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やだやだ!!死んじゃいやああああ
紗羽の身に、何が起こっているんだろう。あんな傷が出来るぐらいだから、本当に辛い思いをしているはずなのに。
紗羽はすぐ1人で頑張ろうとするから、俺が支えるって言ったのに、それが逆に紗羽を傷つけてしまったのかもしれない。その事が気になって、夜も眠れなかった。
夢に紗羽が出てきた。あんまり覚えてないけど、紗羽が俺を置いて行く夢、走っていったのか、突き放されたのか、覚えてないけど。
何だか正夢になってしまいそうで怖くなった。
今日、紗羽は来るのかな。昨日俺がいけないこと言ってしまったかもだから、今日は来ないかもしれない。
来て欲しい。会いたい。紗羽の声が聞きたい。そう思って丘で待った。もう時刻は午後7時を過ぎていた。
もう今日は、来ないのかもしれない。悲しくなりつつも、帰ろうとした時_____
スマホの振動が体に伝わってきた。軽やかな通知音が聞こえ、スマホを手に取る。
画面に表示されるメッセージ。紗羽からだった。
俺は目を疑った。信じたくなかった。メッセージは長文が打たれていて、本を読むのが苦手な俺なのに、読むのに時間はかからなかった
『突然メッセージごめんね笑 しかもこんな長文。改まって話すの慣れてないから緊張してる笑 誤字脱字あったらごめんなさい。
私は今まで泣いてばかりだった。お母さんに叩かれて、お父さんに助けを求めても「お前が悪い」って言われて、両親には無視されて、妹と比べられて、妹が優しくて、お母さんが怖くなって、体は痣だらけになって、夜感情的になって、自分はいらないんだと思って、色々辛くなって、消えてしまいたくなって。今まで沢山、泣いてきた。泣かずにはいられなかった。家族が死んだって聞いたときに少し喜んだ自分を殴ってしまいたくなった。
私は愛児園に引き取られてね。あ、蓮兔くんには行ってなったっけ。私今愛児園にいるの。みんな優しいよ。泣きそうになるぐらい。抜け出したら怒られちゃうけどね笑
あの雨の日に、蓮兔くんに会って。蓮兔くんみたいに知らない人にあーやって話かけられるの、すごいと思う。私にはそんな勇気ないよ。蓮兔くんは、太陽みたいで、私の心を照らしてくれた。自然と心が軽くなった。今までの苦痛が全部どうでもよくなった。
本当に幸せだったあ。ありがとう。そろそろ本題に入るね。私、学校にももちろん行ってるんだけど、そこでちょっとね。家族が死んだことで首突っ込んで来る子がちらほらいて。「アイツ家族いないらしいよー」ってどんどん噂広まって。女子トイレの個室で悪口言われたり、クラスで仲間外れにされたり、その程度だったの。前までは。
今は、ごめん。思い出すと吐き気が止まらないんだよね。この前はカッターで皮膚を削がれて、手をペンで思いっきり刺された。保健室の先生にも、愛児園の人にも、「何があったのか言いなさい」って、蓮兔くんと同じように聞かれたんだけど、やっぱ怖いんだよね。説明するだけでも。思い出すだけで恐怖なの。だから蓮兔くんに言うのも怖くて言えなかった。怖かったのもあるけど、蓮兔くんには知られたくなかったんだよね。”虐められてる”なんて、蓮兔くんには言いたくなかった。この前も、昨日聞かれたときも、言えなくてごめんね。でも言ったら怖い思いさせちゃうと思って。心配かけたくなくて。虐められてたこと、隠しててごめんなさい。こんな身勝手な私を許してください。』
読み終えた時、頭が空っぽになりそうだった。紗羽が虐められてる…?紗羽が何で、あんな目に、?
信じたくない。信じられない。身勝手なのは俺の方だよごめんな。しつこく聞いてしまってごめん。
長文メッセージの下に、もう1つメッセージがあった。
『多分、もう会えないや笑』
考える前に体が動いた。俺の体はもう走り出していた。
紗羽に震える手で電話をかける。出てくれるかは分からないけど、紗羽と話したい。声が聞きたい。
もう会えないって何だよ…?冗談よしてくれ。何で急に、こんな前触れもなく居なくなっちゃうんだ。次会ったら絶対許さないからな…。
電話…出ない。何度も何度もかけ直す。出てくれる確率はに低いけど。
このまま本当に紗羽と会えなくなったら、俺はどう生きていけばいい_________?