石みたいでとても綺麗だ。


キラキラ輝く水色の目。

それはまるで宝石みたいでとても綺麗だ、


2つの宝石はお互いを照らし、お互い光っている。


人は支えあって生きていく。

人は照らしあって生きていく。

どんなに暗い宝石でも、必ず光が勝つ。


あの二人はお互いの笑顔によって救われた。

キラキラ輝くまるで太陽みたいな笑顔に。


「シッマ!!」


「ゾム!!」


太陽みたいな君
























pixivのボツ回でした


ありがとうございました

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コメント

11

ユーザー

いやまじですげぇな…最後の文章めちゃ刺さったわ…支え合って、照らし合って、ってすごい良い言葉やと思うわ流石やなぁ

ユーザー

𝑳‌𝑶‌𝑽‌𝑬______

ユーザー

ちなみにこれボツになったのは似たような感じのやつpixivで投稿してたからっすw 思いつきで書いてたらこうなります(自業自得)

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