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暗く、不気味な雰囲気を醸し出す部屋を出て、これまた不気味な通路へと進んでいく
奏斗「メノウさん。ここをまっすぐで良いんですよね」
メノウ「うん、そーだよ〜。メノウさんじゃなくてメノウでいいよ!敬語も辞め!」
メノウさ…メノウはプンスカとしている。少し面白い。
奏斗「わかった。メノウ、質問して良い?」
メノウ「ンーー?」
奏斗「メノウはどうしてあんなところに居たの?」
メノウ「あ〜…それは〜秘密!また今度教えてあげるよ。あっほら!見えてきた見えてきた!」
無理やり話を切り替えさせられた…まぁ誰だって秘密の1つや2つはあるだろう
前を見るとひとつの扉が見えた。俺は、少し考えて立ち止まった
奏斗「メノウ、扉の上に」
扉の上にカメラ…ではないけど明らかに監視する為のものが置いてあった。
勘が優れていて良かった。
メノウ「あぁやっぱりあった。奏斗あれ壊せる?警報とかはならないと思うから」
奏斗「了解」
俺の世界だったら器物破損でお縄ですな…
と思いながら申し訳なーく拳を振り上げた
扉の先には、ありえない景色が広がっていた。
奏斗「お、ぉぉぉ…」
メノウ「…ここで少し休もーか」
奏斗「そうだね」
そこには、ホテルのような綺麗な部屋が用意されていた。やっと休める…
俺は紐を解き、メノウをベットの上に寝かせた
メノウ「僕動けないんですけど〜」
バタバタと四肢を動かして動き出そうにしている
仕方がない。俺も疲れてしまった。普通の引きこもりにしては頑張った方だ…
奏斗「つかれたぁ。寝る…後で起こして…」
???「やぁ。俺」
聞き覚えしかない声がしたような気がした。目を開けると、ひとつの顔が視界に入った
その顔は、血のような真っ赤な赤色に、黒い結べるほどの髪を持つ、俺と全く同じ顔立ちだった
???「瞳の色は違うけどねあははは」
死んだ魚の目で笑うとこんなにも不気味なのか。それとも自分の顔だから不気味に感じるのか
奏斗「君は⋯?だれなの?」
???「俺はお前だよ!汚い部分を押し付けられた可哀想で哀れなね」
汚い部分を押し付けられた?しかし、此奴は何故こんなにも満面の笑みなのだろうか
???「あぁ。お前は分かんねぇか。そりゃそうだもんな」
奏斗「……さっきから何言ってるのかわかんないよ。·····君は俺なの?なんで2人居るの?」
???「説明してやるよ。お前の元の世界での生活は本当に幸せで普通だったか?」
奏斗「普通だけど…」
???「本当にか?お前は本当に普通だったか?」
なんだか頭が痛くなってきた、耳鳴りも止まらない。気持ち悪い
頭がぐちゃぐちゃになる。逃げたい、助けて
奏斗「ちょっと…たんま」
???「逃げるな。」
わかんないよわかんない。普通だったよ、シアワセだったよ。お母さんも、オトウさんも居たし
頼れるお兄チャんも居たから。フシギな事も無かった!痛いこともなかった!…と思うよ
奏斗「やだ。嫌だ。近づくな、触れるな、壊さないで辞めてお願い」
???「お前は親に虐待を受け、耐えられなくなって殺したんだ
唯一の心拠り所だった兄さえも殺した罪はお前の身体に染み付いて一生取れない。」
頭が痛い、もう辞めて。そんな事しない、してない!お兄もお母さんもお父さんも生きてる
事故に遭う前に、お兄はバイトに行くって言って!声もちゃんと聞いた!……はずだ
???「お前は事故になんてあってない。」
気がつくと、ポロポロと涙がこぼれていた。とても頭が痛い
メノウ「奏斗ぉ·····大丈夫?」
メノウの声がして、一安心した。心配してくれていたのだろうか
奏斗,「大丈夫だよ…変な夢見ただけだから」
メノウ「変な夢…?」
奏斗「…うん」
誰かに話せば楽になるのかな。頭整理したい
奏斗「俺の生活は全部俺の夢物語なのかも。って言うゆめ?」
メノウ「…なん……奏斗もう行こうか。今日、また寝るのは悪手だ」
なんだか焦っている…?何故?まぁ確かに今日また寝るのは、抵抗があるな
