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「魈!!!」
望舒旅館に帰ってきたところ、パイモンが自分の名を呼んでいるところを見つけた。
「我になにか用か。」
背後からパイモンに近づく。
「魈っ!」
パイモンが振り返ると同時に魈はぎょっとした。
「お前…なんだその顔は…。」
パ イモンの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。何回も呼んだんだからな~としゃくりながら告げる。
そこで魈は気づいた。彼の姿がないことに。
「おい、空はどうした?」
少し焦ったような口調でパイモンに尋ねる。嫌な予感しかしない。
「空は……うぅ、とにかく助けてくれ魈!説明してる暇は無いんだ。早く!」
「…っ、案内しろ!」
魈はパイモンのあとを駆ける。
(一体何があった…。しかし無事でいろ…空!)
「ゲホッ…ガハッ…う…」
血を吐く。もはやそれの原因が何なのかわからない。激痛が走り、空は顔を歪める。立ち上がろうとするも…もう、足に力が入らない。
(ここまでなのか、ここが俺の限界なのか?)
頭が真っ白になる。
「その様子じゃあ、もう立てないわよね。」
嬉しそうに蛍術師が笑う。ふいに、空の意識が朦朧とし始めた。当たり前だ。こんなにも出血しているなかで、誰の助けも得ずに戦っていたのだ。
肉体の限界だ。