メノウを背負い、扉を開けた。
奏斗「なぁメノウ。俺って事故で死にかけたよな」
メノウ「…うん。」
扉の先には、ダンジョンのような景色が広がっていた。
また何かあるのだろう。夢のことで悩んでる暇は無いだろう
奏斗「そういえば。ここって異世界なんだよね、能力とかってあるの?」
メノウ「あるよー!生まれた頃からあるねみーんな。」
奏斗「メノウはあるの?」
メノウ「あるよ。時間を操れるんだ。」
時間…ってあれそれ禁忌じゃなかったっけ。
奏斗「禁忌じゃなかったそれ」
メノウ「時間を操れる以外にもできるよ!空間を歪めて攻撃を防ぐ事ができるんです」
自慢げな声色に少し可愛さを覚えてしまった
奏斗「俺は使うことは出来ないの?」
メノウ「あぁ。奏斗はねぇ…特殊なんだよね。世界が違うからさ
何かの拍子に能力が開花することはあるよ。」
こういうのって異世界人しか使えないのかと思っていたが、そんなことは無いのか
???「」
奏斗「う…おえ」
メノウ「奏斗…?大丈夫?」
奏斗「…ごめんメノウちょっと気分悪いから…寝る…飛び起きたら…ごめん」
メノウ「⋯わかった」
???「オカエリ」
奏斗「…寝させて…よ」
気持ち悪い、また吐きそう。ここにいると体より心が限界を迎えそうだよ
???「君にまだ話終えてないからね。」
???「君は家族を殺して、心に限界が来たお前は自殺したんだよ。それをメノウが止めた」
奏斗「……自殺」
???「その首の傷気づいている?」
奏斗「えっ」
と言っても、確認する為の鏡などは無い。触ると少し違和感があるがさほど気にならなかった
この傷跡?は……前の俺が自殺する時についた傷跡か?傷と言えばメノウが治したとか言っていなかったか?
奏斗「……メノウが治したと言っていた。俺からは見えないから確認するすべは無い」
???「メノウに回復する能力があるってメノウが言ったの?」
奏斗「……言ってない⋯けど治したって」
???「だけど俺には見えるぞ。首を縄で絞めた時にできる痣がな。それがお前の自殺した証拠」
奏斗「…」
まだ理解が追いついてない、少し整理しよう。
俺はずっと幸せな生活を送ってきたと思ってたけどそれは俺の幻覚で、本当は幸せとは程遠い
生活を俺は送っていて、耐えられなくなった元の俺は⋯家族を殺した。でも兄を殺す理由がわからない
両親は酷いことをしたとしても、兄は味方だったはずだ。
奏斗「⋯なぁ俺が兄を殺した理由は?味方だったんだろ?」
???「自分で思い出せ。」
この時俺の中で何かが切れた。
奏斗「はぁ?突然夢に出てきて、意味不明なことばかり言うし。なんなんだよ…
説明してやるとか、思い出せとか……俺はもう疲れたんだよ。休ませてくれよ…」
はっ!として思わず、両手で口を押えた。やってしまった⋯と強く反省する
色々なことが重なっていっぱいになっていた。落ち着かなければ
???「お前の為だったが仕方ない。また壊れても、何度でも教えてやるよ」
奏斗「⋯?俺の為?」
???「壊れやすいお前にダメージを最小限に抑えるためだったんだけどな」
???「目瞑れよ」
何がなんだか分からず、とりあえず指示に従い、ぎゅっと強く目を瞑った。何が始まるんだ……?
𓏸𓏸𓏸𓏸年 2月14日。冷たい風が体を包んで離さない、震える痩せた手足
同じ歳の子よりは一段と長い髪にボロボロな薄い服。
13歳になった少年、君の顔は美しいはずのになんて顔をしているんだ。
兄「奏斗。奏斗、起きてるか?」
奏斗「⋯?なに⋯兄さん」
横で寝ている兄が、ムクリと起きて話しかけてきた。
兄「俺警察官になりたい!」
奏斗「⋯は?何言ってんの⋯いきなり」
兄は、警察官になりたいという戯言を突然言い始めた
兄「へへ。いいだろ、叶うか分かんないけどな。悪い奴をとっちめてやりたいんだ」
奏斗「⋯あっそ。勝手にしなよ⋯」
俺は兄に背を向け、目を瞑った。
兄「俺達みたいな子を1人でも減らしたいんだ。守ってやりたい。変かな」
奏斗「⋯知らない」
兄「冷たいなぁ⋯はは。奏斗おやすみ起こして悪かったな」